大分県議会議員・なかの哲朗です(^_^)

大分県議会議員の中野哲朗です。
誠心誠意、全身全霊をかけてがんばります👊

敗れました

2021-03-25 23:10:00 | 日記
令和3年3月25日(木曜日)
日田市議会3月定例会25日目。
閉会日。

午前5時、起床。
閉会日の本会議に向けた最後の準備を行いました。

午前10時、総務環境委員会。
付託された議案の審査結果報告案の了承を取り付けました。

午後1時、本会議。
任期2年の最後の委員長報告を行いました。報告に対する質問があり、誠意をもって答弁しました。



また、今日は、初当選以来、2回目の討論を行いました。



中津江地区福祉保健施設移転整備事業(2,432万7,000円)について、一部を減額する教育福祉委員会の修正案ではなく、ゼロベースで事業全体を検討する議員提出の修正案に賛成する討論です。

どんなに力を込めても、賛成する修正案の可決が難しいことは、はじめからわかっていました。それでも、地域住民の合意を得ていない事業を、この段階で、しかも不十分な形で可決させてはならないとの断固とした思いをぶつけました。しかし、敗れました。

政治は結果責任ですので、頑張っただけでは何にもならないのかもしれませんが、今日の討論の内容は、ぜひ、お読みいただきたいと思います。

【討論】
通告に基づき、議案第 29 号 令和3年度日田市一般会計予算に対する5番議員、11 番議員提出の修正案、すなわち、原案から歳出3款2項5目 高齢者生活福祉センター費のうち「中津江地区福祉保健施設移転整備事業」2,432 万 7,000 円を減額する修正案に、賛成の立場から討論を行います。

本事業の予算は、昨年7月の豪雨災害で被災した中津江高齢者生活福祉センターの移転・再建を図るための建設工事設計委託料(1,501 万 5,000 円)、移転先とされる中津江ホールの解体工事設計委託料(160 万 6,000 円)及び中津江ホール敷地周辺の用地購入費(770 万 6,000 円)の 3 つで構成されています。今月策定された「令和2年7月 日田市復旧・復興推進計画」の関連事業として位置付けられ、利用者の安心・安全を確保するという事業の概要、また、中津江の住民の中に、早く施設を再建してほしいという強い要望があることは、十分承知をしています。しかし、本事業の予算案提出にいたる過程での市の取組に多くの問題があることから、その理由を指摘してまいります。

本事業は、被災した中津江高齢者生活福祉センターの復旧・再建の側面が強調されますが、もともとは、平成 27 年3月策定の第6期日田市高齢者保健福祉計画に基づき、平成 29 年3月策定の日田市公共施設等総合管理計画第1期実施計画で、平成 30年度を目標年度とする上津江及び中津江の高齢者生活福祉センターの統合を基本とした整備方針が示されたことが原点であります。また、平成 30 年3月策定の第7期日田市高齢者保健福祉計画では、中津江と上津江の高齢者生活福祉センターを「統合・縮小」の方向で検討することが明記されております。市は、令和 10 年の高齢化率を、中津江 66.6%、上津江 60.3%と予測しており、地域の高齢化が急速に進む中、これまで、地域福祉のあり方の議論や公共施設等管理総合計画に基づく高齢者生活福祉センターの統合について、地域への説明や協議は十分に行われてきたのでしょうか。市が、2月 22 日に開催した中津江地区住民説明会で配布した資料によれば、福祉保健施設の整備に向けた協議を上津江地区振興協議会および中津江振興協議会と開始したのは、統合目標の年度末を目前とした平成 31 年1月 24 日であり、公共施設再編の方針策定から2年が経過しています。市が策定した各種計画に基づく方針を、計画的に進めてこなかった責任を、災害による施設の復旧・再建に転嫁したように思えてなりません。

中津江と上津江の高齢者生活福祉センターの統合は、地域にとって重要な課題であります。このような事業に取り組む場合、アンケートの実施や住民全体を対象とした説明会を実施するなど、住民の意向を調査し、課題・問題を洗い出す必要があると考えますが、市では、どのようにして、意見集約を図ってきたのでしょうか。合意形成を図ってきたのでしょうか。

今定例会に提出された当初予算案には、中津江高齢者生活福祉センター建設工事設計業務委託料が計上されています。「本の表紙だけ変えても、中身が変わらなければだめだ」という言葉がありますが、事業名こそ、議会に予算案を提出する直前に「中津江地区福祉保健施設移転整備事業」と修正したものの、事業内容主旨は、被災した中津江高齢者生活福祉センターの再建だけではなく、上津江高齢者生活福祉センターの居住棟部分が含まれる「上中津江地区福祉保健施設移転整備事業」であります。この点について、2月 10 日に開催された上津江地区住民説明会で、全面的な統合を進める方針が示された一方、2月 22 日に開催された中津江地区住民説明会では、上津江の居住棟部分は統合し、サービスの統合については引き続き協議していく方針が示されました。わずか 10 日ばかりの間に方針、施設名が変更され、さらに、このことに対する上津江地区振興協議会への説明がなされていないことを発端として、地域が混乱していることを、市はどうように認識しているのでしょうか。この方針転換については、当然、上津江の住民への丁寧な説明と一定の合意が必要であると考えますが、現状は、合意どころではありません。説明もないのですから、合意以前の問題であること、居住棟を統合する以上は、中津江だけで完結する課題ではないことを指摘しておきます。

さらに、サービスの統合については、2月 10 日の上津江地区住民説明会の際、「今後、両事業所を運営していくには、経営上難しい状況になってきたので、統合することによって収益率を上げてサービスの維持を図りたい」との考えが示されました。2か所で行えないかを協議するということは、これまで示してきた統合の方針との矛盾が生じることになりますが、説明はつくのでしょうか。

今定例会に提出された当初予算案には、中津江ホール解体工事設計業務委託料が計上されております。中津江ホールの解体について、市は、2月1日に中津江振興協議会から提出された要望書に書かれている「今回の移転計画の基本的な部分については賛成せざるを得ない」との文言を持って、理解を得られたと認識しているようです。しかし、中津江では、現在、住民の意見集約を図っており、教育福祉委員会が採決を行った3月 22 日および本会議で採決を行う本日の段階で、意見集約が完了している状態にはなく、正式な合意が得られているとは言えません。

中津江、上津江の高齢者生活福祉センターの統合を目指すのであれば、明確なビジョンと詳細なプランを持って、両地区での合同説明会の開催や協議を重ねていくべきだったと考えます。複数の地区にまたがる広域的な施設整備について、市と地域、地域と地域などの関係者の共通理解と一定の合意は、予算計上と議会への提案にあたり、最低限の前提だと考えます。12 日の議案質疑では、この予算案が、地元の正式な合意のないままの提案であったことが明らかとなりましたが、最低限の前提をクリアしない予算案は提出できるのでしょうか。また、昨年の9月下旬から 10 月上旬にかけて、上津江地区では、4つの自治会単位で、計 85 名の住民が参加した説明会が開かれました。ここで出された多くの意見から判断しても、地元の理解が得られているとは到底思えず、この状態で、新年度の事業実施を計画したことにも疑問を抱きます。

したがって、この提案は、地元の合意という予算案提出の基本的な要件を満たしていないものだと判断します。これまでも、平成 29 年3月定例会での新しい公共推進事業、同年 12 月定例会での豆田地区日田祇園山鉾収納庫整備事業、昨年9月および12 月定例会で連続しての市役所1階フロア階段撤去など、結果的に、地元の協議が整わないままの予算案、内部の意思決定のプロセスが曖昧な予算案、つまり未成熟な予算案が議会に丸投げされた場合には、減額修正という議会としての意思を示めしてまいりましたが、今回も、常識的に、予算審議が進められる状態にはなかったことを、指摘しておきます。

また、昨年 12 月定例会で、上津江高齢者生活福祉センターの指定管理者の指定に関して、教育福祉委員長報告では、上、中津江両地区においての当施設の在り方や整備方針の決定に当たっては、住民の意見を踏まえつつ、十分な協議を行うことを要望しております。同じ昨年 12 月定例会で、市役所1階フロア階段撤去に関する私の一般質問に対し、市長は、9月定例会の総務環境委員長報告を盾に取るようにして、再提案の正当性を主張しました。12 番議員の一般質問の中でも、委員長報告に書かれたことの受け止めについて、やり取りがありました。教育福祉委員長報告においては、中津江、上津江の高齢者生活福祉センターの統合について、「住民の意見を踏まえつつ、十分な協議を行うことを要望」するとしており、重大な指摘をなぜ軽視するのでしょうか。

議案提出者である市長の行動、言動にも大きな疑問があります。市長は、平成 23 年7月の選挙で、市民に「上位下達・問答無用市政の行政主導による事業推進を見直し、市民・住民参加で開かれた議論の場をつくる」ことを約束して、当選し、平成 26 年4月に「地方自治体の憲法」と表現するほど特別な思いがあったとされる自治基本条例を制定しています。その第 11 条には、市長の責務を、第 1項「市長は、市民の付託に応え、本市の代表者として市民との対話を重視し、公正かつ誠実に市政を行わなければならない」、第 2 項「市長は、市の将来像及び政策について市民に分かりやすく説明しなければならない」、第 3 項「市長は、指導力を最大限に発揮し、市政運営を行わなければならない」と定めております。平成 26 年の振興局再編、平成 29 年の住民自治組織設立など、ここ数年、中津江、上津江地区には、地域にとって重要な課題が投げかけられ、当然、高齢者福祉施設の統合も大きな課題であります。市長が自ら、中津江、上津江地区に足を運び、公式の場で住民の生の声に耳を傾けたのでしょうか。市の方針に対する理解をどのように求めてきたのでしょうか。

今定例会の5番議員の一般質問に対する答弁で、市長は、高齢化がますます進む地域の住民サービスの拠点をしっかり作ることが行政の責任だと述べました。その考えは理解します。しかし、意思決定の中で、住民の意見をどこまで聞けばいいのかいいのかとなると、際限のない議論をいつまでやるかという発言、さらには、ある程度、強硬的に進めていくという発言は、市長が旗印に掲げる市民協働とは正反対の姿勢であり、事業の進め方として憤りを覚えます。

先日、教育福祉委員会では、中津江高齢者生活福祉センターの建設工事設計業務委託のみを認める委員会修正案を可決しました。上津江高齢者生活福祉センターの居住棟部分が含まれることについて、住民の一定程度の理解や合意が得られていない現状でこの部分を認めることは、合意なき事業を議会が認めたことに繋がるのではないでしょうか。また、委員会修正案は、中津江ホールの解体を白紙とするものですが、現在、中津江では、地域住民の意見集約を図っている段階にあります。先ほどの教育福祉委員長報告では、「上・中津江地区住民との合意形成ができているとは到底言えず、このような状況での予算計上は、地域住民に不安と混乱が生じる可能性」が指摘されました。意見集約のさなかに、議会側から中津江ホールを残したまま、中津江高齢者生活福祉センターの建設工事設計業務委託のみを認めるという委員会修正案を可決したことに対する、地域住民の戸惑いの声がすでに聞こえています。この委員会修正案では、議会として、事業を実施させようとしているのか、あるいは、一旦待ったをかけようとしているのかが曖昧であり、私は、このような委員会修正案には賛成できません。

以上のように、市の事業推進が計画的ではないこと、地域の意見集約、合意形成が十分ではないこと、一般質問・議案質疑・委員会審査において不明確な点が多いこと、予算提案の前提を満たしておらず、審議が進められる状態にないこと、議会の指摘を軽視したこと、市長の強権的な姿勢に疑問を生じることなどを理由とて、現段階ではこの予算をゼロベースに戻し、地域とのしっかりとした対話を経て、地元との協議を整えた後に、改めて、予算案を議会に提案するのが最善とする5番議員、11 番議員提出の修正案に賛成いたします。

議員皆様にご賛同いただくようお願い申し上げ、私の討論といたします。