日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

当座の活動予定

2011-03-16 22:47:14 | 旅日記
朝方の陽気から一転、日が暮れてからは冬場のような寒さに戻り、日曜深夜の帰り道より暗く静まりかえった街中が印象に残る水曜日でした。被災初日の混乱ぶりとは対をなす陰鬱な空気が街を支配する中、今日はあえて今後の活動予定についてお話しします。
考え方は人それぞれですが、自分自身は「自粛」というものにそれほどの意義を感じません。昨日申し上げたように、東北に人一倍の思い入れがあるのは事実です。しかし、津波が押し寄せようと原子炉が吹き飛ぼうと、一介の旅人に何ができるわけでもありません。「痛みを分かち合う」といえば聞こえがよいとはいえ、行きたい場所へも行けず、家にこもって陰鬱な知らせを否応なく見聞きすることに、果たしてどれほどの意義があるのかについては疑問です。かき入れ時の三連休をあてにしていた人々もいる以上、意味のない形ばかりの「自粛」を繰り返しては、沈んだ日本列島がますます沈滞してしまいます。運よく授かった平穏無事な暮らしに感謝しつつ、今後も活動を続ける方が、むしろ前向きな選択ではないかと考えている次第です。
ただし、この状況において不要不急の一人旅のために貴重なガスを消費するわけにも行きません。マイカーでの活動だけは当分休止せざるを得ないでしょう。今週末の三連休の活動を休止すれば、その後二週にわたって地元に滞在するつもりでいるため、一月先までマイカーなしで乗り切ることができます。一月経てば状況も少しは改善すると期待しています。前例のない事態だけにどうなるかは何ともいえませんがorz

以上の結果、今週末の三連休は急遽予定を変更して汽車旅へ出ることになりそうです。代替プランとしてまず考えているのは、以前から構想していた「北陸フリーきっぷ」を使っての汽車旅です。三連休の旅先として最適な距離である上に、この騒動の余波で相当数のキャンセルが出たらしく、まずとれないと思っていた行き帰りの上越新幹線や金沢の宿が余裕で確保できそうな状況なのです。車を置いて短区間だけ乗った場合を除けば、北陸を列車で旅したのは、記憶する限りでは7年前が最後です。自分でも驚くほど長い間ご無沙汰になってしまった北陸の汽車旅を決行するには、今回がまたとない機会ではないかと思います。ただ、停電の影響で上越新幹線がどうなるか分からないというのが唯一にして最大の懸念材料です。最悪の場合、行ったきり帰れなくなるといった事態もあり得るだけに、一両日中の動向を見極める必要は出てくるでしょう。
もう一つの代替プランは、開業間もない九州新幹線で鹿児島へ向かうというプランです。これも、開業直後の三連休ということで、当初は全く想定になかったプランで、マスコミにあおられた一般大衆とともに西へ逃げるかのように映るのも、あまのじゃくとしてはいただけません。とはいえ、時間帯を選べばまだまだ列車も確保できる上に、北陸方面とは輸送力が格段に違うため、多少のダイヤの乱れがあっても修復しやすいという利点があり、せっかくの船出に水を差されてしまった九州新幹線へのせめてものご祝儀にもなります。どちらをとるかについては明日までに決めたいと思います。

直前の予定変更は最近の日常茶飯事で、思い起こせば浜通りと三陸を訪ねた先月も、当日の朝になって急遽静岡から方向転換したものでした。気まぐれを起こしたおかげで被災前の最後の姿を見届けることができたのですから、全くの偶然とはいえ何か因縁めいたものを感じます。淡い紫色に染まった穏やかな三陸の内海が、それから一月も経たないうちに全てのものを呑み込んでしまったとは、自分には未だに信じられません。再び彼の地の土を踏むのはいつのことになるのでしょうか…
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