坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

中村一美展

2014年03月02日 | 展覧会
中村一美(1956年~)は、1980年代に台頭してきた日本のニューぺインティングを代表する作家の一人です。
戦後、アートの前線はニューヨークに移り、ポロックやジャスパー・ジョーンズ、そしてバーネット・ニューマンら抽象表現主義のアーティストに引き継がれていきます。
そこには、絵画とは何なのか、絵画の形式を問う問題の提起がありました。
フランク・ステラもまた三次元的絵画、サーキットのシリーズで、この作品は絵画の領域に入るかの問いを、私たちに投げかけました。
中村は、抽象表現主義の方向だけでなく、絵画理論は東洋的、日本的解釈へと導きます。東洋思想、仏教観を軸に、現代絵画の新たな可能性を探るべき、巨大なキャンバスに向かい、筆触の力強さ、色相の差異による視覚の変化など、可能性を追求しています。
本展は、初期作品から最新作が並び、中村の表現の深化を探ります。
80年代から今日までの歩みを概観する貴重な展覧会となります。

◆中村一美展/3月19日~5月19日/国立新美術館1階 企画展示室

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