過去三年にわたり、松山は正月に訪ねるのが恒例となっていました。しかるに今年は正月に行き損ない、その埋め合わせとして今回の活動を計画したわけなのですが、久々に正月以外の時期となってよかったことが一つあります。教祖おすすめの「せくら」を再訪できることです。
三年前は正月明けが早かった年で、店開きとなる四日に訪ねることができました。しかし一昨年と昨年は正月休みに重なってしまったため、かれこれもう四年近い無沙汰となって現在に至ります。それだけに、久々の再訪を楽しみにしていた次第です。
今回再訪するにあたって懸念が一つだけありました。店主と女将が二人で営む小さな店だけに、満席で振られはしないかということです。実際のところ、活動仲間の一人がこの店に二度足を運んでいずれも振られたという話を聞いており、それが必要以上に身構えてしまう理由でもあります。
そこで今回は事前に方針を立てました。まず「たにた」で一献傾け、次第に空いてくるであろう10時前後に「せくら」へ移るというものです。しかしそのつもりで「たにた」へ向かうと、カウンターが満席というまさかの事態が。ならば間髪入れずに「せくら」へ行くかという状況のところ、あちらも満席だったとすればいよいよ後がなくなります。そこで、まずは電話一本入れてみて、空いていればもちろん行き、満席ならば他店に回って、空きそうな頃を見計らうという方針に切り替えました。こうして電話を入れると、店主からはこともなげに空いているとの返答が。結局四の五のいわずにそのまま行っていればよかったことになります。とはいえ首尾よく再訪を果たせたのは幸いです。
何分四年近い間が空いてしまっただけに、こちらを覚えているかどうかは心許ないものがありました。しかし玄関をくぐってカウンターに着席すると、すかさずお久しぶりとの第一声が店主から発せられ、実家に戻ってきたかのような安堵感が押し寄せてきました。
カウンターの頭上の経木に定番を、正面の黒板に日替わりの品々を並べるという品書きは当時から変わりません。食券の販売機における「左上の法則」は当店の黒板についても妥当し、横書きで二列に並んだ黒板のうち、左上にある鰹の文字がまず目に留まりました。まずはその鰹を、次いで伊予産という蓮根の天ぷらをいただきます。
久々に訪ねて気付いたのは、突き出しにしても他の品にしても、一人客には十分すぎるほどの量があることです。突き出しと二品で呑み切りボトルが一本空き、はしごをするならそろそろかという腹具合になりました。しかし、切り上げて次へ行くより、もう一杯、もう一品という考えが今日は勝りました。これは、店主夫妻の軽妙な客あしらいからくる居心地のよさに加え、こちらの想像をかき立てるような品々が黒板に並んでいるからでもあるのでしょう。その中から選んだ濃厚あさりのクリームグラタンは、グラタンというよりクラムチャウダーをチーズで閉じたような一品で、あさりに加え鯛のコンソメを使っているというのが店主の弁です。もちろんこちらもかなりの分量があり、もはやはしご酒は現実的ではなくなりました。毒を食らわば皿までも、一軒限りとなるのも覚悟の上で、最後は当店名物の鍋焼きうどんで締めくくります。
久々の再訪ということもありつい調子に乗ってしまいました。一品一品量が多く、一通り注文するとすっかり満腹になってしまい、他の店へ行けなくなるという展開は、長岡の「魚仙」を訪ねたときと同様です。うどんまでいただいた以上、帰りにラーメンをすする余力もありません。一旦宿に退却し、回復次第出直すことにしますが、過去の経験からしても、そのまま力尽きる可能性は高そうです…
★せくら
松山市三番町1-13-8
089-934-5671
1730PM-2330PM(LO)
日祝日定休
小富士
突き出し(小鰺バター焼)
トロカツオの塩たたき
伊予市のれんこん天ぷら
濃厚アサリのクリームグラタン
鍋焼うどん
三年前は正月明けが早かった年で、店開きとなる四日に訪ねることができました。しかし一昨年と昨年は正月休みに重なってしまったため、かれこれもう四年近い無沙汰となって現在に至ります。それだけに、久々の再訪を楽しみにしていた次第です。
今回再訪するにあたって懸念が一つだけありました。店主と女将が二人で営む小さな店だけに、満席で振られはしないかということです。実際のところ、活動仲間の一人がこの店に二度足を運んでいずれも振られたという話を聞いており、それが必要以上に身構えてしまう理由でもあります。
そこで今回は事前に方針を立てました。まず「たにた」で一献傾け、次第に空いてくるであろう10時前後に「せくら」へ移るというものです。しかしそのつもりで「たにた」へ向かうと、カウンターが満席というまさかの事態が。ならば間髪入れずに「せくら」へ行くかという状況のところ、あちらも満席だったとすればいよいよ後がなくなります。そこで、まずは電話一本入れてみて、空いていればもちろん行き、満席ならば他店に回って、空きそうな頃を見計らうという方針に切り替えました。こうして電話を入れると、店主からはこともなげに空いているとの返答が。結局四の五のいわずにそのまま行っていればよかったことになります。とはいえ首尾よく再訪を果たせたのは幸いです。
何分四年近い間が空いてしまっただけに、こちらを覚えているかどうかは心許ないものがありました。しかし玄関をくぐってカウンターに着席すると、すかさずお久しぶりとの第一声が店主から発せられ、実家に戻ってきたかのような安堵感が押し寄せてきました。
カウンターの頭上の経木に定番を、正面の黒板に日替わりの品々を並べるという品書きは当時から変わりません。食券の販売機における「左上の法則」は当店の黒板についても妥当し、横書きで二列に並んだ黒板のうち、左上にある鰹の文字がまず目に留まりました。まずはその鰹を、次いで伊予産という蓮根の天ぷらをいただきます。
久々に訪ねて気付いたのは、突き出しにしても他の品にしても、一人客には十分すぎるほどの量があることです。突き出しと二品で呑み切りボトルが一本空き、はしごをするならそろそろかという腹具合になりました。しかし、切り上げて次へ行くより、もう一杯、もう一品という考えが今日は勝りました。これは、店主夫妻の軽妙な客あしらいからくる居心地のよさに加え、こちらの想像をかき立てるような品々が黒板に並んでいるからでもあるのでしょう。その中から選んだ濃厚あさりのクリームグラタンは、グラタンというよりクラムチャウダーをチーズで閉じたような一品で、あさりに加え鯛のコンソメを使っているというのが店主の弁です。もちろんこちらもかなりの分量があり、もはやはしご酒は現実的ではなくなりました。毒を食らわば皿までも、一軒限りとなるのも覚悟の上で、最後は当店名物の鍋焼きうどんで締めくくります。
久々の再訪ということもありつい調子に乗ってしまいました。一品一品量が多く、一通り注文するとすっかり満腹になってしまい、他の店へ行けなくなるという展開は、長岡の「魚仙」を訪ねたときと同様です。うどんまでいただいた以上、帰りにラーメンをすする余力もありません。一旦宿に退却し、回復次第出直すことにしますが、過去の経験からしても、そのまま力尽きる可能性は高そうです…
★せくら
松山市三番町1-13-8
089-934-5671
1730PM-2330PM(LO)
日祝日定休
小富士
突き出し(小鰺バター焼)
トロカツオの塩たたき
伊予市のれんこん天ぷら
濃厚アサリのクリームグラタン
鍋焼うどん