脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

リスク不明な「無料・格安」商法。

2016年01月17日 10時53分25秒 | 雑談
昼にJRの駅前を歩いていたら、路上で欧米人らしきヒトが通行人に何
かを配っていた。在日外人がティッシュ配りのバイトかよ、とも思った
が、貰ってみたら英会話教室のビラだった。よく見ると「100%無料」の
英会話レッスンとある。

無料? どうして? 某キリスト教会が「地域社会への奉仕」として開
催しているという。入学金・月謝・寄付等一切不要、講師は当該教会の
宣教師だという。それにしても、この広告チラシは紙質も良く、印刷に
もカネを掛けている風だが、実態は、宗教の勧誘が目的なのでは??

日本ではオウム真理教の事件があって以来、政治団体に準じて「宗教団
体」も信用出来ない危ない集団の一種という先入観念が強化された気が
する。このビラの某教会も、本当に社会貢献で英会話を教えようという
博愛の団体なのかもしれないが、何を根拠に、何を担保にしてそう判断
出来るのか、一般人にしてみれば、全く真意は不明なのである。

宗教団体の他には「NPO法人」なんていうのも、社会貢献を謳うに当
節の流行りであるが、胡散臭げな団体もあるようで、看板だけで信用し
ない方が良いようだ。無料の英会話教室なんて、うっかり信じ込んだら
タダより高いものはない、なんてことに行き着きそうである。


長野で、スキーツアーの大型バスが転落する事故があった。運転手・乗
客の大学生が10人以上死亡したが、「激安&格安ツアー」という謳い文
句だったそうである。運転手も専属のエキスパートではなく、高齢のド
ライヴァー(65)でパートのような人材であり、使い捨ての安価な労働力
だったのだろう。激安・格安には、どこかにその訳があるものだ。

政治が、企業利益中心で人件費コストの圧縮を目指した結果、労働者が
広範に非正規化・低賃金化を余儀なくされた。そのせいで雇用労働全般
の質が劣化しつつあることは大問題だと思う。バス事故の遠因には、そ
んな雇用労働の在り方も背景にある、と私は思う。

日本の労働現場での仕事の質やモラールは劣化低下しているのだ。だか
ら誤魔化しやら手抜き・不正で糊塗することが後を絶たない。勿論「上」
の連中のモラル感覚が一番の問題でもある。企業の利益保護ばかりでは
なく、様々な意味での労働者の保護と、生活安定のための行政(正規社員
化や安全網の拡充等)を推進すべきときである。

(アベノミクスとは、そんな生身の労働世界には目もくれず、対デフレ
の金融 政策や資金循環ばかり、社会を「実験場」にやっている印象で
ある。古臭い経済成長至上主義は、これからの日本には全く合わない。)

勤勉で質の高い「日本人」の行う労働(仕事)が、全般に劣化しつつある。
大企業ばかり儲けて内部留保を膨らまし、労働者を単なる人件費としか
見ない守銭奴な経済界と、それと結託した売国民的な偏向した政治の在
り方が、国民を疲弊させ、日本人(の美徳や美質)を滅ぼしているのであ
る。

アメリカと大企業と富裕層に奉仕する政治、一般国民の顔も見ない声も
聞かない政治、憲法も無視するし財政規律もないで、この先、この国は
どうなるのだろうか? アメリカと組んで「テロ撲滅」を口実に、また
戦争するか? そして植民地から収奪する帝国主義をまたやるか? 21
世紀のそれは、現地支配よりも「情報帝国主義」となるだろうか。

   *    *    *    *    *    * 

最後に、画像は田端台地から撮影したもの。中央遥かに写っているのは、
スカイツリーである。赤い東京タワーの陽性に比して、やはり灰色のス
カイツリーは「影の塔」である。20世紀の日本は世界のひなたに飛び
出して戦争でボロ負けしつつ復活を遂げた。21世紀、少子高齢で年老
いてゆく日本は、大国の日陰で小狡く立ち回るしかないだろう。そんな
姿のシンボルに、スカイツリーの灰色の威容は似つかわしいか。


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