
猿山連合軍は、メリー号を渦の中心まで運ぶと「じゃあ後は自力で何とか頑張れよォ!!!」と立ち去って行った。
渦の真上に"積帝雲"が重なったらしく、メリー号のいる渦の海域は突如の夜におそわれた。
ナミ、ウソップ、チョッパーと不思議鳥サウスバードは、渦に飲み込まれる恐怖にガクブルと震えたが、ルフィは一人、この大冒険にワクワク・ゾクゾクが止まらなかった。
船長がこうなった以上、クルーは覚悟を決めるしかない。
その時ふと、あれだけ暴れていた海が突然静まり返った。
ナミは気づく。海底の穴に海水が充分満ち、海が次の吹き上げへの準備を始めたことを。
静寂を破ったのは、後を追ってきた黒ひげ達であった。
黒ひげは、ルフィが1億ベリー、ゾロが6千万ベリーの賞金首になっている事を”麦わらの一味”に教えた。
二人は当然喜んだが、賞金首対象外のサンジは一人焦った。
黒ひげが麦わらの一味を追ってきたのは、賞金額を教えたいからではなく、その1億の賞金首を獲って、手っ取り早く海賊界に名を挙げるつもりであった。
だが黒ひげの目の前で、海はゆっくりと隆起を始め、ズドォン!!!!と物凄い爆音と共に、海はメリー号もろとも空高く突き上がっていった。

モンブラン・クリケットは微動だにせず、せわしなくタバコを何本も何十本も吸いながら、この時を待っていた。
モンブランは島から、猿山連合軍達は至近距離の船からそれぞれ、友の旅立ちを見送った。
「行けよ、"空島"!!!」

それは単なる友の出発ではなく、モンブラン・クリケットとその先祖の400年にも及ぶ戦いの”決着”をつけに行く旅でもある。クリケットは、麦わらの一味に自分の夢を託して見送った。
その旅立ちは、かつてなく凄まじかった。
突き上げる海流(ノックアップストリーム)の巨大な水柱の外側を、船が垂直に空を向いて走っているのだ。
このままでは、水流が起す勢いと風で弾き飛ばされ、下界の海にたたきつけられる!!!
皆がそう思った時、ナミが叫んだ。「帆を張って!!今すぐ!!!ここは海よ!ただの水柱なんかじゃない!!立ち昇る"海流"なの!!!そして下から吹く風は、地熱と蒸気の爆発によって生まれた"上昇気流"!!!
相手が風と海なら"航海"してみせる!!この船の"航海士"は誰!!? 」

ナミの指示にすぐさま全員が従い、仕事に就いた。
帆を張り、翼をひろげた「フライング・ゴーイング・メリー号」は、空を飛んだ。


「この風と海流さえつかめば、どこまででも昇って行けるわ!!!」
メリー号は航海士のその言葉通り、ぐんぐんと昇りつめ、とうとう"積帝雲"の中に突入する!!
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