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ある日カッパ姉ちゃんとカメラおじさんの家に一匹の子犬がやってきた。
日々のうつろいの発見と冒険を胸に生きていこう!

こちら、自由が丘ペット探偵局

2008年03月14日 | 投稿連載
今日から古海(フルミ)さんの新しい連載がはじまります。
一話ごとの完結中篇だそうです。

こちら、 自由が丘ペット探偵局  作者 古海めぐみ
   第一話 春とハル
     1
 森の中でキバは、生まれました。
尾根道を小さな沢沿いに岩山を登った通称秩父の登山家の間で「つきだし岩」
といわれる崖の下の岩棚でその年の暮れに四匹生まれたうちの一匹でした。
 母親は、クロと呼ばれて尊ばれていました。この当りでは誰もが捜し求めて
いて遭いたがっていましたが、そのエロチックでうっとりする姿を見た人は、
過去に二人しかいません。しかもその内のひとりは、高齢で話もできないほど
に衰えてしまっていますし、もうひとりは、まだ若かったのですが不幸にも
事故でもうこの世にはいません。だからその二人から聞いた話が彼女について
のすべてなのです。全身茶褐色で背中が黒くて敏捷で首の毛の輝きといい、
腰のしなやかな括れといい、とても麗しくて寒風にじっと耐えて立っている姿
などなんとも美しかったといいます。この奥秩父の山に入る者の中には彼女に
遭えたら死んでもいいという者までいました。
今となっては、その伝説のクロが生んだ子が里に出てきたのですから、驚きです。
しかもそれがあの幻のニホンオオカミの子孫だと知られないままだった
のですからなおさらです。
 今いるキバは、実は二代目です。クロの子のキバがさらに三匹子を産み
ました。そのうちの一番大きな子にキバとダム湖に住む老人は、名づけま
した。その経緯について書かれたその村木忠彦というしいたけ農家の老人
からの手紙がここにあります。

 前略。○○様。
 今年は、雪が少なくて助かると思っていたら先週からの春の大雪で急に
忙しくなり、しいたけの苗木の補強に一汗かいているところです。
 先日貴殿からの質問に早く返事を出さなければと思っておったのが伸び伸び
になってしまったのもそういうことですのでご了承いただきたく思います。
 さて、私がキバを見つけたのは、四年前になります。夏の終り雲取山へ登った
帰りに沢で傷ついた一匹のシバ犬の子を見つけました。
崖から落ちたのか、熊に襲われたのか、前肢が折れていましたので、代えの
シャツで包み背負子に入れて家へつれて帰りました。
 一ヶ月もするとみるみる元気になったのですが鼻が高く肢や腰の筋肉の盛り
上がりがものすごくて、どう見てもシバではないと思いました。
ものの一年で充分大きくなり、鶏を追い掛け回したり近所のシェパードなどにも
物怖じせずかかって行ったりなかなか私の家内や子供にも懐かず牙を剥いて
ばかりで困りました。辛うじて私にだけは、甘えて山仕事に行くときは、
いつもついて来て可愛いもんでした。
それが3才になった秋だったと思います。
台風が連続して関東を襲い、三峰から雲取山にかけてものすごい嵐になって
やっと二週間ぶりに日本晴れになった夜のことでした。
山からやけに遠吠えが聞こえて、それも何匹かの声が近くまで来たような気がして、
私は、酒を呑んで寝てしまったのですが、妻が眠れずに明け方四時ごろまで
聞こえていたと云っていました。そして翌朝私が畑に肥料をやりに行こうと庭の
犬小屋を横切ったとき、キバがいなくなっていたのです。
 山から野犬かオオカミが呼びに来たのかと私たちもそれから一週間も帰って来
ないので諦めていましたが、ある日しいたけを籠につめて山から帰ってくると、
庭の小屋にキバが何事もなかったみたいに座っていて私を見ると、尻尾を振って
駆けて来るではありませんか。びっくりして夕食の残りとドッグフードを混ぜて
やるとペロリと食べてお代わりまでねだりましたので今日は、特別だげなとあげ
ました。 それから数ヶ月後キバは、子を産みました。
どこで孕んできたか、わからないけどとにかく三峰郵便局の柳内さんに相談して
生まれた三匹のうち二匹の貰い手を捜してもらって、一番大きな黒毛の子を家で
育てることにしました。いよいよみんな貰い手が決まり子別れで東京の方に引き
取ってもらう日の前日、激しい雨が降って遠くで又遠吠えが聞こえてきました。
そしてなんだか嫌な匂いが裏山からたち込めて、あんまり鼻について気持ち悪い
ので雨戸を閉めて夏でもないのにフマキラーを廊下に撒いて朝を迎えました。
そしたら庭の犬のキバたちがすっかりいなくなっていたのです。ちょうど黒毛の
子だけが妻に初めて懐いたので家の中で一緒に寝ていたので一匹だけは、
残りました。それが二代目のキバです。
 東京から来られた八木さんという人にしかたないのでそのキバを差し上げる
ことにしました。その人は、国立博物館にお勤めの方でキバと親のキバの写真を見
ながら、これは、犬ではないと妙に興奮されて、極端に鼻のストップがないのと
前肢の斑点がどうもニホンオオカミかもしれないと言われました。
私としては、いままで犬として可愛がってきましたのでただただ驚くばかりし
でした。
それから一週間後の土曜日八木さんが再び五六人の学生さんと来られてうちの
裏山から雲取山までをオオカミを探して一泊して行きました。こちらとしては、
変な縁で育てるようになったキバと別れるのが辛くて日曜日の夕方三峰まで
八木先生たちに連れられていくキバを見送ることができずに子供に道案内を
させました。
 それから先東京で八木先生たちに起きたことは何もわかりません。
今もあの、シッポを振って鼻を私の膝小僧にゴシゴシ押し付けてくるキバを
思うと年のせいか、鼻の中がキューン痛みます。
以上がキバとめぐりあった経緯です。   
何か貴殿の研究のお役に立てればこちらも幸いです。   
                        千島安五郎
追伸、その後八木先生たちのお体は、大丈夫でしょうか。
一刻も早い事故からの回復を願っています。
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ロイヤルのスイートポテト~シーちゃんのおやつ手帖39

2008年03月14日 | 味わい探訪
レストラン・チェーンのロイヤルホストのおみやげお菓子。
これは、東京などで手に入らず、福岡限定で出張で福岡空港に
寄ったときにおみやげで買ったりして、手に入れてました。
スイートポテトは、どこでもあるのですが、
このロイヤルホストのものは、しっとり感と品のいい甘さが
なんとも他にないものです。
ただ最近わかったことに、用賀の246沿いの本店だけでは
どうも売っているのです。
こっそりと。
すぐに売り切れるそうです。
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