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ワンピースまんがぱうち(レビュー・ネタバレ)

ワンピースをまとめながら、フラグとなる詳細を記録しつつストーリーを追っていきます。

41巻-396話 サウロ (ロビンの過去-6)

2016年08月06日 | エニエス・ロビー編




『バスターコール』が始まった。
オハラは海上の軍艦からの一斉攻撃を受け、至る所で爆撃が起こり、まるで戦争状態だった。
ここがつい先程まで平和な考古学の発達した島で、住民は非戦闘民しかいないのが嘘のようである。




攻撃の理由は「オハラの学者達の研究は、世界政府の想像を越える域に達している。知識は伝達する。島から出してはならない。オハラに住む悪魔達を抹殺せよ!!!正義の名のもとに!!!!」という指令であった。
その見境のない攻撃は、スパンダム長官を初めとする政府側の人間が多少巻き込まれても構わないとするものだった。
スパンダムらは、後の事は『バスターコール』に任せて、学者達はもとよりオルビアさえもその場に置いて、我先と逃げて行った。

もちろん知識の集大成である『全知の樹』も直接狙いを定められ、爆撃によって火がついた。
残された学者達は、火から図書館の書籍を守ろうと必死になって働き、誰一人として逃げる事を考える者などいなかった。

スパンダムに取り残されたオルビアの手を、きゅっ・・・と握ったのはロビンだった。
ロビンとオルビアには、周囲の爆撃の音が聞こえない。
「・・・・こうしたかった・・・ずっと。」




オルビアの耳には、こらえきれずに泣く小さな娘の声が聞こえるだけ。
オルビアだって、どんなに娘をその腕に抱きたかったことか・・・!
オルビアは、ロビンの小さな体をその胸にギュッと抱きしめて、その名を呼んだ。
「ロビン・・!!!」ロビンはやっと、やっと、その名を呼ぶことが叶えられた。
「・・・・お母さん・・・・!!!」




母娘の逢瀬を目にしながら、クローバー博士の胸は押しつぶされそうだった。
世界政府は当初からこのつもりで、軍艦隊を「西の海サウスブルー」まで送り込んでいた。
ロビンは、もう避難船には乗れないだろう・・・、乗れたとしてもオハラの意志を継ぐ考古学者であり、しかも『歴史の本文ポーネグリフ』を読めるとなっては、政府が見過ごすわけもなかろう・・・。
「わしのせいじゃロビン・、わしがちゃんと目を光らせておけば・・・・!!!」とうなだれて後悔したが、オりビアは違った。

オリビアは胸に抱いたロビンに「そんな事もできるようになってるなんて・・・本当に賢いわ。
頑張ってたくさん勉強したのね。誰にでもできる事じゃない、凄いわロビン!!」と言って頭をなでてくれた。
ロビンは、嬉しくて嬉しくて・・・声を上げて母の肩にすがって泣いた。報われたと思った。これで母と一緒にいれるのだと。




そこにサウロが駆け込んできた。
サウロとオルビアは知り合いで、何の因果かその娘のロビンと知り合っていたのだが、今はそんな事を説明している暇はない。
オルビアはサウロに「ロビンをお願い!!!娘を!!!必ず島から逃がして!!!」と頼んだ。
ロビンは、せっかく会えた母と離れたくなかった。今ここを離れると本当に孤独になる。学者のみんなもいない、母が帰ってくることのない世界で一人になるなんて嫌だった。




しかし、オルビアはロビンが生きる事を望んだ。
「私はまだ・・・ここでやる事があるから。ロビン、「オハラ」の学者ならよく知ってる筈よ。
"歴史"は・・人の財産。あなた達がこれから生きる未来を、きっと照らしてくれる。
だけど過去から受け取った歴史は、次の時代に引き継がなきゃ消えていくの。「オハラ」は歴史を暴きたいんじゃない。
過去の声を受け止めて、守りたかっただけ・・・!!
私達の研究はここで終わりになるけど、たとえこの「オハラ」が滅びても、あなた達の生きる未来を!!
私達が諦めるわけにはいかないっ!!!」














幼いロビンにはわからない理由だった。
そんな事より、今、自分と一緒に居てほしかった。
もう一人にしないで欲しかった。母と一緒の未来がよかった。ただ、それだけを望んだだけだった。

けれどオルビアは「いつかわかるわ。」と言うとサウロにロビンを連れて行くように再び頼んだ。
サウロは「・・・ええんだな!!」と一言だけ言って、ロビンだけをその手に包んで海岸に向かって走り出した。オルビアも一緒に連れて行こうと思えば出来たが、オルビアの意志を尊重した。

お母さんと呼んでくれて嬉しかった・・・ありがとう。
これからは私の分まで・・・「生きて!!!!ロビン!!!!」
オルビアは、再び泣き叫んで自分を必要とする娘を突き放した。




死にゆく自分達と一緒にいてはロビンに未来はない・・・、そうするより他に選ぶ道はなかった。






オルビアと出会う前のサウロは、海軍の中将であった。
サウロはかねてから、"歴史の探索者"を掴まえては殺す世界政府や海軍の意思を理解しかねていた。
荒くれ者の海賊達を殺すのはわかるが、彼等が殺すほどの脅威や罪のある人間には見えなかったのだ。

その日も、掴まえた"歴史の探索者達"を皆殺しにした部下達に意義を唱えていたが、そこに1人の生き残りがいた。
それがオルビアだった。

サウロがその女に「本当に兵器が欲しいのか?」と聞くと、女は純粋でまっすぐな目でサウロを睨みながら言い返してきた。
「哀れな人達・・!!意志もなく私達を裁くのね!!法律を疑いもせず、兵器阻止と口を揃えて・・あなた達は知りもしない過去に、ただ怯えているだけしゃないっ!!」と。
サウロはその女に興味を持った。


そんな折、サウロは上層部から「オハラ」への『バスターコール』作戦に参加するよう任務がくだる。
その恐ろしい作戦で学者達を殺すことにサウロは疑問を持ち、上司であるサカズキに「ヤツラが完全な"悪"だと言う証拠をくれ!!」と訴えたが、サカズキはただ「政府を疑うな、命令に従え」と言うだけだった。

疑問が払拭されないサウロは、女の元へと出向き、女に話しを聞いた。
納得が欲しかった。胸につかえる疑問を解消しない事には『バスターコール』で人々を殺すことが出来なかった。




結果・・・サウロは、オルビアを連れて海軍から逃走する。
海軍中将という肩書きを捨て、"歴史の探索者"という大犯罪者に手を貸す事を決意する。
「この不信感を持って、ワシは海軍に留まれんでよ。ワシの正義に従ったまでだ・・・。さぁお前・・・早く故郷に知らせに行け、追っての海軍はワシが引き受ける」
オルビアは、命の恩人であるサウロに「お礼は言わないわよ」と渋い顔で背を向けたが、サウロはそんなオルビアを「デレシシシシ!!!幸運を祈っとるでよ!!!」と大笑いで見送った。






オルビアと別れた後、海軍と戦って漂着して助けられたのがロビンだった、というわけだった。
サウロは今、そのオルビアから託されたロビンを手の中に、この命一つを助ける為に『バスターコール』の中を走っていた。

走りながら、ロビンに語りかけた。
「ロビン!!!誇れロビン!!!お前の母ちゃんは立派だで!!!オハラは立派だでよ!!!
この島の歴史は!!いつかお前が語り継げ!!ロビン!!オハラは世界と戦ったんだでよ!!!!!」




そんなサウロに、軍艦からの砲弾で直撃するが、サウロはロビンをかばって、自分の顔面で砲弾を受けとめた。
サウロには、もう何が正義なのか今はわからない。
ただ、大切な友達を守る。
それだけは間違いのない事と思えた。















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