富士市を中心の郷土史

昔話、城、寺、歴史。

富士市今泉の昔話(40)

2013年02月01日 21時51分14秒 | 昔話
>富士市今泉の昔話(40)外伝 善得寺考  富士の大木(4)

富士は数知れぬ噴火を繰り返しながら、今の美しい山容を形成
した。小御嶽・古富士・新富士の多重火山の事は知られている。
西側は天子山塊で森林地帯を形成し、その山裾より先記の方広寺
の大木が得られている。山裾にある、田貫湖よりの富士山を示す。



此の山裾は又豊富の水源が在り,「猪の頭」付近は殊に多く、鱒
の養殖・山葵の栽培が行はれているが、此処に頼朝の巻狩りの名
を残す「陣馬の滝」が在る。此の位置に次の写真の様な奇妙な石
が置かれている。「太鼓石」と呼ばれている。これは頼朝が巻狩
りの折、滝で太鼓を打つような音がしており、不思議に思って調
べた所、滝壺に此の石が在った為地上にあげ「太鼓石」と名づけ
たとの事である。これは以下に記する「熔岩樹型」のひとつであ
る。



(熔岩樹型)
富士の美しい容姿は多重火山として知られており、数知れぬ噴火
を繰り返しつつ熔岩を四方に流している。過去の実積は又、将来
の推定ともなり、次のハザートマップとして熔岩の流出が推定さ
れている。


富士山の熔岩は、玄武岩質の為粘性が低く、熔岩樹型が形成され
易く、新期熔岩流が広く分布しているので、各所に熔岩樹型が見
られる。

富士市発行の「富士市の自然」に調査報告・資料が在る為お借り
し記を整理する。

熔岩流が森林地帯を流れる時、木を包み或いは木に巻きついて冷却
後、木の痕跡を残した物が熔岩樹型である。従って木の状態により
樹型の形も変化している。立ち木であれば竪型に、倒れていれば横
型の樹形が造られる。又竪型には一本の立ち木による単一型と大き
な立ち木に流された数の木が寄っての複合型が在り、複合型は珍し
く世界でも富士山の8個のみである。
横型には熔岩の中に残された横臥樹型と、転動の樹幹に熔岩が巻き
付き熔岩流を離脱した筒状樹型がある。前記の
太鼓石は此の筒状樹型である。昔、十里木道沿いの今宮の神社に
50cm×2m程の筒状樹型が、砲身の如く飾られていたが今は
無い。何処かに移設されたか残念である。

四方に流れた熔岩流に次の様な流れが在り、森林地帯を通る時多くの
熔岩樹型を成している。青木原熔岩流・剣丸火熔岩流・大淵丸火熔岩
流・東臼塚丸火熔岩流・小天狗熔岩流更には古い日本ランド熔岩流等
其の地形に従って状況を変えている。

「富士市の自然」誌には東臼塚熔岩流の調査で下記の数が報告されて
いる。
  総計測数 482直立樹型433横臥樹型49(約1000mの北
域)
  深さ   1,5m~2m(熔岩の厚さに相当)
  大きさ  最小 12×12cm最大200×200cm(横臥)
        径 100cm以上  57本
   部分的の調査であり、一帯には尚多くが考えられる。樹種は確
定されていない。

「子供の国」は瀬古辻熔岩流の熔岩原であるが、此処にも多数の竪型
の熔岩樹型が整備時に発見されている。此の出来る状況を図示する。
詳細は静岡県地学誌(篠ガ瀬氏発表)にある。



富士山の熔岩樹型は、吉田胎内地区に63個、船津胎内地区に43個、
雁の穴地区に15個、鳴沢地区に12個が在り、天然記念物に指定さ
れている。鳴沢地区の物は特別天然記念物に成っている。鳴沢程度の
樹型は青木ガ原には多数あり、最大の物は直径3,2mもある。
(裾野市文化財報告 富士南麓の溶岩洞窟)より。

複合熔岩樹型は世界にも富士山以外は報告されていない。
十里木熔岩流は日本ランド内に氷穴を造っているが、これは熔岩洞窟
ではなく、複合熔岩樹型である。胎内と呼んでいる船津胎内、吉田胎
内、印野胎内はすべて複合熔岩樹型である。須走胎内、須山胎内は熔
岩洞窟である。十里木氷穴は、入り口部の直径2,5mの立ち木を中
心に、熔岩に押し倒された7本の木が流されて、立ち木に絡まり出来
た複合熔岩樹型である。ブナの2,5mの大木も珍しく、複合熔岩樹
型は文化財に成って居ないのが不思議である.
(裾野市文化財報告書より)



富士市今宮の丸火は、大淵丸火熔岩流熔岩原であり、各種の熔岩樹型
が散在している。熔岩塚も出来ている。横臥の熔岩樹型には最大直径
3mの物もあり、写真に示す。この様な大木(針葉樹と推定)が此処
にあるのは、多くの条件を満たす必要が在る。層をなす熔岩の上に大
木が育つ為の大量の土壌、育つ年月、またこの間災害の無かった状況。
又この大木が横臥して熔岩流に巻き込まれた状況は理解できない。風
害か或いは熔岩流か又は熔岩の上に育ち根が浅かったか不思議である。



丸火公園内には数多くの熔岩樹型があるが、池近くの樹型を案内板と
共に示す。



丸火公園内には3mの熔岩樹型を含めて1m~2mの径も数多くあり、
小径では長さ10mに及ぶ物もある。
状況は更に調査確認して戴きたい物である。



何にしても、富士山特有の熔岩樹型群は独特の複合熔岩樹型と共に世
界に誇れるものと思はれる。
ジオパークの形も有るのではないだろうか?

















































































最新の画像もっと見る

コメントを投稿