脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

建設現場と自動販売機

2009年01月30日 10時21分44秒 | 社会時評
不況とリストラに覆われた冬の風が一段と増してきている。
近所の大通り沿いにある200坪程の土地は、マンション建設凍結らし
く、外周を壁で囲んで「管理地」の看板が立てられたままである。

確か3ヶ月前までは、時折工事が行われ、土木作業員が動いていた
が、今では土地の地肌も剥き出しのまま、ひっそりとしている。
入り口付近に置かれていた飲料水の自動販売機もなくなっている。

建設現場には何故か、自動販売機が置かれている光景を目にしたことが
ある人は多いと思う。私は、あれは作業員用に置いているものなのだろ
うと思ってもいたが、何か腑に落ちないものを感じていた。

最近になってふと判った事は、
あの自販機の秘密は「消費税」と関係があるということである。

消費税のしくみは、課税売上によって受けた仮受消費税と、仕入れ等に
係わって支払った仮払消費税との差額が、前者が多ければ納付し、後者
が多ければ税金の還付が受けられるというものである。

しかしながら、土地にマンションを建てる等、不動産事業の場合、消費
税法は、土地の譲渡・貸付、住宅の貸付は、非課税取引と定めている。
消費税の申告納税義務は、年間の課税売上高一千万円超の事業者にある
が、不動産賃貸事業者には、通常、課税売上が存在しないことになる。

それならば、消費税などという余計な税金を納める義務がないので得で
はないかというと、そういう話ではない。

消費税法には「課税事業者選択届」という書類を税務署に出せば、免税
事業者でも消費税の課税事業者になれる制度がある。新規に建物を建て
不動産賃貸事業を行おうとする者が、事前にこの届を出した場合、建築
費の5%相当額が還付されることになる。

しかし不動産賃貸業のみでは課税売上が生じない事業なので、この点は
私自身も法文上の規定等に不案内なのだが、実務上、税務署では「課税
事業者選択届」を認めたがらないようである。
そこで簡単に課税売上事業をデッチ上げるために、事前に自動販売機を
設置するのである。

これで消費税の還付申告書を出せば、仮に総建築費用が一億円ならば、
500万円近くが消費税の還付金として事業主に戻ってくる。
これが建設現場に置かれている自販機の正体である。

このような手法は、そのちに規制を受けるであろうが、
いや既に、規制があるものかどうか、よく知らないが、
世間とはあざとく、みんな色々とよく考えるものである。




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