脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

事業者に個人情報の抹消請求は可能か?

2012年07月07日 10時57分12秒 | 社会時評
情報社会の今日、買物をすると個人の消費情報、企業側からすれば販売
記録や個人の属性情報というものが残る。このような個人の消費情報が
寄せ集められては、マーケット・リサーチがされ販売戦略が練られして
いるのだろうが、私の氏名・住所等とセットにされた個人の消費履歴や
属性情報というものは、誰に帰属するものなのだろうか?

個人情報保護関係の法令に詳しくないが、どうも個人情報というものが
それを取得した業者等の勝手な都合で営利利用や売買されるがままにな
っている実態のような気がする。私の情報なのだから、この私にコント
ロール権があるのが当然だと思うが、その権利も権利の行使についても、
法的な保護や手段の担保等が、ほとんどないような状態である。


先日、新聞に掲載されていた某大手通販に電話で申し込んで、一万円程
度の商品を買った。10日前後に届く旨記されていたのだが、二週間経っ
ても品物が来ない。電話で問い合わせたら、まだ発送していないという。
翌日に先方から電話があり、納品予定日は一ヶ月後という知らせだった。

どうしてそんなに遅れるのか、説明を求めたが、事務的にお詫びを繰り
返すだけである。納品の遅延が明らかなのに、事前にお詫びや連絡もな
いのか等問い質しても、誤魔化すような口ぶりで納得のいく説明は得ら
れなかった。不愉快なので、では、当方も支払いは遅延日数分だけ遅ら
せますので宜しいですね、と告げて電話を切った。

品物は電話申込日から27日後に到着した。モノに瑕疵等はなく、問題
はなさそうである。さて代金の支払いなのだが、商品到着から10日以
内に支払いをするようにと指示書きがあり、その期限が過ぎると分割払
いの申込みをした扱いとなり、割高な代金の支払義務が生じる仕組みと
なっていた。少し迷ったが、代金だけは即日、振込み払いした。

納品された品物と一緒に顧客連絡用のハガキが付いていたので、
今後、御社とは一切取引はしませんので、この取引で知りえた私の個人
情報は抹消して下さい、と記してハガキを出しておいた。

数日後、通販会社からハガキの件で電話があった。
自分の顧客情報の抹消を要求する理由を知りたがっているようなので、
10日前後の納品を明記しておきながら、納品に一ヶ月近く掛かっても、
こちらが問い合わせをしなければ、遅延の連絡もお詫びも言えない
事業者とは、今後は取引するつもりはない、この取引で知りえた私の
個人情報は全て抹消して下さい、と伝えた。相手からは、個人情報の消
去には、所定の手続きが必要なので書類を送るという返事があった。

そして封書で「保有個人データ「利用停止等」の申請による承諾につ
いて」というA4一枚の用紙が届いた。
文面を読むと、個人情報保護法では、ダイレクト・メールの送付中止を
要請出来るが、この会社が保有する個人識別情報を、本人からの請求で
抹消すべき法的義務はない、ということが適用条文の趣旨説明と絡めて
記されていた。
ではあるが、この通販会社では、今後のアフターサービスやクレーム等
の申し出をしない、消去の申請は一度限りという条件付きで、個人保有
データの消去に応じるというものだった。

今の世の中、様々な事業者が大量に「本人が識別される保有個人データ」
を持っている訳で、A社と私が取引をしても、私の情報はA社の資本系
列会社等のグループ企業間で共有されていたり、非公式に顧客情報が第
三者に売買されている実態もあるだろう。会社が合併・買収されれば、
別の事業者の手に渡るのだろうし、倒産でもすれば、何処にどう流出す
るか誰も分からない状態にもなるのだろう。

個人情報保護法は事業者サイドに立った「保護」法制で、個人の情報を
守ってくれるものでも、自分の情報を自分で管理・統制する等、消費者
主体の法律でも全くないものである。政・官・業のムラ社会が作る法律
なんて、所詮こんなモノしか作る気がないのだろう。

個人が自分情報を自分でコントロールする権利は、現代消費社会では、
基本的人権の一部を構成する、自然で当然の権利だと私は思っている。
私の個人情報など、大した価値もないとは思っているが、今後も、この
手の業者には、私の個人識別情報・消費情報の抹消を要求しようと思う。




最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
自分情報コントロール権について。 (ユメノ・ロンド)
2012-07-13 11:09:22
冬樹 さま。
どうも、こんにちは。
ネット社会以前の個人情報保護のお話ですが、公的には全く無策でしたね。むしろ、「知る権利」とかメディア・アクセス権のような方向、「保護」とは逆の、「情報公開」を求める市民運動が80年頃にありましたね。
当時でも個人情報を営利利用した怪しげな企業・団体は多数あり、社会的にも対応すべき問題でもあった訳ですが、ネット社会の今日では、個人情報の収集・集積は、当時とは比較にならない程、すさまじいものがあります。
今もって振り込め詐欺が成立するのも、詳細な家族情報・家庭事情を背景に「真実」に近いウソを演出できるからでもあると思います。
 我々の個人識別情報は、様々な社会的場面から寄せ集められ、日々集積されてデーターベース化され、種別化・ランク化等、加工され売買されている実態があります。
情報内容は、氏名・住所・生年月日・携帯番号・学歴・勤務先・年収・資産・家族構成・住んでいる家・病歴・消費傾向その他、ケータイ番号さえ分かれば、個人は裸です。
このような個人情報が、詐欺や犯罪に利用されようと、しつこい勧誘・販売に利用されようと、我々は無防備であり、立ち向かうすべも限られています。
だからこそ、個人の自分情報コントロール権が何らかのかたちで確立されることは、現代生活において喫緊課題です。
先日、某大物政治家によって、「国民の生活が第一」という新党が出来ましたが、名前ばかりではなく、このような問題にこそ即効で対応して貰いたいものですね。

返信する
価値のある個人情報 (冬樹)
2012-07-13 03:50:07
 ネット社会発生以前から問題となっているのが、通販や教材販売業者で高額取引されている「Noと言えない人々」の名簿。世の中には、人に勧められるとNOと言えない人たちがいて、この人たちの名簿が高額で売買されている。通販業者や教材販売の営業マンは、こうした名簿を利用して電話勧誘したり、訪問販売する。性格的に押せば購入する人たちだから、成功率は高い。
 こういう人たちに向けて「あなたはNoと言えない人のブラックリストに載っているので、リストから削除してあげる。ついては、100万円払いなさい」と言うような詐欺にもひっかかってしまう。これはもう地獄だ。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。