脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

「謝罪会見」って、誰に謝ってるの?

2016年08月28日 21時23分57秒 | 雑談
オリンピックも高校野球も終わった頃、ある男の強姦事件がTVで騒が
れている。男(22歳)は、60代の有名女優Tの息子で、俳優でもあるら
しい。日本で強姦事件は年間何万件あるのか知らないが、私はTの息子
というのを知らなかったし興味もないが、マス媒体がこんな一人物の下
ネタ事件に、多くの画面や紙面を割くのは、報道の浪費にも思える。

母親である女優のTさんは、TVで涙の「謝罪会見」をしていたが、こ
の手の「謝罪」パフォーマンスには、一体誰に向かって謝っているのだ
ろうか、と毎度のこと思う。謝る相手なら被害者だろうが、被害者に向
けた言葉や態度というよりも、漠然と「TV」に対して謝っているとし
か思えない。また、家族とはいえ加害者本人でないヒトが、どうして
「謝罪会見」をせねばならないのだろうか?

つまりこれは「謝罪」なのではなく、「お願い」会見なのではなかろう
か。人気と信用で業を保っているのが、芸能人という商売である。スポ
ンサーとかTVプロデュサー、映画関係やらファンその他に、自分たち
を見捨てないで下さい、これからも仕事をくれますようにと、お願いし
ているというのが、「謝罪会見」の内実と本質なのだと思う。

だいたい謝罪すべき相手は、被害者及びその親族くらいで、マスコミ・
警察・裁判官とかファン等は謝罪相手ではない。一般世間のヒトビトに
至っては無関係なのであり、謝罪の対象者ではあり得ない。そのはずな
のであるが、日本社会では、「世間の皆様にご迷惑をお掛けして済みま
せん」と詫びねば済まないのは、ムラ社会的な風圧にも関係している。

少し前にも、覚醒剤で逮捕された夫のことで、妻であるTという有名女
優が、TVで涙ながらの「謝罪会見」をしていた。この場合も自分が覚
醒剤をやった訳ではないので、謝る立場ではないと思う。が、TV有名
人の行う「謝罪会見」は、俳優業等の生業に支障が出ないよう「お願い」
行脚すること、一種の自己防衛、職業防衛なのだろう。

(麻薬犯罪は被害者がいない犯罪と言われるが、この場合妻こそ被害者だ
ったとも言えるかしれない。その被害者に謝罪させている図なのだ。)

ここまで書いて何が言いたいかというと、このような「謝罪」をTVで
放映させることは、公共電波のムダであるので、やめるべきだというこ
と、当事者本人は警察に逮捕されているので、TVマスコミは「絵」が
欲しくて家族に謝罪を仕組むのなら、言語道断である。

個人の不祥事は家族(或いは帰属団体等)との連帯責任という、悪しき旧
弊は、根本には日本というムラ社会の伝統的在り方に起因するのだと思
う。成人以後の子の罪は、育ての親に仮に原因があっても、加害行為へ
の責任そのものはない。親は謝罪すべき立場でも義務もない。あるのは
親として子の贖罪や更生を手助けする使命くらいだと思う。

いずれにせよ、子の罪に限らず、個人の法違反やら不祥事について、親
や家族、帰属団体(の長)等が社会に向けて謝罪すべしという風潮は、得
体の知れない無責任な世間という存在(これこそ妖怪「顔無し」なのだ!)
を、つけあがらせる元凶であり、日本社会においては、改廃されるべき
風習・民俗である。








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