http://mainichi.jp/area/iwate/news/20110407ddlk03040005000c.html
東日本大震災:忘れない、先生の歌 犠牲の宮古・磯鶏小、高橋琢子教諭 /岩手
◇リズムで歯磨き 子どもたちの健康気遣いCD作製
東日本大震災では多くの教師・学校関係者も犠牲になった。宮古市立磯鶏(そけい)小(阿部悟校長、児童314人)の養護教諭、高橋琢子(たくこ)さん(43)は、音楽に合わせて歯磨き指導をするなど、児童の健康を守ろうと工夫してきた。津波にのまれ、今月2日に死亡が確認された。本来始業式だった6日は登校日になり、児童らが黙とうした。【長田舞子】
◇児童ら黙とう
6日朝は阿部校長が放送で「みなさんの健康を気遣ってくれた琢子先生が亡くなりました。看病してくれたり、みなさんの悩みを聞いてくれた琢子先生とお別れしなければなりません」と語りかけ、児童らは涙ぐみながら約1分間、黙とうした。阿部校長は「虫歯を予防したい、健康を守りたいという琢子先生の思いが詰まった曲を聴きましょう」と呼び掛け、高橋さんの声の入った「いそお君はみがき」というCDをかけた。
「いそお君はみがき」は高橋さんが磯鶏小に赴任した5年前、「児童がリズムよく楽しく歯を磨けるように」と学校の名前にちなんで作った。音楽に合わせて「上奥歯」「上前歯」「奥歯裏」など、16カ所の磨く場所を指示する声を吹き込んだ。給食後の歯磨きの時間に毎日流され、児童は楽しみながら歯磨きをしていたという。曲は高橋さんの好きだったZARD「負けないで」だった。
高橋さんは3月11日は休みで、地震後に他の小学校に通う12歳と9歳の息子2人を迎えに行き、津波にさらわれた。息子たちは助かった。先月24日、高橋さんの家族にCDを遺品として渡した阿部校長は「つらい時にこそ『負けないで』という琢子先生が大好きだったメッセージを息子さんたちに伝えたかった」という。小学校は多くの避難者を体育館で受け入れながら、新学期の準備を進めている。「きめ細かく児童とかかわっていた琢子先生は、震災後の不安な気持ちを抱えた児童にも実情を踏まえた対処ができたと思う。本当に残念」と話す。
磯鶏小は「児童が高橋さんを思い出して泣きだしてしまうかもしれない」と配慮、「いそお君はみがき」をかけるのは6日を最後にして、別の曲で作り直すことを考えているという。曲が流れた後、5年1組の下島野公子教諭は「負けないで、というのは琢子先生からのメッセージのようだね。津波でつらい思いをした人、亡くなってしまった人のことを忘れず、頑張っていきましょう」と児童に語りかけた。
東日本大震災:忘れない、先生の歌 犠牲の宮古・磯鶏小、高橋琢子教諭 /岩手
◇リズムで歯磨き 子どもたちの健康気遣いCD作製
東日本大震災では多くの教師・学校関係者も犠牲になった。宮古市立磯鶏(そけい)小(阿部悟校長、児童314人)の養護教諭、高橋琢子(たくこ)さん(43)は、音楽に合わせて歯磨き指導をするなど、児童の健康を守ろうと工夫してきた。津波にのまれ、今月2日に死亡が確認された。本来始業式だった6日は登校日になり、児童らが黙とうした。【長田舞子】
◇児童ら黙とう
6日朝は阿部校長が放送で「みなさんの健康を気遣ってくれた琢子先生が亡くなりました。看病してくれたり、みなさんの悩みを聞いてくれた琢子先生とお別れしなければなりません」と語りかけ、児童らは涙ぐみながら約1分間、黙とうした。阿部校長は「虫歯を予防したい、健康を守りたいという琢子先生の思いが詰まった曲を聴きましょう」と呼び掛け、高橋さんの声の入った「いそお君はみがき」というCDをかけた。
「いそお君はみがき」は高橋さんが磯鶏小に赴任した5年前、「児童がリズムよく楽しく歯を磨けるように」と学校の名前にちなんで作った。音楽に合わせて「上奥歯」「上前歯」「奥歯裏」など、16カ所の磨く場所を指示する声を吹き込んだ。給食後の歯磨きの時間に毎日流され、児童は楽しみながら歯磨きをしていたという。曲は高橋さんの好きだったZARD「負けないで」だった。
高橋さんは3月11日は休みで、地震後に他の小学校に通う12歳と9歳の息子2人を迎えに行き、津波にさらわれた。息子たちは助かった。先月24日、高橋さんの家族にCDを遺品として渡した阿部校長は「つらい時にこそ『負けないで』という琢子先生が大好きだったメッセージを息子さんたちに伝えたかった」という。小学校は多くの避難者を体育館で受け入れながら、新学期の準備を進めている。「きめ細かく児童とかかわっていた琢子先生は、震災後の不安な気持ちを抱えた児童にも実情を踏まえた対処ができたと思う。本当に残念」と話す。
磯鶏小は「児童が高橋さんを思い出して泣きだしてしまうかもしれない」と配慮、「いそお君はみがき」をかけるのは6日を最後にして、別の曲で作り直すことを考えているという。曲が流れた後、5年1組の下島野公子教諭は「負けないで、というのは琢子先生からのメッセージのようだね。津波でつらい思いをした人、亡くなってしまった人のことを忘れず、頑張っていきましょう」と児童に語りかけた。