日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

さくらさく 2013番外編

2013-04-16 21:52:09 | 旅日記
信州を旅した四日の間、時折気にかけていたことがあります。出発まで咲いていた近所の八重桜がどうなったかということです。
三月前半という異例の早さで最初のソメイヨシノが咲いて以来、寒の戻りもあって、三度の週末を地元での花見に注ぎ込むという、これまた異例といえるほど長持ちした今年の桜でしたが、四月最初の週末が終わった時点で、山桜と枝垂桜もあらかた散りました。八重桜だけが残ったところで信州へと旅立ったわけなのですが、その時点でも近所の土手に咲く白い八重桜だけは満開だったのです。それだけに、散り際を見届けずに去るのが少々心残りで、信州の見事な桜に圧倒されながらも、あの八重桜はどうなったかと時折思い出さずにはいられませんでした。全く往生際の悪い人間です(苦笑)

しかして帰着から一夜が明け、真っ先に近所の土手を訪ねると、視界に入ったのは遠目にも散ってきたと分かる姿でした。しかし驚いたことには、近づいて眺めるとこれが意外なほど絵になるのです。白い大輪の花は、花びらを散らして明らかに小さくしぼんでいながらも、その小さくなった花に今度は紅色がさして、白く大きい遅咲きの花と紅白入り乱れた、満開の頃とは一味違った趣があります。
他の桜に遅れて人知れず咲く地味な桜という先入観のあった八重桜ですが、その認識を改めたのは、去年道東で最後の花見をしたとき、八重桜が堂々たる主役の一角を張っているのを目にしてからでした。よって、八重桜の散り際を観察するのもこれが実質初めてのようなものです。華やかな花吹雪こそ桜の真骨頂とはいえ、こんな奥ゆかしい散り際もまた心惹かれるものがあります。
この小さな花も、遅かれ早かれ消えてなくなってしまうかと思えば、一抹の切なさを感じるのは事実です。しかし、せめて今週いっぱいは、挨拶代わりにこの桜を眺めてから職場へ向かいます。
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