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眺めのいい部屋

人、映画、本・・・記憶の小箱の中身を文字に直す作業をしています。

『最終目的地』

2014-05-13 12:13:35 | 映画・本

ちょっと長目の「ひとこと感想」その7。

映画を観ている間ずっと、なんだか夕陽がゆっくりゆっくり沈んでいくのを、じっと見つめているような気分を味わった。この作り手の作品は何本か観たことがあるけれど、はっきり「落日」と感じたのは初めてだった。と言っても、映画がつまらなかったという意味ではなくて、ただ、「富(=文化・・・かもしれない)」というものの本質とかその最後の行く末?を描くとしても、これは老年期にある人の作り出した情景だと強く感じた・・・そんなことだったのだと思う。

まるで吹き溜まりに残された落ち葉のように、人里離れた邸宅にバラバラのまま暮らし続けている人々。それが、まるで「過去」を掻き起こすために遣わされたかのような青年の出現をきっかけに、考えるのを避けていた?それぞれの「最終目的地」を探し始める・・・それは南米ウルグアイという地に逃げ込んだ富裕層の道楽の果ての話?というよりは、自分にとって重要なのは本当は一体何なのかを、その人なりに真剣に考え、そして「決断」する話のように私には見えた。

青年の恋人はいかにもアメリカ的な合理主義?を感じさせる人物で、邸宅の女主人とは全く相容れない。それがなぜなのか、どこかでヨクワカル気がするのは、私自身これまでの人生がある種のモラトリアムのままだったことと関係があるのかもしれない・・・そんなことも考えたりした。

ジェームズ・アイヴォリー監督の映画が好きかと聞かれたら、私はきっと返事に困ると思う。

印象的だったのは『ハワーズ・エンド』『日の名残り』或いは『シャンヌのパリ、そしてアメリカ』・・・私はそれぞれ楽しんで観てきた。時の流れと共に、人が迷い、それでも「決断」する姿を、時には異文化の接する環境の中で見せてもらったけれど、私は元々そういう世界に興味を持っているのだとも思う。

が、それでも単純に好きと言えないモノが、この人の作品にはある。映画を観るたび、どうしてなのかなあ・・・なんて、いつもちょっとだけ不思議に思う。
 

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