脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

『残穢(ざんえ)』(小野 不由美)を読んだ。

2013年07月06日 12時09分09秒 | 読書・鑑賞雑感
先頃山本周五郎賞を受賞した、『残穢』(新潮社)をたまたま読んでい
た。この作品は一言でいえば、「崇り」の話であるが、どうも実話の
ようで、久しぶりに背筋がゾクッという気分になった。
(でも、山本賞を怪奇話で受賞というのも、怪異な気がする。)

首都近郊の、とある賃貸マンション。このマンションには何故か入居
者が居付かず住民がコロコロ替わるという。調べてみると、着物を着
た女性の首吊り姿が見えたとか、乳児の泣き声が聞こえるなどの怪異
がある。土地の歴史を戦前にまで遡上していくと、点々と符丁の合う
出来事が発掘され、崇りの感染現象という事態に行き着く。

不浄な出来事があった場所や建物、それに所縁の物や人物にウィルス
のように「崇り」とは感染していくものだ、という話なのだが、仮に
それが事実現象であっても、かくの如き「崇りの世界観」を我々は、
受け容れることが、現実生活の中で可能だろうか?

「祟る」とされる人形とか日本刀だかを、捨てるとか御祓いぐらいは
出来るが、Aさんが祟っているそうだから、会社を辞めてくれだの、
学校に来ないでくれだの、バスや電車に乗るなとは言えないし、「祟
り」を理由に村八分や強制隔離などすれば、重大な人権侵害である。

しかし、日本の古代国家、邪馬台国でも飛鳥や平安の頃でも、「祟り」
という霊的な事象は、現実的な問題であったのだろう。だから「鎮護
国家」という国家理念で以って、祟りや悪霊に対抗するために、仏教
が尊ばれて輸入されたのだ。

古代や時には徳川時代においても、為政者は「祟りの世界観」を持っ
ていた。だが、様々な事物の因果が、科学的に解明されつつある近現
代、「祟り」は別の因果系で解釈されることで迷信化しつつも、まだ
一部には、解釈不能な怪異現象も残っているのか、しれない。

戦時の大空襲で東京は下町を中心に10万人が焼死したし、先の大戦を
省みれば被曝した広島・長崎以外にも、主要都市は焼夷弾で焼かれ、
日本の到る処に、不浄の地が現出したはずである。
東京で、大空襲の祟りの話なんて、一度も聞いたことが無い。

他国を見ても、スターリンが粛清した(諸説あるが)700万人の祟りと
か、文化大革命の中国では7000万人が粛清されたが、その祟りはどう
なってるのか? 中国は世界最大の「呪われた国家」だろうが、誰が
どこでどう祟られているのだろうか?

とここまで考えて、はてと思った、
「祟られて」いるのは、この日本じゃないの? 

中国とアメリカに祟られ(実は、カネをたかられ)続けているのは、
やはり、霊威的な「祟り」が災いしているのでは??
(近年中国は、益々日本に憑依しつつある。早い御祓いが必要。)


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