
昨12月15日、東洋文庫で<ビジュアルメディアとジェンダー>シンポジウムを開きました。私たちのNIFU東洋文庫ジェンダー研究班と同画像研究班、そして敬和学園大学の戦争とジェンダー表象研究会の皆さんとのジョイント企画です。
写真の加納実紀代さんの基調講演をはじめとして、示唆に富む報告や議論が詰まったシンポになりました。とくに戦前の様相を呈しつつあり、メディアの役割についてさまざまな議論がなされている現在、そこにおけるジェンダー表象に込められた意味に、さらに敏感になってゆく必要を感じました。原爆被害を表彰する時に、男性は背中、女性は顔のケロイドがメディアによって強調されたこと、侵略者の残酷性を訴える際に、性暴力に遭った女性の身体の表象を使うことの問題点など、立ち止まって考えるべきことがたくさん提起された会でした。
今回の企画でつながった人たちと、今後とも議論を深めることを切望しています。
プログラムは以下の通り。
<シンポジウム「ビジュアル・メディアとジェンダー」>
日時:2013年12月15日(日)10:30~18:00
場所:(財)東洋文庫2F 講演室1
[午前の部]
趣旨説明・司会:貴志俊彦(NIFU東洋文庫拠点研究員・京都大学教授)
基調講演:加納実紀代(女性史研究者・元敬和学園大学特任教授)「原爆表象とジェンダー」
[午後の部]
第1部 「中国のビジュアル・メディアとジェンダー」司会:江上幸子(フェリス女学院大学教授)
1.坂元ひろ子(一橋大学教授)「抗日戦争期の中国漫画におけるジェンダー表象」
2.石田留美子(中国現代美術研究者)「中国現代アートにみるジェンダー表象」
コメンテーター:松本ますみ(敬和学園大学教授)
第2部 「女性誌にみる戦争とジェンダー表象」 司会:杉村使乃(敬和学園大学准教授)
3.神田より子(敬和学園大学教授)「第二次大戦下、『青年女子』の表象」
4.桑原ヒサ子(敬和学園大学教授)「『ナチ女性展望』におけるジェンダ ー表象」
コメンテーター:小浜正子(NIFU東洋文庫拠点研究員・日本大学教授)
総合討論 司会:貴志俊彦
主催:NIHU現代中国地域研究・東洋文庫拠点・ジェンダー資料班&図画像資料班、京都大学CIAS共同利用・共同研究プロジェクト・複合研究ユニット「非文字資料の共有化と研究利用」&個別研究ユニット「写真雑誌に見る第二次世界大戦期の記憶とジェンダー・エスニシティの表象分析」
共催:敬和学園大学戦争とジェンダー表象研究会、科研基盤(A)「東アジア域内100年間の紛争・協調の軌跡を非文字史料から読み解く」、科研基盤(C)「歴史的視点による中国のジェンダー秩序に関する総合的研究」、科研基盤(C)「大衆メディアに見る第二次世界大戦期と戦後秩序の中のジェンダー・エスニシティ」