無理な新橋かけないわ - 身知らず

「自粛」のお触れが強化され、いよいよ人出が減るに至って、気にかかっていたのはなじみの店の動静です。無情の雨にたたられた夜、見舞いを兼ねて「身知らず」の暖簾をくぐりました。
独酌という習慣を持つようになったのは、新橋に通い始めてからであり、その新橋で最も古くから世話になってきたのがこの店です。自分にとっては原点ともいえる店の一つですが、訪ねる頻度は年々少なくなっていき、去年に至っては一度も機会を作ることができませんでした。ただし、その間も店先まで行ったことが二、三回あります。しかるにその都度混み合っており敬遠した結果、一度も入れなかったというのが真相です。
今やそれほどまでの人気店に変貌した当店も、世相がこれほど荒んではひとたまりもないでしょう。近隣の繁華街の中でも、新橋がとりわけひどくやられているという噂を耳にしていたこともあり、ともかく足を運ぶのが喫緊の課題の一つでした。こうして現地へ乗り込むと、二つあるテーブルがいずれも埋まる思った以上の盛況です。ただし、カウンターでは前回世話になった手伝いのお姉さんが手持ち無沙汰にしていました。よくよく聞けば昨日限りで退き、今日はお客として来たとの返答が。従業員を抱えるほどの余裕がなくなってきたことから、暇を出したということでしょうか。あと一日遅ければ、再会することもないまま終わっていたでしょう。奇縁を感じ、名刺を頂戴して席を立ちました。

★身知らず
東京都港区新橋4-11-6 植木ビル1F
03-5473-9540
1700PM-2300PM
土日祝日定休

会津中将うすにごり・純米原酒
お通し(凍み豆腐)
馬刺し肩バラ
くじら汁