むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

林志玲バッシング、中国の浅ましさ(一部訂正)

2005-08-12 00:32:32 | 台湾政治
 11日の台湾朝刊各紙には、中国のネット族が台湾の人気モデル林志玲を「緑(台湾派政治勢力)の手先であり、中国の活動から排除すべし」として攻撃し、それに台湾側が応戦しているという記事が大きく出ている。林は中国のP&Gのマスコットガールになっている。
 この話、例によって自由時報が3面全面を使って展開している。
 今回の場合は、林がCFロケで大連で馬から落ちて大かげをして、台湾に専用機で帰ったときにスイタンタンのメンバーが空港で「中国から祖国台湾にお帰り」とプラカードを掲げて出迎えたり、台湾で入院中に呉淑珍総統夫人が慰問に訪れたりしたことが直接のきっかけとなっているようだ。
 しかし、林志玲の両親が陳水扁・民進党の支持者で独立派としても有名で、林志玲自身も有名になる前は両親と一緒にそうした活動に参加してきたのは台湾でも誰でも知っていること。それをいまごろになって騒いでいる中国人も呆れる。
 林の父の林繁男はアルミ製品製造業を経営していた金持ちで、陳水扁を北門ロータリーの会員に引き込んだ張本人、母の呉慈美は、陳水扁の女性応援隊ともいえる「台北水噹噹(スイタンタン、台湾語で綺麗なさまをいう)姉妹聯盟」の現理事長、しかも母親は2月の扁宋会(陳水扁・宋楚瑜会談)にも激怒し、連戦訪中でも空港に抗議行動に行ったほど。そうした政治傾向のせいもあって、私も面識はある。
 中国のネット族はこれまでも台湾の一部タレントを「緑の芸人」として攻撃し、ボイコットを主張してきた。中国に言論の自由があるわけがないから、これは当局の差し金だと見ていい。
 槍玉にあがったことがあるのはバンドの五月天、シンガーソングライター伍佰と陳昇、台湾語歌手江、アイドル3人組S.H.E.、男性4人組F4、シンガーソングライター周杰倫、アイドル蔡依琳、アイドル張惠妹など。
 このうち、五月天、伍佰、陳昇、江は緑寄りだというのは周知の事実。S.H.E.、F4、周杰倫、蔡依林あたりは商売上明らかにはしていないが、年齢と背景からして当人たちは緑支持の可能性もある。ただ、張惠妹の場合は当人は青(国民党)寄りだと考えられ、完全に濡れ衣であった。
 もともと台湾の芸能界は、テレビとレコード会社が長年外省人が支配してきた背景から、いまでも青寄りが多い。内心では緑支持でも表向きは国民党支持を言っている場合もあるが、それを含めてすら緑寄りは台湾語歌手やアングラバンドを中心として2割にも満たないだろう。それも明確に緑を支持すると、芸能界を仕切っている外省人からオミットされて仕事が回らなくなる、ということがいまだに行われている。
 こうしたバッシングはおそらく中国側が芸能界全体への圧力を狙ったものだろう。ひそかな支持を入れても2割に満たない緑系をさらに追い詰めて、中国に屈服させようという魂胆である。実際、この結果、中国にも進出している五月天、伍佰は、最近は表向きは政治的発言をまったく避けているし、ほかのアイドル系にいたっては言わずもがなの状況である。
 今回の林志玲の件でも、当人は「わたしは政治的には何も支持していない」と主張、母親も「本人は何色かといわれれば、色とりどり」と語っているらしい。しかし、ここで「緑でなぜ悪い」と開き直らない(直れない)ところが、中国でも稼ぎたいからなのか、いまひとつ私には理解できない。

 ちなみに、林志玲をめぐる異性交際のゴシップを少し。
 「携帯電話修理事件」でF4メンバーの言承旭とのツーショットが流出してから言との交際が有名になっていたが、ゴシップ週刊誌「壹周刊」216期(7月14日号)は台湾ガラスの御曹司で中国で事業展開している邱士が林の事故後に花束を贈ったことや友人談として「本命」としているほか、最近はゴシップ週刊誌の「獨家報導」886期(8月5日号)が台湾語ラップ歌手の施勝霖と見合いしたなどと書いている(施性霖、かつては岳峰となのって米国や日本でも独立運動界に登場しては騒いでいた、私も知っているが本当かよって感じだ)。

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