人材マネジメントの枠組みに関するメモ
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「国境を越える日本製"流通OS"」「セブンイレブンはトヨタになれるか」とのキャッチで、コンビニの世界進出状況を紹介している。コンビニとともに、おにぎりやおでんが地元に定着していっている、ということが興味深い。つまり、コンビニという業態のみならず、そのために開発されてきた商品、そしてそれを通じて文化も進出しているらしい。

しかし、紹介されている中国や台湾やタイや米国での事例は、日本での最先端のオペレーションとは少し違うようだ。まだコンビニを成り立たせる商品構成や配送体制を築いているところであって、日本におけるように、「顧客年齢層」「時間」「天気」「立地」「近隣の施設「近隣のイベント」までデータ化して、発注の精度をとことん上げようとしている、ということまではやっていないような感じである。(やっているとしたら、どのように人材を育てているのか、ということに関心を持つのだが・・・)

とはいえ、あくまでも、日本と同じコンセプトの同じコンビニ業態なのであって、では違うのは何か、というと、おそらく「発展段階」が違うということになるのである。(日本での、軒を争うような競争の話に比べて、海外での話は、少し遠い距離から物事を考える視点を与えてくれますね。)

「発展段階」ということを考えてみることによって、次のことができるだろう。

日本のコンビニ業態がどのように優れており、どれだけ競争優位性があるのか、ということを明確に語ることができる。他業態と、比較/ベンチマークしやすくなる。海外進出の仕方、すなわちどこまで持っていくのかということや、そのステップについても表現しやすくなる。

また、国内においても、「コンビニの次の発展段階」ということを考えてみることによって、まだ見ぬものを統合しながらイメージしやすくなる。


さて、というわけで、世界で戦うとなれば今後ますますバージョンアップして世界の中で差を広げていかなければならないであろう「コンビニというフォーマット(業態)」の「次の発展段階」とはどのようなものか、ということを考えてみたくなったのである。

コンビニの次の発展段階とは、おそらく、

「消費者が既に持っているニーズ」をぎりぎりまで目一杯カバーしていく

のみならず、

「消費者がニーズを認知するのと同時に」

あるいは

「消費者ニーズを鼻先三寸の先で先取りして」

そのニーズを満たしていくようなものである、としか考えられない。

「消費者がニーズを認知するのと同時に」、というのは、メーカーと協働して、新商品の投入にあたっては、全店一斉に売行き状況をリアルタイムでモニターしながら、一気に新商品が立ち上がるよう店頭で施策を打つ(つまり、何時間かの間に仮説検証サイクルをぐるぐる回してしてしまう)、というようなイメージである。

「消費者ニーズを鼻先三寸の先で先取りして」、というのは、たとえば、ミネラルウォーターを30種類くらい並べてウォーターバーのようにして、水の「市場」を作り出していく、というようなイメージである。(実はこのミネラルウォーターの事例は私の職場のビルのコンビニ(サークルK)の事例なのだが、ミネラルウォーターでなくても、仕掛けることによって、いろいろなカテゴリーを立ち上げていくことは可能だろう。)

このように、次世代のコンビニのイメージを作り込み、(仮にそれをセブンイレブンのシステムの世代に合わせて第7世代としてみよう)、それを実現するプロセス、従業員の行動、動作、スキル、必要情報等に落としこんでいくことになろう。


さて、ところで、私自身はコンビニというものが嫌いである。あの青や緑や赤のサインの色彩感覚と蛍光灯の明るさ、カップラーメンと菓子ばかりの商品棚には、生理的嫌悪感を覚える。これは少数派の感覚ではなく、「日本の光景はコンビニとロードサイド店になってしまった」という言い方がされる時、それはプラスの意味ではないだろう。仮に私に経営能力があって年収○億でスカウトされたって、鈴木さんや新浪さんの立場には就きたくない、それくらいのプライドは持っている・・・と思わず書いてしまうくらい、嫌悪感が噴き出てくる。

現在のコンビニの居心地悪さ・・・それは、コンビニの店頭が、POSデータという鏡に映し出される自分達の生活の姿そのものの反映だからだろう。自分の姿を鏡で見るようなものだ。カップラーメンも、菓子も、ペットボトルも、雑誌も、酒も、サンドイッチも、ソース焼きそばも、私たちの生活の姿そのものなのだ。顧客にぴったりとついていく・・・考えてみればこれほど悪趣味なものはない。

しかし、次世代のコンビニは、顧客に単にぴったりとくっついていくのではない、「ほんの少し、提案の意思のスパイス」を加えた、「意思の入った場所」にすることはできると思う。そのようになって欲しい。

あるいは今の世代のコンビニにおいてだってできるだろう。実際、同じ系列のコンビニでもオーナー事業者が変わるだけで大きく店頭も店員の機敏さも違ってくるケースはあるのだから。(私のビルのサークルKには、店頭提案の熱心さ、店員の動きの速さなどに感心している。オーナー事業者を知りたい。)未来に対してそれくらいの希望は持ちたい。その希望があれば、コンビニで店員をやったっていい。



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