坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

もう一つのシャポ二スム展

2014年03月14日 | 展覧会
今年の夏を彩るのは、モネの「ラ・ジャポネ―ズ」でしょうか。
あでやかな赤地に武者絵の刺繍の豪奢な着物を着て、扇子をもつまだ若い夫人のカミーユ。金髪のかつらをつけ、色彩の対比を強く打ち出しました。
印象派時代以後、モネはこのような人物画を描いていませんので、そういう意味でもモネの写実力の技量をみることができます。
ゴッホの鮮やかな色彩の対比など、浮世絵の影響が感じられる作品など印象派の画家たちは、日本趣味に関心を寄せました。中でも、温かい日常の母子像で知られるメアリー・カサットも歌麿に強く惹かれました。
そして、少し視点を変えて、フランスとイギリスで活躍した、画家で版画家のホイッスラーも浮世絵の奇想天外な構図にひかれ、広重の橋の構成に影響を受けた橋の光景をのこしています。
また、ムンクの木々の表現にもシャポ二スムの構図を意識して、自然の神秘を表わしました。
本展は、実際に日本の工芸や浮世絵を描いた画家と空間構成や色彩に影響を受けた画家など広い視野でジャポニスムをとらえています。

◆ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展/6月28日~9月15日・世田谷美術館
 9月30日~11月30日・京都市美術館他

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