日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

中国四国縦断ツアー 2016 - せくら

2016-11-04 20:38:35 | 居酒屋
過去三年にわたり、松山は正月に訪ねるのが恒例となっていました。しかるに今年は正月に行き損ない、その埋め合わせとして今回の活動を計画したわけなのですが、久々に正月以外の時期となってよかったことが一つあります。教祖おすすめの「せくら」を再訪できることです。
三年前は正月明けが早かった年で、店開きとなる四日に訪ねることができました。しかし一昨年昨年は正月休みに重なってしまったため、かれこれもう四年近い無沙汰となって現在に至ります。それだけに、久々の再訪を楽しみにしていた次第です。

今回再訪するにあたって懸念が一つだけありました。店主と女将が二人で営む小さな店だけに、満席で振られはしないかということです。実際のところ、活動仲間の一人がこの店に二度足を運んでいずれも振られたという話を聞いており、それが必要以上に身構えてしまう理由でもあります。
そこで今回は事前に方針を立てました。まず「たにた」で一献傾け、次第に空いてくるであろう10時前後に「せくら」へ移るというものです。しかしそのつもりで「たにた」へ向かうと、カウンターが満席というまさかの事態が。ならば間髪入れずに「せくら」へ行くかという状況のところ、あちらも満席だったとすればいよいよ後がなくなります。そこで、まずは電話一本入れてみて、空いていればもちろん行き、満席ならば他店に回って、空きそうな頃を見計らうという方針に切り替えました。こうして電話を入れると、店主からはこともなげに空いているとの返答が。結局四の五のいわずにそのまま行っていればよかったことになります。とはいえ首尾よく再訪を果たせたのは幸いです。
何分四年近い間が空いてしまっただけに、こちらを覚えているかどうかは心許ないものがありました。しかし玄関をくぐってカウンターに着席すると、すかさずお久しぶりとの第一声が店主から発せられ、実家に戻ってきたかのような安堵感が押し寄せてきました。

カウンターの頭上の経木に定番を、正面の黒板に日替わりの品々を並べるという品書きは当時から変わりません。食券の販売機における「左上の法則」は当店の黒板についても妥当し、横書きで二列に並んだ黒板のうち、左上にある鰹の文字がまず目に留まりました。まずはその鰹を、次いで伊予産という蓮根の天ぷらをいただきます。
久々に訪ねて気付いたのは、突き出しにしても他の品にしても、一人客には十分すぎるほどの量があることです。突き出しと二品で呑み切りボトルが一本空き、はしごをするならそろそろかという腹具合になりました。しかし、切り上げて次へ行くより、もう一杯、もう一品という考えが今日は勝りました。これは、店主夫妻の軽妙な客あしらいからくる居心地のよさに加え、こちらの想像をかき立てるような品々が黒板に並んでいるからでもあるのでしょう。その中から選んだ濃厚あさりのクリームグラタンは、グラタンというよりクラムチャウダーをチーズで閉じたような一品で、あさりに加え鯛のコンソメを使っているというのが店主の弁です。もちろんこちらもかなりの分量があり、もはやはしご酒は現実的ではなくなりました。毒を食らわば皿までも、一軒限りとなるのも覚悟の上で、最後は当店名物の鍋焼きうどんで締めくくります。

久々の再訪ということもありつい調子に乗ってしまいました。一品一品量が多く、一通り注文するとすっかり満腹になってしまい、他の店へ行けなくなるという展開は、長岡の「魚仙」を訪ねたときと同様です。うどんまでいただいた以上、帰りにラーメンをすする余力もありません。一旦宿に退却し、回復次第出直すことにしますが、過去の経験からしても、そのまま力尽きる可能性は高そうです…

せくら
松山市三番町1-13-8
089-934-5671
1730PM-2330PM(LO)
日祝日定休

小富士
突き出し(小鰺バター焼)
トロカツオの塩たたき
伊予市のれんこん天ぷら
濃厚アサリのクリームグラタン
鍋焼うどん
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中国四国縦断ツアー 2016 - 国際ホテル松山

2016-11-04 19:38:45 | 四国
三時間弱の航海を終えて松山観光港に到着。バス、郊外電車、市内電車を乗り継いで中心街に移動してきました。本日世話になるのは定宿の松山ニューグランドホテル、ではなく「国際ホテル松山」です。
中心街の宿としては最安値に近く、部屋は簡素ながらも広くて快適、さらに温泉の大浴場があって、「たにた」が至近という好条件から、事実上の定宿となっていた松山ニューグランドホテルですが、今回は料金面での優位性があまりなく、大浴場もある宿がそれ以下の料金でいくつも見つかる状況でした。それでその一つに乗り換えたのかというとさにあらず。料金面で大差がないなら、味気ないビジネスホテルから趣向を変えようと発想しました。そのような観点で探したところ、ここの和室が空いていたという次第です。
場所は電車通りの北側、大街道とは対照的に明かりもまばらで静かな場所です。和洋中のレストランに結婚式場まで備えた建物はかなり大きく、実は由緒正しき宿なのかもしれません。ビジネスホテルというより観光旅館の趣であり、やや古びてはいながらも小ぎれいな雰囲気は京都の「ホテル杉長」を彷彿とさせます。
室内の雰囲気もあちらにどことなく似通っています。四畳半ながらも間取り以上に広々して感じられるのは、掛け軸を飾った床の間があるのに加え、高い船底天井のおかげでしょう。眺望はないに等しいものの、壁際に茶室のような背の低い襖があり、それを開けると砂利を敷き詰めた中庭が窓の外に広がっていました。
もう一つ変わっているのがユニットバスです。いや、床も壁もタイル張りになっていることからして、そもそもユニットとは違うのでしょうか。広めの浴槽はガラス戸で他の区画と仕切れるようになっており、実質的には洗面所とシャワー室が分かれているようなものです。大浴場はないと聞いて、今日は荷物を置き次第道後温泉へ行くつもりだったところが、結局今夜は宿で手早く済ませました。浮いた時間で酒場めぐりに注力します。
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中国四国縦断ツアー 2016 - 石崎汽船

2016-11-04 15:27:12 | 中国
宿で荷物を引き取った後広電を撮り、そのまま電車に揺られて宇品港に移動。松山行のフェリーに乗り込みました。只今寄港地の呉へ向けて航行中です。
電車乗り場に接した現代的なターミナルに発着する高速船に対し、フェリーは少し離れた古いターミナルからひっそりと出航します。そのことは以前乗船して承知していたものの、待合室はもぬけの殻で切符売場もありません。案内に従いさらに進むと、敷地の片隅にプレハブ同然の切符売り場がぽつんと佇んでいました。広島、松山の両都市を結ぶ航路とは思えないささやかさが旅情を誘います。
前回は日が暮れかけてからの乗船となり、航行時間の大半が暗い中となってしまいました。しかし今回は三時台から五時台という絶妙な時間帯に重なり、瀬戸内の夕日と黄昏を眺めながらの航海となりそうです。惜しむらくは雲が全くなく、何を撮っても平板な絵柄になってしまうことですが、日差しの暖かさは瀬戸内ならではといった感があります。日が傾くに従って、昨日と同様冷えてくるとは予想されるものの、船尾に屋根付きベンチ付きのデッキがあり、ここなら風を避けられます。よほど冷えない限りはデッキから瀬戸内海の夕景を眺めるつもりです。
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中国四国縦断ツアー 2016 - 源蔵本店

2016-11-04 11:54:00 | 居酒屋
「源蔵本店」という朝から呑める名酒場が控える広島ですが、これだけ天気がよいと明るいうちから酒を食らう気分でもありません。その一方で、時間からして朝兼昼をどこかでいただく必要はあり、なおかつ店があるのは球場から駅へと戻る経路上です。球場併設の「むさし」で手早く済ませるという選択肢もあるにはあるものの、この名酒場をむざむざ素通りするのも惜しまれます。結局、定食に酒一本でも付けるつもりで暖簾をくぐりました。
正午に迫る時間帯だけに、勤め人で混み合う可能性もあろうと覚悟していたところ、玄関の左側にあるテーブルが空いていました。玄関側から奥の厨房へ向かって店内を見渡すことができる特等席です。しかし正午を回ると立て続けにお客が入り、ほぼ満席に近い状態となりました。紙一重のところで特等席に通されたのは、今流行の言葉を借りれば「神ってる」ということになるでしょう。
昨日訪ねた「自由軒」では、大半のお客が定食、ご飯ものに酒を一本、二本頼み、手早く席を立っていました。しかしこちらはテーブル席ということもあるのか、昼からまったり呑んでいるお客も散見されます。それにもかかわらず、誰かが出るとその直後に次のお客が入り、店が滞りなく回転しているのは不思議なものです。これも客席を仕切る二人組と厨房の連係がなせる職人芸なのでしょう。その光景を眺めつつ、徳利を二本空けたところで席を立ちました。

源蔵本店
広島市南区猿猴橋町5-18
082-263-3855
平日 930AM-2100PM(LO)
日祝日 930AM-2030PM(LO)
月曜定休

上酒二本
鰹刺身
小いわし天ぷら
子持ちイカ
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中国四国縦断ツアー 2016 - 広島市民球場

2016-11-04 10:56:01 | 中国
宿に荷物を預けて電車に乗り、広島駅に移動してきました。といっても「源蔵本店」で朝から一杯やるわけではありません。優勝の余韻醒めやらぬ広島市民球場を訪ねるのが目的です。
試合のない日に球場を訪ねる物好きが、自分の他に果たしているのだろうかと思いました。しかし球場が近付くと、自分と同様巡礼の帰りと思しき人々と何度もすれ違いました。門の前ではシートを広げて場所取りをしている人々もいます。よく見れば「優勝報告会」なる横断幕が。よくよく聞けば、明日球場に観衆を集めての催しがあり、その前か後にはパレードもあるようです。
実は、今回の旅程を立てるにあたり、四国を先回りすることも一時は考えました。この場合、明日松山から広島へ渡る形となるため、時間帯によってはパレードを見物することができたのかもしれません。そう思うと損をしたような気がしないでもありませんが、昨日の祭りでさえ敬遠した人間が、何万、場合によっては何十万が集まる一大行事を見物できるはずもありません。優勝の余韻を感じ取るという目的からは、これで必要にして十分ではあります。

ちなみに、駅方面から球場へと至るスロープが秀逸でした。まず欄干には「カープの星」と題した歴代名選手のレリーフが欄干に埋め込まれています。それも、黄金期を支えた大打者二人をあえて外し、「小さな大投手」こと長谷川良平を筆頭に据えるところは心憎いばかりです。今や九州、北海道、東北にも地元の球団が定着したとはいえ、市民球団の歴史において広島が別格の存在であることを、このレリーフが無言のうちに物語っています。
加えて秀逸だったのが、隣接する屋内練習場の壁面に描かれた年表です。球団創立以来の出来事を絵入りで紹介しているのですが、その絵というのが最初から最後まで一本の赤い線で一筆書きにされているのです。これだけ細かな絵を一筆書きにして、線の総延長が何kmに達するのか想像もつきません。
昨年で終わっているということは、いずれ今年のリーグ制覇も書き加えられるのかと思いきや、年表にもう余白はありません。このまま消してしまうにはあまりに惜しい力作だけに、何らかの形でこの年表に書き加えることができればよいのですが。
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中国四国縦断ツアー 2016 - コートホテル広島

2016-11-04 08:27:16 | 中国
昨晩世話になったのは「コートホテル広島」でした。福岡に続いて広島でも休日の晩に重なり、宿には十分な余裕がありました。あちらで世話になったガーデンパレスが広島にもあり、二匹目のどじょうを狙うことも可能でした。しかし、福岡ほどの大安売りでなかったのに加え、駅の新幹線口という立地が飲み歩きには不利でした。そこで主に料金、立地、部屋の広さの三つを条件にして探したところ、行き着いたのがこの宿だった次第です。
じゃらんで宿を検索すると最近よく出てくる名前ですが、昔からよく聞く名前というわけでもないため、地場の宿を一軒ずつ買収してできたチェーンなのかもしれません。この宿も古くからあった宿の居抜きのような雰囲気をしています。ただし居抜きだからといってくたびれているわけではなく、適度に年季が入って相応の味わいが出ているといった方がよいでしょう。部屋は十分に広く、机とテレビ台は両方の壁際に分かれて、テレビ台のある側には小さな円卓と椅子があり、照明と窓周りの造りも自分が日頃泊まっている宿より一枚格上です。
加えて特筆すべきは、京橋川に面した部屋の眺望です。川沿いの並木の向こうに橋を渡る電車を一望できるところは、福岡の西鉄インにもどことなく通ずるものがあります。あちらほどの視界の広さと華やかさこそないものの、繁華街に近く、それでいながら猥雑な一帯から離れた静かで景観のよい立地はまことに理想的でした。過去広島で泊まった宿の中では、ここが一番の掘り出し物と言い切りましょう。
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中国四国縦断ツアー 2016 - 二日目

2016-11-04 08:02:44 | 中国
おはようございます。昨晩は「なわない」を出た後お約束のお好み焼きをいただいて宿に戻りました。終了が遅かったのと出発前夜の寝不足がたたり、本日は遅めの起床です。
本日は広島から松山へフェリーで渡り現地で一泊します。呉に寄港し2時間40分を要する航路ですが、その割に便数は多く、おおむね一時間強の間隔で出航しています。まずは時間を気にせず広島に滞在することになりそうです。
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