145話 受け継がれる意志 （冬島・ﾁｮｯﾊﾟｰ登場-16）

『イッシー20』が全員病に倒れたと聞いたヒルルクは、瀕死の体で城に昇った先で『イッシー20』が病気だというのが真っ赤なウソだと知って、嬉しくて泣いた。「良かった…病人はいねぇのか」と安心し、だまされた事を喜んだ。




ワポルは、罠にかかったドクターヒルルクを撃ち殺そうとしたが、ドクターは「お前らにゃあ、おれは殺せねぇよ」と銃を止めた。

人はいつ死ぬと思う・・・・？
心臓を銃で打ち抜かれた時・・・違う。
不治の病に冒された時・・・・・違う。
猛毒キノコのスープを飲んだ時・・違う！！！
人に忘れられた時さ・・・！！！
おれが消えても、おれの夢はかなう。
病んだ国民の心も、きっと救えるさ・・・！！


その話を聞いていたドルドンは涙が止まらず、思わず「国も同じだろうか・・・」ともらした。



その問いにヒルルクは「受け継ぐ者がいればな」と答えた。



チョッパーは走った。ドクターの元へと命の限りに走った。ボロボロの体がギシギシと悲鳴をあげたが、今のチョッパーにはどうでもいいことだった。そして、ドクターは、チョッパーがそうする事はわかっていた。
「もうすぐここにバケモノがやってくる。おれの息子だ、手を出すな」
（安心しろよチョッパー、お前のキノコじゃおれは死なねぇ、ありがとうよチョッパー）

ドクターヒルルクは、空に向けて盃を高く持ち上げると、「まったく！！！！！いい人生だった！！！！！」と叫んでグイと酒を飲んだ。



同時にドクトリーヌも、ヒルルクの部屋でワインをグイと飲んだ。「あばよ、ヤブ医者」





その瞬間、ドクターの体は大爆音と共に吹き飛んだ。





頂上に到着したチョッパーの足元に、爆風で空を舞ったドクターの帽子がポトリと落ちてきた。自ら死んだドクターヒルルクをあざ笑うワポルに、チョッパーは殴りかかって行くが、ウシ型に変身したドルトンがチョッパーを涙ながらに止めた。
「ここから立ち去れ！！もうこれ以上・・・この国の犠牲になるな！！！頼む・・・」




チョッパーを見送った後、ドルトンはワポルに言った。
「この国の辿るべき道は見えた。滅ぶことだ。我々が国民の上に立っている限り、国を立て直す事などできるものか！！！この国の医療がどんなに発達していようとも、バカにつける薬はないのだから！！！」
その後ドルトンは投獄され、長い闘いが始まった。ドルトンは心に誓った。自分が、先代国王の意志を自分が継いでみせると。




城から走り去ってきたチョッパーは、ドクトリーヌに頼み込んだ。「医者を教えてぐだざい゛！！！お゛れ゛が万能薬になる゛ん゛だ！！！何でも治せる医者になるんだ！！！！だってごの世に治せない病気はないんだから！！！」
その手には、ヒルルクの海賊旗が握られていた。








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ルフィの拳は、この国の国民の、ドルトンの、ドクトリーヌの、チョッパーの、そしてヒルルクの意志を乗せてワポルの顔面へと入っていった。