ビルボード・チャート日記 by 星船

1970年代から80年代にかけての特にビルボードのチャートを中心に、洋楽を愛する皆さまにお届けするブログです

アニタ・ベイカー Anita Baker - Sweet Love(1986年の洋楽 Part44)

2022-11-10 21:29:14 | '86年洋楽
1986年の洋楽ヒット曲を紹介するシリーズのPart44は、Anita Bakerの”Sweet Love”。最高位は11月1日付の第8位。年間チャートは90位。年度の途中ということで、年間チャートは90位と下位でしたが、Hot100には22週間のロングヒット、初の大ヒットでした。

Anita Bakerですが、80年代初めころ、ソウルグループ「Chapter 8」のリードボーカルとして音楽活動を開始しますが、このChapter 8では、ヒット曲が出ず、ソロ歌手として独立します。

ソロとしてのファーストアルバムは、1983年の『The Songstress』、レギュラーチャートでは大ヒットにまでは至りませんでしたが、R&B界ではヒットアルバムとなり、シングルも何曲か、R&Bチャートに送り込みます。

そして、1986年にリリースしたのがセカンドソロアルバム『Rapture』、このアルバムで彼女の人気に火が付き、レギュラーチャートでも大ヒットを記録しました。

アルバム『Rapture』のプロデューサーは、「Chapter 8」にAnita Bakerとともに所属していたMichael J. Powellと、Marti Sharron、Gary Skardinaの3人によるもの。ソウルにプラスして、ジャズのセンスが入ったアルバムで、極上のAORアルバムといっていいでしょう。

アルバムは、R&BチャートでNo.1を記録、レギュラーチャートでも、最高位こそ11位でしたが、1986年から、なんと3年間、アルバム年間チャートに入る超ロングヒットアルバムとなりました。アルバム年間チャートでは86年59位→87年9位→88年51位、いやはや、あんまり知られてないですが、記録的なすごいアルバムでした。

そのアルバムから、ファーストシングルの"Watch Your Step"は、R&Bチャートのみでのヒットでしたが、セカンドシングルのこの曲”Sweet Love”が、レギュラーチャートでの大ヒットシングルとなりました。

この曲の作者は、Anita Baker本人と、Louis A. Johnson、Gary Biasの3人の共作。このLouis A. Johnsonですが、なんと懐かしい、ファンクグループ「The Brothers Johnson」の中心メンバーの Johnson兄弟の弟の方です。

”Sweet Love”ですが、ソウルバラードであり、ジャズの雰囲気も持った曲、R&Bチャートで2位、Adult Contemporaryで3位を記録している、ソウル系のAORバラードソングです。
その曲を歌っているのがAnita Baker、良い声しています。この曲では、抑え気味に歌っているのですが、そこもまたボーカルの素晴らしさを引き立たせています。
アルバムを「極上のAORアルバム」と書きましたが、この曲はそのアルバムを象徴する極上のAORソングでした。


この”Sweet Love”を作曲したLouis A. Johnsonの「The Brothers Johnson」が、1977年に出したヒット曲"Strawberry Letter 23"。最高位は5位でしたが、この曲はファンク・ソウルのヒット曲の中で私の最も好きな曲でした。
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ビルボード 全米 Top40 1986年11月8日付 ロバート・パーマー Robert Palmer - I Didn't Mean To Turn You On

2022-11-06 20:23:21 | 1986年ビルボードTop40
1986年11月8日付ビルボード All American Top40、4位から上がって1位はBostonの"Amanda"。8年ぶりにTop40に登場したBoston、デビューシングル"More Than a Feeling"の5位、"Don't Look Back"を上回り、ついに初のNo.1ヒットです。Top40ヒットは1978年の最高位31位の"A Man I'll Never Be"以来、この曲で6曲目のTop40ヒットで、3曲目のTop5ヒットです。

2位は3位からアップ、Robert Palmerの"I Didn't Mean To Turn You On"。Robert Palmerですが、初のTop40ヒットが1978年の"Every Kinda People"。以来、この曲で5曲目のTop40ヒット、No.1の"Addicted to Love"に続く2曲目のTop5ヒット、さらに、The Power Stationの3曲を含め、8曲目のTop40ヒットです。

3位は2週間の1位からダウン、Cyndi Lauperの"True Colors"。Cyndi Lauperですが、デビュー曲の"Girls Just Want to Have Fun"がいきなりの2位、次の"Time After Time"がNo.1を記録、この2曲を含め、この曲で7曲目のTop40ヒットで、4曲目のTop3ヒット、"Time After Time"に続く2曲目のNo.1です。

4位は5位からアップ、The Human Leagueの"Human"。The Human Leagueですが、1981年のアメリカでの初めてのヒット"Don't You Want Me"がいきなりのNo.1を記録、以来この曲で4曲目のTop40ヒットで、2曲目のTop5ヒットです。

5位は6位からアップ、Madonnaの"True Blue"。Madonnaですが、この時点ではまだデビューから4年目ですが、1983年の初のTop40ヒット"Holiday"が最高位16位、そのヒットを皮切りに、この曲までに、"Like a Virgin"を始めとするNo.1ヒット4曲を含め、Top40ヒットが11曲目、そのうち10曲がTop10ヒット、9曲目のTop5ヒットです。

この週2位がRobert Palmerの"I Didn't Mean To Turn You On"。最高位はこの1週のみの2位。年間チャートは年度の途中でもあり46位。Bostonの"Amanda"に抜かれ、1位を逃してしまいましたが、初のNo.1ヒット、年間10位の"Addicted to Love"に続く、この年2曲目の大ヒットです。

Robert Palmerですが、イギリスヨークシャー出身のロックシンガー。ロックシンガーではありますが、ただのロックではありません、R&Bシンガーでもあり、レゲエ系の曲も歌うなど、多彩でソウルフルなロックシンガーです。

元々はR&Bグループにいたようですが、70年代中頃に、そのソウルフルなボーカルが注目され、ソロシンガーとしてデビュー、初のソロアルバムを74年にリリースしますが、大ヒットまでには至りませんでした。その後、3枚のアルバムを発表、段々とヒットの階段を上がっていき、4枚目のアルバムからのシングル"Every Kinda People"が初のTop40ヒットで最高位16位を記録します。この"Every Kinda People"は、レゲエ色の強い曲で、この曲がTop40に上がってきたときには、それまで聞いたことがない個性的な曲に、大変驚きました。

その後、ソロでのヒットは、79年の最高位14位の"Bad Case of Loving You (Doctor, Doctor)"のみでしたが、85年にはDuran DuranのAndy Taylor、元ChicのTony ThompsonなどとThe Power Stationを結成、"Some Like It Hot"など、3曲のTop40ヒットを出します。

そして、85年にリリースしたのが彼の8枚目のソロアルバム『Riptide』。このアルバムは最高位は8位、アルバム年間チャートも11位に入る、彼のアルバムの中でも最もヒットしたアルバムとなりました。

このアルバム『Riptide』のプロデュースは元ChicのBernard Edwards。バックにはAndy TaylorとTony Thompsonが参加するなど、The Power Stationで得たつながりを最大限生かしたアルバムとなっていました。このアルバムからは、ファーストシングルの"Discipline of Love"がTop40には入らなかったのですが、2枚目のシングル"Addicted to Love"が突然1位となる大ヒットシングルとなりました。こちらをご覧ください→→→

このアルバムからは、サードシングル"Hyperactive"が最高位33位のいまいちのヒットでしたが、なんと4枚目のシングルのこの曲"I Didn't Mean To Turn You On"が、最高位2位を記録する大ヒットとなりました。
"I Didn't Mean To Turn You On"ですが、私のブログの記事でも何度か話題になっています、Jimmy Jam and Terry Lewisの作品、この時のチャートの上位には、彼らの作品が、この曲を含め、3曲入っています。

"I Didn't Mean To Turn You On"ですが、オリジナルはアメリカのR&BシンガーCherrelleの曲、1984年に最高位は79位と、レギュラーチャートでは大ヒットには至りませんでしたが、ダンスチャートでは6位を記録、テンポの良いダンスミュージックでした。

その曲のRobert Palmerバージョンですが、オリジナルとはだいぶアレンジが変わり、Robert Palmerの抑えたボーカルの曲となっています。
この曲のPVには、”Addicted To Love”のPVで話題になった無表情の4人の女性が、この曲のも出演しています。なかなかインパクトありますね。


こちらがオリジナルのCherrelleバージョン。この頃流行っていた女性ダンスミュージックです。この数年後にシングルとなったら大ヒットとなったかもしれません。


今週 先週 song / artist
1 4 AMANDA / BOSTON
2 3 I DIDN'T MEAN TO TURN YOU ON / ROBERT PALMER
3 1 TRUE COLORS / CYNDI LAUPER
4 5 HUMAN / HUMAN LEAGUE
5 6 TRUE BLUE / MADONNA
6 9 TAKE ME HOME TONIGHT / EDDIE MONEY
7 11 YOU GIVE LOVE A BAD NAME / BON JOVI
8 2 TYPICAL MALE / TINA TURNER
9 12 WORD UP / CAMEO
10 13 THE RAIN / ORAN "JUICE" JONES
11 8 SWEET LOVE / ANITA BAKER
12 15 THE NEXT TIME I FALL / PETER CETERA WITH AMY GRANT
13 18 I'LL BE OVER YOU / TOTO
14 20 LOVE WILL CONQUER ALL / LIONEL RICHIE
15 25 HIP TO BE SQUARE / HUEY LEWIS & THE NEWS
16 22 EMOTION IN MOTION / RIC OCASEK
17 10 ALL CRIED OUT / LISA LISA & CULT JAM
18 27 THE WAY IT IS / BRUCE HORNSBY & THE RANGE
19 7 WHEN I THINK OF YOU / JANET JACKSON
20 21 I AM BY YOU SIDE / COREY HART
21 24 JUMPIN' JACK FLASH / ARETHA FRANKLIN
22 29 TO BE A LOVER / BILLY IDOL
23 31 EVERYBODY HAVE FUN TONIGHT / WANG CHUNG
24 17 GIRL CAN'T HELP IT / JOURNEY
25 36 WALK LIKE AN EGYPTIAN / BANGLES
26 32 FREEDOM OVERSPILL / STEVE WINWOOD
27 30 SOMEBODY'S OUT THERE / TRIUMPH
28 14 HEARTBEAT / DON JOHNSON
29 16 THROWING IT ALL AWAY / GENESIS
30 19 A MATTER OF TRUST / BILLY JOEL
31 39 STAND BY ME / BEN E. KING
32 23 TWO OF HEARTS / STACEY Q
33 38 WHAT ABOUT LOVE / 'TIL TUESDAY
34 37 LIVE AND DIE / ORCHESTRAL MANOEUVRES IN THE DARK
35 28 DON'T FORGET ME (WHEN I'M GONE) / GLASS TIGER
36 26 IN YOUR EYES / PETER GABRIEL
37 40 DON'T GET ME WRONG / PRETENDERS
38 43 WILD WILD LIFE / TALKING HEADS
39 44 YOU KNOW I LOVE YOU DON'T YOU? / HOWARD JONES
40 47 SHAKE YOU DOWN / GREGORY ABBOTT
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ジャーニー Journey - Girl Can't Help It(1986年の洋楽 Part43)

2022-11-03 21:57:30 | '86年洋楽
1986年の洋楽ヒット曲を紹介するシリーズのPart43は、Journeyの"Girl Can't Help It"。最高位は11月1日付の1週のみの第17位。年間チャートは圏外でした。
ここのところ、私のブログへの登場は、女性ボーカルや、ロックでもバラード系が多かったので、良い曲は沢山ありましたが、いささか物足りないところもありました。そこで、今回は、気持ちの良いロック、ニール・ショーンのギターソロもカッコイイこの曲"Girl Can't Help It"です。

Journeyですが、ロックファンの方ならもちろんご存知、アメリカンロックバンドの中では、最も人気のあるバンドです。
結成は1970年代初めころ、レコードデビューは1975年、初めはアメリカン・プログレ・ハードロックハンドとして結構マニアックなインストゥルメンタルのプログレッシブロックを演奏していました。その後のジャーニーのヒット曲を聞いてから、ファーストアルバムを聞くと驚いてしまうアルバムでした。

1977年、ボーカルのスティーヴ・ペリーがバンドに参加、これを機に、ジャーニーの音楽性は劇的に変わります。1978年の4枚目のアルバム『Infinity』は、アルバムチャートで最高21位を記録するヒットとなり、シングルも、Top40は逃しますが、Hot100に入るヒットとなります。
続く5枚目のアルバム『Evolution』、このアルバムから、初のTop40ヒット"Lovin', Touchin', Squeezin'"がでます。

ジャーニーが、さらにビックグループになったのが、1981年にリリースした彼ら7枚目のアルバム『Escape』。ロックバンド「ベイビーズ」から、キーボードのジョナサン・ケインの参加がきっかけでした。
アルバムはNo.1を記録、シングルも、"Who's Crying Now"と"Open Arms"の2曲のTop5ヒットを記録する、大ヒットとなりました。こちらをご覧ください→→→

その後も、8枚目のアルバム『Frontiers』もアルバムチャート2位を記録する大ヒットを経て、1986年にリリースしたのが9枚目のアルバム『Raised on Radio』です。このアルバムからは、ファーストシングルカット曲"Be Good to Yourself"が最高位10位を記録し、今回紹介する"Girl Can't Help It"を含め、4曲がTop10に入り、アルバムも、最高位4位を記録する、これもまた大ヒットアルバムとなりました。こちらをご覧ください→→→

さて、その"Girl Can't Help It"ですが、曲の作者はメンバーのJonathan Cain、Steve Perry、Neal Schonの3人の共作。プロデュースはSteve Perryが務めています。
この曲、スティーブ・ペリーのボーカルばかりが目立つわけではなく、イントロから、ジョナサン・ケインのキーボード、ニール・ショーンのギターがすごくカッコイイ曲です。ニール・ショーンのギターソロもまた良いですねー!

このアルバム『Raised on Radio』、ホント良い曲が沢山入った名盤でした。だた、このアルバム作成途中に、ドラムスのスティーヴ・スミスもバンドを脱退、メンバーはスティーブ・ペリー、ジョナサン・ケイン、ニール・ショーンの3人だけとなってしまいました。このアルバムリリース後、残念ながらジャーニーは活動を停止、次のアルバム発表は10年後の1996年になります。
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