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ある日カッパ姉ちゃんとカメラおじさんの家に一匹の子犬がやってきた。
日々のうつろいの発見と冒険を胸に生きていこう!

洞(ウロ)覚え

2007年05月17日 | めんちゃん日記
いつも通る住宅街の散歩コースに
壁から大きな木が生えているよ。
車が一台やっと通れる道は、両側にお家がびっしり。
毎日すれ違う車や人にこすられ木も大変だけど
この木さんを残してやったお家の人はえらいね。

この木にはいつのころか洞(ウロ)があるんだ。
ぼくは、ときどきこの洞に入って休むことがあるよ。
木の穴の中から懐かしい匂いがする。
木さんが昔の話を聞かせてくれることもあるんだ。
ここがまだ畑と雑木林だった頃、うさぎやきつねが
木さんの周りによく遊びにきたんだって。
東京のド田舎だった。
戦争が終わると満州から引き上げてきた人たちの村が出来て
それが東京オリンピックになるとその人たちを
立ち退きさせて、今の駒沢オリンピック公園をつくった。
そして近くの畑も田んぼもみんなすき間なくお家が
建てられたんだ・・・て。
木さんは、遠い記憶を思い出しながら
空に広げた枝葉を見上げたよ。
風がぴゅー、ぴゅーって葉っぱを叩いていった。
カメラおじさんがぼくのリードを引っ張って言ったよ。
「この木も切られたら、ここに何があったか、
 うろ覚えですぐに忘れてしまうね。
 さあ、行こう。めんちゃん。ここに森があった
 ことを感じて、しまっておこう。」
ぼくは、このウロでおしっこするのをやめたよ。

コメント
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