「樽平」を出たところで手痛い誤算が。四軒あった持ち駒の中で最も期待していた「あじ平」に早仕舞いで振られたのです。「樽平」を出た時点であちらにはまだ明かりがついていたため、結局行きたい順に回っておけばよかったということになります。策士策に溺れるとはこのことです。しかし、結果論をいくら述べても仕方ありません。これにより選択肢は残る一軒の「本郷」に絞られました。
昨日教祖の番組に言及したとき、紹介された高山の四軒を老練な店、小洒落た店、大衆的な店の三通りに分類しました。この店は小洒落た店と評したものです。気鋭の女性店主が二十代の前半で開業したそうで、町家を生かしつつ洋風酒場の趣も採り入れた、見るからに斬新な店でした。しかし、人間年を追えば追うほど老練な店、大衆的な店に傾倒して行きます。かような観点からこの店にも食指が伸びづらく、余力があれば行ってもよかろうという程度の考えだったのが実情です。それが目当ての店に振られたことで訪ねる機会を得たわけなのですが、幸いにして余計な先入観を払拭するよい店でした。
アーケードに面した間口は真っ白な壁となっていて、事前情報がなければ町家とはまず気付きません。ギネスの立看板が置かれていることからしても紛うことなき洋風酒場で、ここに飛び込もうとはおよそ考えられない店構えです。これではさすがの教祖も発掘できなさそうに思われ、実際人伝に聞いて知ったとの発言が番組内でありました。
長い廊下を通って一番奥のカウンターに至るところは番組で見た通りです。しかし、品のよさそうな老婦人らが向かっていたカウンターは、若い地元客で埋まっていました。たしかに、中高年より若い年代に受けそうな店です。中年の一人客にはやや落ち着かない面はあるものの、観光客で混むよりもはるかにましには違いありません。
肴が間もなくラストオーダーと告げられ、それを承知で入ったのはよいものの、席に着くやいなや注文を聞かれても、和洋折衷の見慣れない品々から的確に選ぶのは至難の業です。幸いにして、チーズなどすぐに出る一部の酒肴は11時まで猶予があると聞かされたため、それらと突き出しで十分と割り切り、とりあえず酒だけを注文。選び抜かれた飛騨の地酒はちろりで適温に温められ、なおかつ最後の一滴まで適温を保っており、突き出しの温かいトマト煮も一品料理として成立していて、それだけでもこの店の実力はおよそ察しがつきます。
話し上手な店主もさることながら、番頭格と思しきお姉さんを含め酒については皆造詣が深く、こちらの好みに応じて的確なものを見繕ってくれ、付かず離れずの接客は心地よいものがあります。教祖が訪ねてきたときの裏話を聞くのも楽しく、結局徳利を三本空けて看板まで滞在してしまいました。
上記の通り、中年の一人客には不釣り合いな小洒落た店です。肴が少々お高いことからしても、この店を柱に据えるというよりは、二軒目、三軒目あたりに訪ねるのが順当かもしれません。しかし、酒についてはごく良心的な価格であり、店主やお姉さんを相手に一献傾けるには最高の店ともいえます。高山の夜を締めくくるなら、ここの瀟洒なカウンターがおあつらえ向きといえそうです。
★本郷
高山市本町3-20
0577-33-5144
1800PM-2230PM(LO)
日曜定休(祝日の場合翌日休業)
深山菊・天恩二合
突き出し(鶏肉トマト煮)
おいしいチーズの盛り合わせ
昨日教祖の番組に言及したとき、紹介された高山の四軒を老練な店、小洒落た店、大衆的な店の三通りに分類しました。この店は小洒落た店と評したものです。気鋭の女性店主が二十代の前半で開業したそうで、町家を生かしつつ洋風酒場の趣も採り入れた、見るからに斬新な店でした。しかし、人間年を追えば追うほど老練な店、大衆的な店に傾倒して行きます。かような観点からこの店にも食指が伸びづらく、余力があれば行ってもよかろうという程度の考えだったのが実情です。それが目当ての店に振られたことで訪ねる機会を得たわけなのですが、幸いにして余計な先入観を払拭するよい店でした。
アーケードに面した間口は真っ白な壁となっていて、事前情報がなければ町家とはまず気付きません。ギネスの立看板が置かれていることからしても紛うことなき洋風酒場で、ここに飛び込もうとはおよそ考えられない店構えです。これではさすがの教祖も発掘できなさそうに思われ、実際人伝に聞いて知ったとの発言が番組内でありました。
長い廊下を通って一番奥のカウンターに至るところは番組で見た通りです。しかし、品のよさそうな老婦人らが向かっていたカウンターは、若い地元客で埋まっていました。たしかに、中高年より若い年代に受けそうな店です。中年の一人客にはやや落ち着かない面はあるものの、観光客で混むよりもはるかにましには違いありません。
肴が間もなくラストオーダーと告げられ、それを承知で入ったのはよいものの、席に着くやいなや注文を聞かれても、和洋折衷の見慣れない品々から的確に選ぶのは至難の業です。幸いにして、チーズなどすぐに出る一部の酒肴は11時まで猶予があると聞かされたため、それらと突き出しで十分と割り切り、とりあえず酒だけを注文。選び抜かれた飛騨の地酒はちろりで適温に温められ、なおかつ最後の一滴まで適温を保っており、突き出しの温かいトマト煮も一品料理として成立していて、それだけでもこの店の実力はおよそ察しがつきます。
話し上手な店主もさることながら、番頭格と思しきお姉さんを含め酒については皆造詣が深く、こちらの好みに応じて的確なものを見繕ってくれ、付かず離れずの接客は心地よいものがあります。教祖が訪ねてきたときの裏話を聞くのも楽しく、結局徳利を三本空けて看板まで滞在してしまいました。
上記の通り、中年の一人客には不釣り合いな小洒落た店です。肴が少々お高いことからしても、この店を柱に据えるというよりは、二軒目、三軒目あたりに訪ねるのが順当かもしれません。しかし、酒についてはごく良心的な価格であり、店主やお姉さんを相手に一献傾けるには最高の店ともいえます。高山の夜を締めくくるなら、ここの瀟洒なカウンターがおあつらえ向きといえそうです。
★本郷
高山市本町3-20
0577-33-5144
1800PM-2230PM(LO)
日曜定休(祝日の場合翌日休業)
深山菊・天恩二合
突き出し(鶏肉トマト煮)
おいしいチーズの盛り合わせ