脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

神仏との距離。

2017年12月24日 18時25分20秒 | 雑談
師走も下旬である。この時期は年賀状書きと大掃除をすると相場が決まっ
ていたが、最近の世間では、どちらもあまりしないかのようである。昭和
の40年頃は畳を上げて外に出し、玄関前で埃叩きをしたり、町中あちこち
でバケツで雑巾を絞り窓拭きをする等の掃除風景が見られた。子供たちは
遊びに行きたいのに、親に叱られながら掃除の手伝いをしたものだ。

私の家は町工場だったので、年末というと工場の作業屑の掃除と旋盤等の
機械の清掃をさせられた。旋盤の油を吸い取って綺麗に磨き、新聞紙と半
紙を敷いて丸い餅とミカンを載せ、正月飾りをする。機械の一つ一つにそ
んな飾りつけをして、感謝を捧げる意味なのだろう。今思えば、昔の労働
現場とは神聖な場所だったのであり、そこには神様がいたのである。

今日、神様のいる労働現場がどれだけあるだろうか。ブラック企業だのと
悪魔でも住んでそうな現場が話題である。昔の労働現場は危険で過酷だっ
たので、それは地獄でもあって、だから神様が必要だったのかもしれない。
現代のブラック企業は神とも仏とも無縁な、拝金教的な存在にも見える。

さて、今日はクリスマス・イヴである。これもキリスト教の神様のお祝い
であるが、アメリカ等キリスト教圏でも、クリスマスは宗教行事ではなく、
単にパーティや贈り物を楽しむ文化行事になっているとか。日本も贈り物
とパーティやイベントの商業的なクリスマスであり、街や家には電飾が溢
れ、イヴはまた、一部では「恋人の日」みたいな、奇妙な日でもある。

日本は一応仏教国だろう。12月25日がキリストの誕生日なら、4月8日は釈
迦の誕生日である。奇妙なのは、お釈迦様の誕生日である灌仏会(かんぶ
つえ)を祝う習慣がないばかりか、それさえ知らない人が多いことである。
クリスマスは祝うのに、灌仏会や花祭りは社会全体あまり意識されない。

私はお寺の幼稚園出身なので、4月8日というとお釈迦様の歌を歌い、お釈
迦様の小さな仏像に、柄杓で甘茶を掛けてお祝いしたものである。しかし、
小学校に入学し更に大人になってからも、4月8日を祝う行事に出遭うこと
も、その日を特別な日と見なす大人とも会ったことがない。幼稚園ではキ
チンと灌仏会をしていたのに、私は子供心にもヘンな幼稚園だったとずっ
と思い込んでいた。

物事は時代を経ると、本筋を外れてどんどんと変化してゆくものかもしれ
ない。それの良し悪しはともかく、本筋や本質を後からでも学んで知って
おくことが、教育や教養として必要だと思う。世の風潮や流れに乗るだけ
しか知らない生き方では、群れから離れて一人になったら何も出来ない、
無能な輩に転落すると思うから。













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