日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

錦繍の飛騨を行く 2016 - 本郷

2016-11-12 22:14:37 | 居酒屋
自分自身酒呑みではあっても酒豪ではありません。おいしくいただけるのは二合か三合までであり、五合を超えれば翌日に響く場合も出てきます。二軒目までにその五合を飲み干し、ここから先は危険水域という状況です。しかし最後に訪ねておきたい店がありました。その「本郷」で高山の夜を締めくくります。
前回はラストオーダーの間際に入ったにもかかわらずかなりの賑わいでした。それだけに、今回も混み合ってはいないかが気がかりではありましたが、幸いにしてカウンターは先客一組のみと落ち着いています。好きな場所へと促され、着席したのは一番奥から一つ手前の席です。その席から川の方に視線を向けると、窓の外には照明に浮かび上がった枝垂桜が。おそらく八重紅枝垂でしょう。残った葉が散り、花が咲くのは来年の五月も近い時期になるのでしょうか。想像を巡らせつつ、お姉さん相手に一献けるのも楽しいものがあります。最後まで適温を保ち続ける燗酒の味も上々。最後を飾るにふさわしい一軒です。

本郷
高山市本町3-20
0577-33-5144
1800PM-2230PM(LO)
日曜定休(祝日の場合翌日休業)

元文・天恩
突き出し(豚味噌大根)
ひだねぎの味噌焼
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錦繍の飛騨を行く 2016 - あじ平

2016-11-12 20:48:53 | 居酒屋
一時間少々滞在して「樽平」を辞去しました。先ほど混み合っていた「あじ平」も、そろそろ落ち着く頃でしょう。そう思って再び暖簾をくぐると、果たしてカウンターには適度な数の空席が。前回早仕舞いで振られ、今回も一度は振られかけた当店に、三度目の正直でようやく入店と相成りました。

事前情報だけで予測ができてしまった「樽平」に対し、こちらは昨年放映された教祖の番組が初出だけに、その分未知数な面がありました。こちらが勝手に抱いていた印象通りの部分と、先入観を覆される部分も出てきます。まず、画面では今一つ全貌がつかめなかった店内は、黒塗りのL字カウンターを中心にした造りになっていました。教祖が着席したのはおそらく玄関側から奥へまっすぐ延びる一角でしょう。その玄関側からほぼ同じ長さのカウンターが直角に折れ曲がり、それが尽きた場所には二階の宴会場へ上がっていく階段があります。小上がりも合わせればかなりの収容力です。
先代店主が収集した古いポスター、人形などが飾られた店内は、当然ながら番組で見たままであり、流れる懐メロが雰囲気を引き立てます。懐古調の店内にもかかわらず客層が若いこと、地元客御用達の大衆的な店であることについてもおおむね予想通りです。
これに対して、先入観を大きく覆されたのが品書きです。カウンターを仕切る女将の前にはガラスケースが据え付けられ、ぴかぴかに光った鰺など見るからにうまそうな食材が並んでいました。A4縦書き二段組の品書きも半分は刺身であり、残る半分も焼魚、あん肝、白子など魚介が大半を占めています。看板に「日本海の味」とあることからしても、魚介を主役にした店なのは一目瞭然です。教祖の番組で紹介されていたのは飛騨の郷土料理でしたが、それらは印刷済みの品書きの片隅に載っているだけであり、実際に注文しているお客は皆無に近いようでした。あれはあくまで演出の一環であり、この店本来の姿ではなかったということなのでしょう。

地元客御用達の店といえば、思い出すのは前回世話になった「あんらく亭」ですが、あちらでも郷土料理に力を入れている様子はなく、主役を張っていたのは北陸の魚介でした。そして今回またも同種の店と出会うに至り、これも無理からぬことと気付いてきました。というのも、「樽平」の品書きを見て思ったのが、冬の山国の品書きはどうにも地味だという分かり切った事実でした。今日についていえばイナゴ、蜂の子、煮イカに大根煮といったところですが、よそ者にしてみれば物珍しさがあるとはいえ、地元客がわざわざ呑み屋へ来てまで注文する品とも思えません。郷土料理を有難がっていただくのは素人であり、地元客が選ぶものを注文するのが、「郷に入りては郷に従え」の諺に適うような気がしたとでも申しましょうか。かような考えに基づき刺身の七点盛りを注文し、それを肴に徳利を二本空けて辞去しました。

あじ平
高山市初田町1-34
0577-35-1063
1700PM-2300PM(LO)
日曜定休

蓬莱
突き出し(かに酢)
七点盛り
銀杏
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錦繍の飛騨を行く 2016 - 樽平

2016-11-12 19:29:33 | 居酒屋
先週末の松山以来、電話確認してから呑み屋へ行くという流れが続いています。本日も同様の展開となりました。
常々申している通り、一人で呑み屋へ行くのにわざわざ予約をするのを好みません。松山高知については、最初に飛び込んだ店に振られ、次も外せば後がないという状況でやむなく採った選択でした。今回についていえば、教祖一押しの「樽平」は観光客で混み合うだろうと見て敬遠し、前回行き損なった「あじ平」にまず飛び込んでみて、振られた場合は「樽平」に電話を入れてみるという戦術を採りました。こうして「あじ平」へ出向いたところ、扉を開けてのぞいた瞬間、かなり混んでいるのが明らかだったため、そのまま閉めて「樽平」に目標を切り替えました。ここにも振られたときの行動まで視野に入れつつ電話をかけると、電話口の若女将からはいともあっさり空いているとの返答があり、無難なところに落ち着くという結果です。

前回ここを訪ねたとき、さすがと感服させられる名店だ、しかしそれは想定の範囲内だという趣旨のことを述べました。事前情報からある程度の予測ができてしまい、それをも超える感動が得られにくいという、先人が語り尽くした有名店特有の現象がここでも起きたわけです。この手の店の場合、何度か足を運ぶことで本当のよさが分かってくるのもまた事実なのですが、二回目となる今回も若干のぎこちなさを感じました。カウンターに立つ女将と若女将の二人組が、「TVで見た人」の域をいまだに脱しないとでも申しましょうか。書籍や番組に何度も登場している有名人といえば、「籠太」の親方などもそうですが、あちらでそのように感じることはないわけで、自分はまだこの店の雰囲気に溶け込めていないということになります。真髄が分かってくるのは次かその次あたりといったところでしょう。
そのような中、今回最大の発見を挙げるとすれば焼茄子です。文字にすればどこにでもあるごくありふれた品ながら、ここの焼茄子は一味も二味も違います。茄子を切り開いて味噌と葱を詰めたもので、とろけるまで焼き上げられた茄子、味噌、葱が三位一体となり、単なる焼茄子の域を超えた肴に昇華されています。前回いただいた飛騨牛のすじ煮込みは、もちろん悪くはないものの、ここでしかいただけない唯一無二の味とまでは思わなかったのが実情ですが、この焼茄子はまさしく唯一無二です。「籠太」の塩辛と同様に、この品だけのために足を運ぶ価値がある逸品でした。

樽平
高山市総和町1-50-6
0577-32-5490
1730PM-2330PM
日曜定休

久寿玉・飛切り・深山菊
突き出し(げそぬた)
味女
焼茄子
わさび菜
味つけあげ
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錦繍の飛騨を行く 2016 - 高山パークシティ

2016-11-12 18:32:30 | 東海
対向列車の遅れもあって、高山には5分遅れの到着となりました。只今投宿して一風呂浴びさっぱりしたところです。今回は「高山パークシティ」の世話になります。紅葉の最盛期の週末ということもあって、高山市街の宿は当然ながら混んでおり、週明けに照会した時点ではここが事実上唯一の選択肢でした。この宿を押さえることができなければ、そもそも飛騨へ来ることはなかったでしょう。
ビジネスホテルのような名前からは想像し難い、個人経営による小さな宿です。駅を背にして東へ進み、宮川を渡って右へ曲がると、いわゆる古い町並みが現れ、その町並みが尽きた先の高台に宿があります。駅からは徒歩15分から20分といったところでしょうか。もちろん近くはないものの、散策がてら歩くにはちょうどよい距離でもありました。
外観は旅館というよりペンション風。和室を洋室に改装したらしき室内は、昨年花見のときに泊まった松本の宿を彷彿とさせます。壁紙が浮いているなどややくたびれた感はあるものの、玄関の脇にある吹き抜けになったロビー兼食堂の雰囲気は上々です。明日はこの食堂で朝食をいただけることになっています。

一息ついたところで早速夜の街に繰り出しましょう。前回の滞在で世話になった五軒に加え、教祖の推奨店の中で唯一行き損なった「あじ平」も残っており、選択肢に不足はないため、今回は再訪を中心にするつもりです。しかし前回は、国道の北側の呑み屋街こそくまなく歩いてみたものの、反対側の町並みは自転車で軽く流しただけでした。先ほど通って来た限りではまだ相当数の観光客が出ており、雰囲気については画竜点睛を欠く部分もあるにはあるものの、古い町並みからこれはという店を見つけられたとすれば、そこへ飛び込むにもやぶさかではありません。
しかしそれより楽しみなのは帰り道です。四六時中観光客が闊歩する古い町並みも、深夜になれば人っ子一人いなくなり、昼間とは全く違った情緒が出てくるでしょう。今夜はその町並みを歩いて宿へ戻ることになります。明日も早起きすることができれば、観光客が増え出す前に宿の周囲を散策してみるつもりです。
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錦繍の飛騨を行く 2016 - ひだ13号

2016-11-12 16:13:03 | 東海
撮影を切り上げて岐阜へ移動、名古屋から来た「ひだ」に乗り継ぎました。特急が一、二時間おきに頻発している中でこの列車を選んだのは、暗くなる前に全区間乗車できる最後の列車だからです。
着き次第投宿して一風呂浴びると、呑み屋街に出られるのは七時前後になるでしょうか。よりによって呑み屋が一番混み合う時間帯に重なってしまいます。時期が時期だけに観光客も多そうです。松山、高知以来の流れを引き継ぎ、これはという店には事前に電話一本入れてみた方がよいかもしれません。

★島氏永1440/1453レ/1444名鉄一宮/徒歩/1451尾張一宮/3335F/1501岐阜1508/ひだ13(1033D)/1710高山
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錦繍の飛騨を行く 2016 - 名鉄電車

2016-11-12 14:05:27 | 東海
名古屋であんかけスパをいただいたということは、岐阜の「丸デブ」を切ったということでもあります。結論から申しますと、今回は岐阜へ寄らずに名鉄電車を撮ることにしました。とにかく天気がよいだけに、岐阜に寄るより電車を撮りたくなったとでも申しましょうか。只今島氏永のカーブで列車を待ち構えているところです。
去年も晴天につられてここへ来たところが、すぐさま曇ってしまい中途半端な結果に終わりました。しかし今日は雲一つない快晴だけに、そのような心配もなさそうです。

★内部1005/1040レ/1024あすなろう四日市/徒歩/近鉄四日市1028/930レ/1103近鉄名古屋/徒歩/名古屋1235/331F/1250尾張一宮/徒歩/名鉄一宮1255/1252レ/1300島氏永
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錦繍の飛騨を行く 2016 - チャオ

2016-11-12 11:42:15 | B級グルメ
試乗を終えて名古屋に戻ると「チャオ」が開く11時でした。その結果お昼の選択肢は必然的に絞られ、久々にあんかけスパをいただきます。
一昔と少し前には、生活圏内にもあんかけスパの店がいくつかあったと記憶していますが、今ではCoCo壱番屋の系列店が一軒残るのみです。関東ではいわゆるロメスパが流行りだした結果、割高なあんかけスパが生き残れなかったという面は少なからずあるでしょう。しかし、あんかけスパにはロメスパとは似て非なる独特さがあります。いわゆる名古屋飯が数ある中でも、自分の中ではスガキヤのラーメンと双璧をなすのがあんかけスパです。
この店の特徴として、増量しても値段がほとんど変わらないという点が挙げられます。たとえば今回注文したミラネーズの場合、200gのSが760円のところ、330gのRでも値段は70円しか違わず、480gのJがRの80円増という価格設定です。つまり150円増で分量が2.4倍にもなるわけで、他の麺類、丼物の大盛、特盛と比べても割安感が際立っています。その結果必然的に多い方を選びがちになるわけですが、不思議なのはJでも比較的難なく完食できてしまうことです。高崎の老舗「シャンゴ」の場合、200gのMでも終盤には息切れしたと記憶しています。しかるに480gがいともたやすくいただけるのは、乾麺と茹でた麺の重量差を割り引いても不可思議です。
ちなみに、店が入居しているビルに異変が。1階にあるこの店を除き、もぬけの殻になっているのです。一見する限り老朽化した様子も感じられないビルですが、例によって再開発の波に飲まれてしまうのでしょうか。駅から歩けるこの店舗をとりわけ愛用していただけに、仮に撤退するとしても、近くで再開してくれればよいのですが。

チャオ 第5堀内ビル店
名古屋市中村区名駅4-5-19 第5堀内ビル1F
052-541-1846
1100AM-2200PM(LO)
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錦繍の飛騨を行く 2016 - 内部線

2016-11-12 09:42:35 | 東海
20分ほど待ったところで、先ほど見送った編成が四日市から引き返してきました。その編成で四日市に戻ると、今度は向かいのホームから内部線の電車が出発します。こちらはいわゆる「バス窓」の未更新車による運用です。

★あすなろう四日市/943レ/955西日野
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錦繍の飛騨を行く 2016 - 八王子線

2016-11-12 09:11:19 | 東海
何度か乗ったり撮ったりしている北勢線と違い、内部線・八王子線には平成初期に一度乗ったことしかなく、どこに乗り場があったかさえ失念しています。四日市で列車を降り、近鉄の改札を出て案内板に従い歩くと、高架下の忘れ去られたような一角に専用の切符売場と改札がありました。いわば桑名に対する西桑名のようなものであり、別の駅といっても過言ではありません。今では名実ともに別の駅となったあすなろう四日市から、まずは八王子線の電車に乗り込み終点の西日野に到着。わずか3分の慌ただしい折り返しを嫌い、一本見送り次の電車を待っているところです。
近鉄に見切りをつけられ、自治体が主導する形で再出発した四日市あすなろう鉄道ですが、思った以上の健闘ぶりです。車両は更新されて面目を一新し、小屋同然の切符売場があるだけだった終着駅でも、目下改修工事が進んでいます。四日市の窓口でも、一日乗車券に加えて硬券の入場券にキーホルダー、マフラータオルなどいくつかの商品が売られており、沿線を活性化しようと苦心している様子が窺われました。北陸新幹線開業後の在来線で、利便性・接客水準が大幅に引き下げられるというあるまじき現実を目の当たりにしてきただけに、このような取り組みには声援を送りたくなってきます。

★あすなろう四日市849/855レ/857西日野
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錦繍の飛騨を行く 2016 - 近鉄電車

2016-11-12 08:03:47 | 東海
名古屋から近鉄電車に乗り継いで四日市へ向かいます。運用につくのはL/Cカーに改造された2800系です。関東では安普請のロングシート車が200km以上もの長距離運用につくことも珍しくない中、名古屋線では急行の少なからぬ運用にクロスシート車が充当されるため助かります。
それはよいのですが、何故か車内に暖房が焚かれています。半袖に着替えた以上、少なくとも自分にとっては暖房が要る寒さとは全く思われないのですが。早くも首筋から汗が流れ落ちてきましたorz

★近鉄名古屋801/837レ/835近鉄四日市
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錦繍の飛騨を行く 2016 - のぞみ291号

2016-11-12 06:11:33 | 関東
飛騨へ行くなら中央道かというとさにあらず。今回は汽車旅を選択しました。まずは新幹線で名古屋へ向かい、近鉄を引き継いで発足した「四日市あすなろう鉄道」に乗った後、岐阜に寄ってから高山へ向かうのが本日の予定です。ただし、岐阜については後々福井へ行くついでに寄ってもよいため、展開次第では素通りすることも検討します。

ちなみに今回の服装については迷いました。都内でも薄ら寒い日が続いたところへ、高山の最低気温が4度などという予報が出ており、防寒装備が要りそうに思われる一方、15度超の最高気温からすると、半袖も必要になることが予想されました。その結果、長袖シャツに厚手の雨合羽を羽織り、半袖シャツを忍ばせて出発したところ、最寄りの駅まで歩いただけでも軽く汗ばんできました。結局新幹線に乗ったところで着替え、今は半袖シャツ一枚の軽装です。これなら少なくとも日中いっぱい上着の出番はないでしょう。結果としては、薄手の雨合羽で済ませておき、いつでも脱いで鞄にしまえるようにしておくのが正解だったことになります。厚手の雨合羽は無用の長物となるかもしれません。

★東京606/のぞみ291(9291A)/742名古屋
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