日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

薫風の飛騨を行く - 大もり

2017-05-20 23:53:52 | B級グルメ
初めて高山に泊まったとき、酔客御用達のラーメン屋を探しながら、結局見つけることができませんでした。しかし今回、これはという店にようやく出会うことができました。本日のトリを飾るのは「大もり」です。
店は呑み屋街というより駅に近い場所にあり、今まで気付かなかったのもそのためです。釜石で入った仮設の飲食店のごとき、見るからに安いと分かる普請はさておき、地元の酔客で賑わう雰囲気は、こちらが探し求めていた店そのものです。
カウンターに立つのは店主らしきおばちゃんと助手の二名。ただし助手は文字通りの助手であり、調理は全ておばちゃんが担当しています。かなりの数の注文を華麗な手さばきで仕上げていく様子はまさに職人芸です。ほどなくして出てきたチャーシューメンは、雷文入りの小振りな丼に淡い色のスープを満たし、極細の縮れ麺と巻きチャーシュー五枚、それに葱、メンマ、なるとに焼海苔を乗せた美しい出で立ちをしています。「やよいそば」ほど特筆すべき味わいではないものの、酔客の味覚に合わせたかのような、毎日でもいただけそうな味わいは、稚内の「庄内食堂」を彷彿させるものがありました。もちろん汁一滴残さず完食です。

大もり
高山市初田町1-3
0577-36-5512
1500PM-1800PM/2100PM-200AM
日曜及び月曜定休
チャーシューメン750円
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薫風の飛騨を行く - 本郷

2017-05-20 22:18:13 | 居酒屋
一軒目をどこにするかはともかく、最後を飾る店については確立した感があります。10時を回ったところで「本郷」に飛び込みました。
和洋折衷の小洒落た店で、自分以外に一人客を見かけたこともなく、中年男が一人で呑むにはどうかという面があるにはあります。しかし、お客が引けた終盤に軽く一杯やるなら、むしろ上々の店ともいえます。腹にたまるものだけでなく、酒のあてが一通り揃っており、しかもそれらに郷土色もさりげなく織り込まれていて、窓の向こうに見える宮川の流れにも情緒があります。ラストオーダーと閉店時刻が必ず守られ、早仕舞いのおそれがないのもお誂え向きなのです。

今回気付いたのは、カウンターの頭上にある品書きの黒板です。初めてここを訪ねたとき、何枚もある品書きを一読する間もなくラストオーダーを聞かれ、咄嗟には選びようもなかったという経験をしましたが、その日のおすすめと当店の名物は黒板に書かれるため、まずはこちらを見ればよさそうです。
その黒板には、飛騨の山菜が絵入りで紹介されていました。こしあぶらをコンテツと呼んだり、小豆菜、もみじがさ、行者にんにくなど葉物が多かったりするところは、自身慣れ親しんだ東北の山菜とは趣を異にします。先ほど「あんらく亭」で天ぷらをいただいたときも、見慣れない葉物が多く出てきました。山菜も土地により様々なのだと気付いた次第です。

本郷
高山市本町3-20
0577-33-5144
1800PM-2230PM(LO)
日曜定休(祝日の場合営業し翌日休業)
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薫風の飛騨を行く - あんらく亭

2017-05-20 20:50:45 | 居酒屋
本日の時間配分はおおむね理想的でした。朝は甲府に、昼は松本に寄って、日中の残り時間で木曽路を下り、日が暮れて一風呂浴びて移動すると、九時前というほどよい時間に高山へ着きました。しかし最後に足をすくわれました。「樽平」に早仕舞いで振られたのですorz
店の明かりが消えており、まさかと思い時計を見ると8時40分でした。扉が少し開け放たれており、暖簾の向こうには、二、三の先客が残ったカウンターが見えます。このことからも、明かりを消してからそれほど時間は経っていないようです。何度も通って気心知れた店ならば、挨拶がてら飛び込んで、もう仕舞いかと一応聞いてみる手もありでしょう。しかし、たかが二回訪ねただけの分際で、そこまでするのは憚られます。今回は縁がなかったものとあきらめて、同じ並びの「あんらく亭」に飛び込みました。

実は、すぐさまここを目指したわけではありません。教祖に頼ってばかりというのも面白くなく、この機会に自力開拓することも考えました。そう思い立ったのは、宿から歩いてくる途中、看過できない店があったからです。ところがその店まで引き返すと、開け放たれた店内から大音量の音楽が聞こえてきました。その時点で即座に退散し、「樽平」「あんらく亭」のある小路に戻ると、今度はもう一軒の店が目に留まりました。目立つ角地にありながら、以前は全く気付かなかったことからして、おそらく最近できた店なのでしょう。しかし相当賑わっており、こちらはこちらで落ち着けそうにありません。こうして元の鞘に収まるという結果です。

このような紆余曲折を経て再訪に至った結果、この店のよさを再認識させられました。というのは、暖簾をくぐると古めかしい曲が流れてきたのです。フォークソングをさりげない音量でかけるのがこの店の流儀であり、同様に古い曲を流す店は他にもあります。しかしこの店が違うのは、有線放送などではなく、店主自ら編集したカセットテープが使われるということです。カウンターの背面には、表題を書き入れたカセットテープが並んでいて、このような習慣が確かにあったと思い出させてくれます。先日訪ねた盛岡のジャズバーと違い、高級な機材が使われているわけではないものの、古い機材の奏でる音は心地よい雰囲気を醸し出すものです。その雰囲気にもつられたか、地元の常連客が三々五々やってくるカウンターも好ましいものがあります。
それ加えて秀逸だったのが品書きです。カウンターの背面にある横長の黒板には、右から刺身、焼物、豆腐、揚物、珍味、煮物、食事の順に書き入れられ、鰹、さより、山菜、木の芽といった品々に、春から初夏にかけての季節感がさりげなく込められています。特に、姫竹を中心に置き、春菊ときゃらぶきを添えた三点盛りの突き出しは心憎いものがありました。
万人受けする完成度の高さという点では「樽平」に軍配が上がる一方、いぶし銀の名脇役とでもいうべき味わいがこの店にはあります。語弊を承知でたとえるならば、富山の「親爺」に対する「真酒亭」のようなものとでもいえばよいでしょうか。観光客はともかく、居酒屋好きには一推ししたい名店です。

あんらく亭
高山市総和町1丁目50-23
0577-33-3077
1800PM-2400PM
日曜定休

酒二合
突き出し
かつお刺身
山菜天ぷら
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薫風の飛騨を行く - 御嶽山

2017-05-20 20:27:29 | 東海
380kmを走破して高山に着きました。直行したわけではなく、松本と木曽に両方寄った上での走行距離です。会津へ直行しても300kmあることを考えると、飛騨は意外に近いと改めて思います。
風呂から上がった時刻と残りの移動距離からして、到着は九時近くかと見ていました。それを30分も縮めたのは、走ってきた国道が快走路だった、というより交通量が皆無だったという事情によります。線形のよい区間ばかりではなく、巡航速度は必ずしも高くはないものの、先行車はもちろん対向車もほとんど来ないのです。安房峠経由の場合、たとえ深夜であっても一定の交通量があり、時折流れが滞ります。その点、終始自分のペースで走れるのは助かりました。
長野県側についていえば眺望も見事でした。前回走ったときは完全に暗くなった後だったのに対し、今回は残照に浮かび上がる御嶽山を間近に眺めながらの走行でした。しかも沿道にはかなりの数の八重桜が残っており、山桜らしきものさえ見えていました。こうなると明日もう一度走るにもやぶさかではなくなってきます。そこまでするかどうかはともかく、飛騨へ行くなら毎回この道でよさそうな気がしてきました。
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薫風の飛騨を行く - 二本木の湯

2017-05-20 18:54:17 | 温泉
気温は予報通りに上がって30度に迫り、終日汗ばむ陽気でした。こうなると移動の前に一風呂浴びたくなるのが人情です。ツーリングマップルRで手近なところを探した結果、「二本木の湯」にやってきました。
トンネル経由に切り替えられた国道から分かれ、峠越えの旧道をしばらく進むと、鄙びた一軒家の温泉が現れます。平屋建てに浴場と食堂兼休憩室を置いた造りは、絵に描いたような日帰り温泉のそれで、浴場は内湯のみと潔く、虚飾のない雰囲気はこちらの好むところです。正方形のほどよい広さの浴槽には、谷地頭温泉を彷彿させる褐色の源泉が注がれ、流れ出た成分が析出して、床が岩場と化しています。谷地頭と違うのは無味無臭であること、そして夥しい数の気泡が立つことです。正確には冷鉱泉で、循環濾過塩素消毒しているとの表示はあるものの、そのことを微塵も感じさせない秀逸さです。
もう一つよかったことがあります。駐車場を囲む形で八重桜が植えられていて、しかもそれより一段高いところに建物があるため、浴槽からよどよい高さで八重桜を見渡せるのです。しかも、目の前の谷を川が流れ、その彼方には残雪の中央アルプスが屹立します。
ここでも八重桜には相当数の花が残っており、先週末ならまだ満開だったのだろうと想像させられます。つまり、大型連休が終わっても、木曽まで来れば八重桜で花見ができてしまうわけです。しかもここで最後に一風呂浴びられれば最高でしょう。覚えておきたい名湯です。

二本木の湯
木曽郡木曽町新開6013-1
0264-27-6150
1000AM-1830PM(最終受付)
木曜定休
入浴料620円
泉質 含二酸化炭素・カルシウム-炭酸水素塩冷鉱泉(低張性弱酸性冷鉱泉)
泉温 12.9度
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薫風の飛騨を行く - 時間切れ

2017-05-20 17:41:17 | 甲信越
残念ながら時間切れです。木曽の夕日はこちらの予想をはるかに超える早さで沈んでいき、結局奈良井と宮ノ越の駅舎は日陰になってしまいました。もう撮影にはならないため、あとは粛々と走って高山へ向かいます。
駅舎の収穫こそわずかだったものの、思いがけない収穫がありました。沿道の所々で梅と八重桜が咲いていたのです。松本市街でさえわずかに八重桜が残っていた以上、木曽についてはなおさらで、遠目にはまだ見頃といってよさそうな木もあります。木曽がこれなら、飛騨に行っても八重桜が残っている可能性は十分あるでしょう。花見が終わったと思い込むのは早計なのかもしれません。
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薫風の飛騨を行く - 洗馬駅

2017-05-20 16:13:47 | 甲信越
安房峠を越えるかというとさにあらず。日中の残り時間で中山道を下ります。現在地は洗馬で、ここから本山、贄川、奈良井、薮原、宮ノ越の順に木曽福島まで下っていき、そこから361号線で高山へ向かおうという寸法です。一昨年走ったのと全く同じ経路ではありますが、当時は曇ってしまった上に、一年中で最も日が短い11月の下旬だったため、ほとんどの区間が暗い中での走行でした。西向きの木造駅舎が洗馬、贄川、奈良井、宮ノ越の四ヶ所あるため、この機会に是非とも再訪したかった次第です。ただし、地形上かなり前から日が陰ってしまう可能性は高く、回りきれるかどうかは何ともいえません。しばらくは時間との戦いになりそうです。
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薫風の飛騨を行く - 北門大井戸

2017-05-20 14:44:27 | 甲信越
北門大井戸で湧水を汲みます。最後に駅前の酒屋へ寄れば、松本での行程が一通り終わるという算段です。
酒を買い、カリーをいただき水を汲むという、代わり映えのしない内容でした。ましてや一月という短い間隔での再訪です。今回の目的地はあくまで飛騨である以上、馬鹿の一つ覚えを繰り返すより、現地の滞在時間を極力増やした方がよかったともいえます。とはいえ、水の張られた田圃と残雪の北アルプスの取り合わせは、花見の時期にはあり得ない今だけの光景です。菖蒲が咲いていたり、八重桜が奇跡的に残っていたりという発見もありました。再訪してよかったというのが偽らざる心境です。
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薫風の飛騨を行く - 最後の花見

2017-05-20 13:48:26 | 甲信越
護国神社を訪ねると驚くべき光景が。参道の脇にある八重桜がまだ咲いていたのです。ほとんどの花は散るか嗄れ、見頃をとうに過ぎてはいるものの、それでもすぐには数えられないほどの花が残っています。五月も下旬にさしかかろうとする時期、東北の八重桜もあらかた散っているでしょう。それだけに、松本の市街地にまだ桜が残っているとは思いませんでした。図らずも実現した今季最後の花見です。
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薫風の飛騨を行く - 松本美須々ヶ丘高校

2017-05-20 13:31:19 | 甲信越
カリーの後は松本美須々ヶ丘高校に立ち寄ります。馬鹿の一つ覚えというなかれ。前回花盛りを迎えていた校庭の桜並木は濃い緑に変わり、すぐそばの公園では菖蒲が咲いています。この時期に再訪したからこその発見です。
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薫風の飛騨を行く - メーヤウ信大前店

2017-05-20 12:25:40 | B級グルメ
お昼にカリーをいただくのは見事なまでの紋切り型です。しかし今回一つだけ変えた点があります。開店直後をあえて避けたことです。というのも、これまでは昼時の混雑を避けるということしか念頭になく、開店時刻に合わせて乗り込んだ結果、同じ考えをした先客らが殺到する場面に度々遭遇し、全くの逆効果であることに気付いてきたからです。前回の経験からしても、最初に入ったお客が一回転する正午あたりがよかろうと考えました。
その狙いは見事に的中し、駐車場には一台分とはいえ空きが出ていました。店先で大人数の学生が順番を待ってはいたものの、幸いにしてカウンターには空席があり難なく着席。しばらくしてから学生も収容され、店内には常に最小限の空席が出るほどよい入りとなりました。たまたまうまく行っただけという可能性は否定できないものの、とりあえず次も同じ時間帯に訪ねてみるつもりです。

メーヤウ信大前店
松本市桐2-1-25
0263-35-6962
1130AM-1500PM/1700PM-2100PM
木曜定休
カリー二種類セット822円
半ライスおかわり50円
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薫風の飛騨を行く - 山崎精一商店

2017-05-20 12:14:53 | 酒屋
県道をそのまま走って松本市街に入り、さらに進んだところにあるのが山崎精一商店です。桜の切り絵で彩られていた店先は、それから一月を経て夏仕様に変わっています。立看板で一推しされた黒龍の「夏しぼり」に食指が動きかけながらも、県産酒優先の方針に従い、同じく当店一推しの金紋錦による「夜明け前」を選びました。

山崎精一商店
松本市元町1-8-17
0263-32-0020
平日900AM-2000PM
日祝日1000AM-1900PM
火曜定休
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薫風の飛騨を行く - 直売所

2017-05-20 11:16:26 | B級グルメ
塩尻で高速道を下り、山沿いの県道を松本市街へ向かって走行中。沿道に農協の直売所があったため立ち寄りました。山菜もそろそろ仕舞いの時期ではありますが、うど、こごみ、たらの芽、こしあぶらなど一通りの品々が揃っています。帰ってからの晩酌が楽しみです。

★ファーマーズガーデンうちだ
松本市内田792-7
0263-88-3012
800AM-1730PM(12月から翌年3月 -1700PM)
祝日除く月曜定休
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薫風の飛騨を行く - 甲斐駒ヶ岳

2017-05-20 10:11:26 | 甲信越
双葉から再び中央道に乗りました。八ヶ岳のPAから甲斐駒ヶ岳を望みます。今季は素通りしたものの、花見のときはここに立ち寄り、桜と甲斐駒ヶ岳を重ねて撮るのが恒例です。その桜は当然ながら葉桜に変わり、緑もかなり色濃くなって、もはや新緑の季節さえ過ぎ去った感があります。気温は既に20度を超えており、高山では30度に達するというのが最新の予報です。ただし予想最低気温は10度を切っており、夏とは空気が明らかに違います。一日の気温差が20度を超えるというと、どのような体感になるのでしょうか。
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薫風の飛騨を行く - 花盛り

2017-05-20 09:03:26 | 甲信越
今回飛騨へ行くことで、前橋のバラ園を見送るという代償が生じてしまいましたが、幸いある程度まで埋め合わせができました。駅前の至る所に薔薇の花壇があって、それが折しも花盛りを迎えていたのです。到底覚えきれないほど形も色も様々な花があるのは、梅に通ずるようでありながら、梅の奥床しさとは対照的な華々しさが薔薇にはあります。薔薇のよさにも気付きつつある昨今です。
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