脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

七月盆にて

2008年07月13日 16時58分11秒 | 近況
夏日の差す蒸し暑い午後、
近所のお寺へ墓参りに出向く。

母が来て手向けたのだろう、
赤、オレンジ、黄、紫色など、
既に墓には彩りの良い花が飾られていた。

手桶に汲んできた水を、柄杓ですくい、
墓石や台座にゆるりと掛けていく。
水は夏空の光に輝きながら、静かに転がり、
ひんやりと滴り、乾いた墓石に涼が入る。

持参した線香にライターで火を点けて、
線香受けに寝かせて置いて、合掌した。
亡くなった祖父母の顔が一瞬浮かんでは、消えた。

死者は、二度と動くことのない古時計に似ている。
死人に口なしである。
死者とは、心に浮かべては沈黙で対話するものだ。

死人に口があったら、うるさくてかなわない。
誰も墓参りなどには来なくなるだろう。
そんなバカげたことを思い、一人でカラ笑いをし、
気持ちが少し軽くなった処で、帰ることにした。

私は死んだら、墓には入らずに
何処かの山にでも散骨して貰いたい人間だが、
墓参りは嫌いではないようだ。



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