脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

愛と承認のペジミズム。

2014年05月18日 14時35分01秒 | 雑談
母親が、昼にカステラを食べたいから買ってきて欲しいという。
うつ病とか摂食障害のヒトは、お粥だの柔らかいモノを食べたがる。
リビドー(生きようとするエネルギー)が口唇期に退行しているのだろ
うか。柔らかにモノは、「母親の乳房」のメタファーとも言える。

かつてこのブログに、現実とは母子関係が象徴的に変奏されたような
ドラマだと書いたが、この基本の見方は今でも変わらない。父は不在
なのだ。だから男なら、自分が父へと成長するドラマでもあるのだが、
人間の現実の基本系は、母子関係の置き換え・変装が軸であると思う。

家族とか家庭とは、父が「承認」を、母が「愛情」を子供に与える場の
ことだと思う。ところが父は経済社会の歯車でしかなく、母も、子の母
である前に「女」でいたがるとか、母の方が子に愛情を求めたがるよう
になると、子は承認にも母性愛にも飢えて、家庭の外にそれらの代替・
代償を探し求めるようになる。

家庭の外には、地域・学校・会社等々あるが、ネット空間という新たな
帰属先が加わり膨らんでいる。ネットに父(承認)とか母(愛情)を本気で
求めるような現実倒錯は、しばしば期待を裏切られて、街頭の無差別殺
人等凶悪犯罪の引き金になったり、近頃問題のリベンジ・ポルノという
報復現象も、痴話喧嘩の腹いせだけでなく、加害者も被害者にも、何処
か現実感の遠近が、奇妙に歪んでしまったようなズレを感じる。

ネットやコンピュター、それらを介して結びついた現実とは、生身の結
びつき以上に、常にズレや誤解、歪みや悪意等の目に見えない不可知な
部分を、多く含んでいるものと観念すべきなのだが、オレオレ詐欺の被
害者のように、ある種の魔力には、判っていてもついズルズル引きづら
れるというものかもしれない。

モノ・カネに豊かになると、心の貧困は増すという法則なのだろうか。
今後も、人工知能やロボット工学等が発展を続けるだろうが、承認や愛
情に飢えて、人間の主体の場を電脳に奪われ続けた果てには、文明栄え
て、人心滅ぶという意味での、人間の終焉に行き着くような、ペジミズ
ムな予感しか私には浮かばない。



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