日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

キャンプ総括 2016

2016-11-10 23:39:35 | 旅日記
季節外れの暑さに難儀した沖縄の旅から一転、中二日で転戦した中国四国はかなり冷えました。薄ら寒い気候はその後も続き、今日は冷たい時雨に打たれながらの帰り道でした。今後の活動予定を考えても、年内にキャンプをする可能性はもうありません。長らく車に積み込んでいた道具一式を下ろし、今季のキャンプは名実ともに終了です。
記録的な暖冬の恩恵もあり、前代未聞の正月キャンプで開幕した本年でしたが、その後のテント泊はお盆の北陸と9月の北海道だけにとどまりました。もっとも、去年もテント泊は5回しかしておらず、過去最高だった一昨年でも延べ8泊でした。これは偏に、自分にとってキャンプは旅の目的そのものではなく、宿泊の代用に過ぎないからです。キャンプを目的にするのであれば、明るいうちに着いて設営を済ませ、暗くなるかどうかの時間帯から晩酌するという選択もあり得るでしょう。しかし、暗くなってから着き、ささやかな晩酌をして眠りにつくという流れを考えると、実費程度のライダーハウスが使える場合は、設営と撤収の手間が要らないそちらの方へ自ずと流れてしまいます。
かような観点からすると、自分の中ではキャンプ場もライダーハウスも大同小異であり、さらには旅人宿も遠からぬ存在です。「キャンプ」と一括りにするにはいささか語弊はあるものの、それらを含めて今季の旅を振り返ります。

・大角海浜公園(愛媛県今治市)
恒例となった正月の四国遠征で徳島から西へ下ったとき、例年ならば松山に泊まるところ、前代未聞の正月キャンプを決行しました。空前の暖冬により、場合によってはキャンプもできそうな情勢となったことから、念のためキャンプ道具を積み込んで出発したというのが実態でしたが、その時点では本当に実現するとは思っていませんでした。しかしいざ蓋を開ければ適温無風の夜となったため、またとない好機を活かした次第です。
今治市街から北に突き出た半島の先端にあるのがこの公園で、その中でも海に最も突き出た場所にささやかなキャンプ場があります。サイトからは様々な船舶が半島を回り込むようにして来島海峡へ進入していく光景を一望でき、特に何便もの長距離フェリーが沖合を行き交う光景は、夜行列車華やかなりし頃の通称「北陸本線キャンプ場」を彷彿とさせました。さらには夜半になって東の空から月が昇ってくるという劇的な場面も。ソロキャンプにはお誂え向きの簡素な設備も好ましく、雰囲気、眺めのどちらをとっても最高でした。そう簡単に再訪できる場所ではなく、ましてやキャンプができる時期ということになるとさらに機会は絞られるのが実情ではありますが、いつの日か再訪したいと思うキャンプ場です。

・ライダーハウス旧萱野駅(北海道三笠市)
今や北海道では不可欠の立ち寄り場所となった萱野のライダーハウスを、今年は花見の時期に訪ねました。去年の10月を最後に途切れ、大型連休から再び始まる宿帳を見て、北国の遅い春を実感させられたものです。
花見で訪ねたこともあり、今季は秋の渡道を見送るつもりでいたところ、西日本の天候不順の関係もあり10月に再訪の機会を得て、今季も二泊できたのは幸いです。虫の声も途切れがちな晩秋の夜、星空を眺めながら晩酌したのが印象に残っています。

・園家山キャンプ場(富山県入善町)
北陸新幹線開業前最後の秋、延べ三泊世話になった入善の園家山キャンプ場に、二年ぶりの再訪を果たしました。お盆の最盛期に重なったため大人数の家族連れで混み合い、お世辞にもソロキャンプに適した雰囲気ではなかったものの、それでもキャンプを決行したのは、少し離れた場所にある東屋を借り切ることができたからです。田圃の中にぽつんとある東屋には石臼が据え付けられており、そこから滾々と湧き出る水に酒瓶を沈めて冷やせば、清涼感も俄然高まってくるというものでしょう。少し離れた場所をかつての北陸本線が走り、わずかに残った413系が時折通過していくところも秀逸でした。山の日の制定により、来年以降も同じ時期に中規模活動をする余地が出てきます。ここでのキャンプはお盆の恒例行事として定着するかもしれません。

・天塩弥生駅(北海道名寄市)
萱野駅はライダーハウスですが、こちらは一泊二食付きのれっきとした宿であり、キャンプと一括りにするにはあまりに語弊があります。しかし宿は宿でも旅人宿であり、似た者同士が集まる雰囲気はキャンプ場、ライダーハウスに通ずるものがありました。
かつての駅舎そのものである萱野駅と異なり、更地となっていた駅の跡地に新しく建てられたもので、駅舎の雰囲気を極力再現しつつ、宿としての機能性、快適性も兼ね備えているところに、無類の鉄道好きでもある館主の並々ならぬこだわりが感じられます。館主と女将によるもてなしに加え、心の込もった品数豊富な朝夕食もありがたく、結局連泊してしまいました。

・天塩川温泉リバーサイドキャンプ場(北海道音威子府村)
二日間世話になった天塩弥生の宿を出て、再び北上していったとき、音威子府に着いたところで日が暮れたため、一昨年世話になった天塩川温泉のキャンプ場に飛び込みました。無料にもかかわらず芝地のサイトは入念に手入れされ、すぐそばには温泉もあるという至れり尽くせりのキャンプ場です。以前訪ねたときもかなりの数の旅人で賑わっていたことからして、今回もそのような場面を想像していたところが、いざ現地に乗り込むと先客皆無という予想外の結果に。最上のキャンプ場を借り切り、満天の星空を仰ぎつつ晩酌するという、何とも贅沢な一夜となりました。

・みどり湯(北海道稚内市)
音威子府からさらに北上し、稚内に着いたのは翌日のことでしたが、二つほど問題がありました。まず市内の宿が異様に混み合っており、常識的な価格帯では選択肢が皆無だったことです。ところがキャンプを張ろうにも、夜半から雨が降るとの予報でした。そのような状況で、地獄に仏となってくれたのがこのライダーハウスです。宿泊料は千円ぽっきり、風呂は併設の銭湯で済ませればよく、なおかつ南稚内の飲み屋街も徒歩圏内。これまでライダーハウスというと、駅の跡地に造られた駅舎か列車の宿しか経験がなく、これほど便利な宿があるとは知りませんでした。こちらも結局三夜続けて世話になるという結果です。

・多田良北浜海岸キャンプ場(千葉県南房総市)
このところキャンプ納めで世話になっているのが房総の多田良北浜海岸キャンプ場です。去年は訪ねた時期が11月の下旬と遅く、既に閉鎖された後だったため、今年は10月中旬に早々と訪ねたところ、またもキャンプ場は閉鎖されていました。建前上は夏のみの開放ながら、期間外でも地元の好意によりキャンプができたこちらの海岸ですが、マナーの悪いキャンパーが多かったのか、期間外は一律キャンプ禁止となってしまったようなのは残念です。内房の静かな波打ち際での晩酌は最高だっただけに、房総キャンプは何らかの形で続けられればよいのですが、このキャンプ場については今季限りとなるかもしれません。とはいえ今まで散々世話になったことについては感謝しています。
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