日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

本日の晩酌 - 月肴

2020-04-12 20:58:59 | 居酒屋
前日の清々しい快晴から一転、一瞬薄日は射したものの、あとは冴えない曇り空でした。この状況で休みがあっても猫に小判でしかありません。一日返上して業務を片付け、足止めされて以来初めての週末を終えました。あとは一杯やるだけです。
目下の状況からすると、店で呑める機会は実質土日に限られます。当然ながら、今夜も開いている店がないだろうかと探しはしました。しかし、前日の状況からして多くを期待できないのは明らかでした。案の定、明かりがついている店自体ほとんど見当たりません。「宮わき」が開いてはいたものの、誰もが疑心暗鬼になっている世知辛いご時世、一度訪ねただけの分際で飛び込むのはいささか憚られます。六時を過ぎるとその明かりも消えました。素性の知れた予約客だけ受け入れて、早仕舞いする方針なのかもしれません。これにより店で呑む選択肢はなくなり、呑み屋の肴を持ち帰るという自身初の試みに落ち着きました。第一弾を飾るのは「月肴」です。

評判をかねがね聞いてはいたものの、予約満席も珍しくないと聞き、天邪鬼の習性で敬遠していた一軒です。それが今回の一騒動により、図らずも訪ねる機会を得たわけなのですが、人気のほども宜なるかなと思わせる名店でした。
日替わりの品書きは弁当が何種かと、惣菜を少しずつ折に詰めたおつまみ盛り合わせという構成です。晩酌するということになると、選択肢は自ずと後者に絞られます。この盛り合わせが秀逸です。刺身に始まり焼物、揚物、酢物、一品から酒肴まで、かなりの数の品々が詰め込まれ、物量感は相当なものがあります。平常時に出したとすれば、倍前後してもおかしくはないでしょう。しかも、持ち帰っていただくことを前提に、冷めてもおいしくいただけるよう工夫されているのは心憎いものがあります。店としても出血覚悟の奉仕品なのかもしれません。これなら週に一度か二度世話になるにもやぶさかではなくなってきます。
女将が先客に話していたところによると、開業資金を完済し、改装のため再び借りた矢先だったようです。これでまた借金が増えるだろうと、冗談交じりに語っていました。一人客の貢献など焼け石に水ではありますが、せめてもの支援を兼ねて、これからもしばしば世話になるつもりです。

和酒 月肴
東京都新宿区舟町5-25 TSI FUNAMACHI1F
03-5919-6697
1800PM-2400PM(LO)
日祝日定休

鰯の蒲焼きしらす和え
鰆の酢橘醤油焼き
本鮪ヅケ
こごみ・タラの芽・ふきのとうのメンチカツ
ちりめん山椒と九条葱の出汁巻
たこ酢の物
さやえんどう
菜の花
梅水晶
蕗味噌
コメント