北陸フリーきっぷ

先日「三連休パス」の「スリーデーパス」へのリニューアルについて記しましたが、もう一つ注目すべき商品があります。7月にリニューアルされた「北陸フリーきっぷ」です。フリー区間が拡大されて、従来は対象外だった福井や富山東部が加わったことで、北陸の主要エリアの大部分がカバーされるようになりました。リニューアル前は金沢と富山の近辺しか移動できず、マイカーの自由度の高さには太刀打ちできない状況でしたが、都内からではいささか遠い福井が加わったことでかなりの価値が出てきました。4日間有効で都区内発が21,500円、片道プラス1,300円でグリーン車にも乗れ、周遊券時代とは比べようがないにしても、かなりお得感のある商品になっています。
北陸地方は周遊券の廃止で最も利便性が低下した地域の一つです。周遊券時代は、東海道、上越、信越、中央、高山など様々なルートからのアプローチが選べる上に、特急街道の北陸本線を含め北陸地方のJR全線が乗り放題というきわめて便利な商品だったのに対して、後継の周遊きっぷではフリー区間が細切れに分割された上に、その区間を全線乗らなければ元が取れないほどの割高な価格設定になってしまったため、一筆書きの普通乗車券を買ってその都度特急料金を支払うというプランしか事実上選択できなくなり、支線に乗ったり今来た道を引き返したりといった行動も制約され、一転して汽車旅をするには最も不便な地域へ変わり果ててしまったのです。
その後車の免許を取ったこともあり、北陸への交通手段はもっぱら車となり、ごくたまに車を置いてローカル電車に乗るのがせいぜいという、かつてを思えば淋しい限りの状況となって今日に至っています。しかし、今回のリニューアルによって、北陸が汽車旅の定番の目的地として復活しそうな気がしています。スリーデーパスと違って利用期間が三連休に限られないので、例えば土日、あるいはそれに一日二日休暇を付け加えて出かけるのもよさそうです。