『マリリン 7日間の恋』
昔からマリリン・モンローが好きだった。といっても、出演作を全部観るとか、彼女のことを詳しく調べるとか・・・そんなことは全然しない。ただ「マリリンが好き」なだけ。特に追いかけていなくても、あるとき突然、マリリンは眼の前に現われる。この映画も私にとっては、そういう「久しぶりに再会したマリリン」だった。
『王子と踊り子』の撮影のためイギリスに招かれたマリリンは、周囲との間に深刻な摩擦を起こす。監督兼共演者のローレンス・オリビエを始め、周囲はマリリンの不安の大きさが理解出来ず、本気で彼女の個性ややり方を尊重しようとはしない。精神的に追い詰められたマリリンは、その時傍にいて好意的な理解を示してくれた第3助監督コリンを頼るようになる・・・
マリリンを演じているミッシェル・ウィリアムズが素晴らしい!! 容姿容貌としてはマリリンにそれほど似てはいないこの人が、最大限の工夫と努力であの「マリリン・モンロー」になっているのだけれど、その土台にある(とはっきりわかる)マリリンに対する敬意と哀惜の情がそのまま伝わって来て、私は観ながら胸が痛くなった。私がマリリンについて想うとき、いつも頭をよぎる、あのカポーティの「うつくしい子供」・・・観ているうちに、この人が本物のマリリンに見えてきた。それはそのまま、終盤、オリヴィエ(ケネス・ブラナー)が語るマリリン像でもあって、自分に欠けているものを見せつけられる名優の苦さ、痛切さも印象に残った。
(実際には2014年6月2日に書いて送稿)
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