日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

この季節の楽しみ 2013番外編

2013-04-03 23:31:57 | 野球
何を今更といった話ではありますが、本日幕を閉じた選抜高校野球に、このblogでも過去に何度か取り上げた遠軽が出場しました。公立校が全国大会に出場すること自体が難しくなった今日にあって、道都から遠く離れた郡部の公立校としては奇跡的な好成績を残しながらも、地方大会の決勝で過去四度、直近では二年続けて涙を呑んだこのチームが、ついに甲子園の土を踏んだのです。
そう考えれば実にめでたい話だというのに、手放しで喜べないのが天の邪鬼の悲しい性です。何が引っかかるかといえば、件の「21世紀枠」で選ばれたという一点に尽きます。上記の戦績に加え、昨年の秋季大会でも優勝校の北照相手に互角の戦いを繰り広げて四強入りした実績は、この枠での選出に最もふさわしく、昨年選ばれた女満別に先んじても何らおかしくはなかったと思います。しかし、これほどの実力校なら、秋季大会も自力で制覇できたのではないかという気がしてならないのです。

この枠で出場した向陽に対して「末代までの恥」なる悔し紛れの捨て台詞が吐かれ、物議を醸したのは三年前のことです。その向陽が、春夏合わせて22回の全国大会出場と二度の全国制覇を誇る戦前の古豪、海草中の後身であることからすれば、この発言はきわめて失当かつ非礼きわまりないものであることは明らかで、本来なら監督辞任などで済むような話ではありませんでした。しかし、この発言が象徴するように、21世紀枠に対して根強い偏見が持たれているのは事実です。所詮は温情措置で選ばれたに過ぎず、負けて当然、勝てばまぐれというのが大方の見立てなのでしょう。
実際のところ、昨年選ばれた女満別については運に恵まれた部分もあり、他の出場校に比べて明らかな実力差がありました。しかし、北海道の頂点に何度も迫りながら、あと一歩のところで敗れてきた遠軽は、少なくとも女満別とは次元が違います。それにもかかわらず、「21世紀枠」という注釈がつくだけで、どちらも同じ北海道の片田舎の高校と映ってしまうのが、このチームの戦いぶりを(あくまで紙面上とはいえ)追ってきた者としてはやりきれないのです。仮に秋季大会を制覇して見事出場権を勝ち取っていたとすれば、私はおそらくあらん限りの賛辞を送っていたことでしょう。

初戦は同じ21世紀枠で選ばれたいわき海星を破り、二戦目には優勝候補筆頭の大阪桐蔭に格の違いを見せつけられたというのが、初めての甲子園での戦績でした。初陣を見事勝利で飾ったにもかかわらず、所詮は21世紀枠同士と切り捨てられた上に、二戦目では格好の噛ませ犬にされた形となり、結果として「21世紀枠の呪縛」から逃れられなかったのが少々残念でした。しかし、結果はともかく悲願の全国大会出場を果たしたのは事実です。そして、一度限りの甲子園に満足しきって終わるチームでもないでしょう。いつの日かこのチームが、自力で出場権を勝ち取り甲子園に戻ってくることを願っています。
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