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つれづれなるまま(小浜正子ブログ)

カリフォルニアから東京に戻り、「カリフォルニアへたれ日記」を改称しました。

日大文理学部公開講演会「尖閣問題の歴史的背景」

2012-11-03 03:58:10 | 日記
学園祭で「今東アジアの緊張をどうとらえるか」という講演会が企画され、「尖閣問題の歴史的背景」について講演しました。
内容は、このブログに何度か書いてきた以下のようなことです。
・中国では、ほとんどの人が「釣魚島」は中国領土だと考えており、それは中国の歴史意識や経験からすると自然なことである。中国側と対応する時は、そのことを理解していないとすれ違いになる。
・尖閣諸島(釣魚島)が沖縄に属するか、台湾に属するかについて、日中では見解の相違があるが、沖縄が日本領土になったのは明治の「琉球処分」によってだし、台湾が中国の版図に組み入れられたのは清朝のことで、いずれも日中それぞれの「古来からの固有の領土」などではない。(琉球は、江戸時代(清代)は薩摩藩と清とに「両属」しており、それは双方に黙認されていて、だからこそ中継貿易が可能であった。)歴史的には「固有の領土」という概念は成立しがたい。
・日中それぞれに、政府見解とは独自の市民によるアピールなども出ており、多様な意見を持つ人々がいることを忘れてはならない。
・異なった経験を持つ国と人々の多様な意見のある中で共通の問題を考えようとする時、歴史をふまえ、将来の平和共存を見据えて、現在の問題を止揚してゆく必要がある。
大学主催・世田谷区後援の講演会で、たくさんの一般の区民の方や職場で顔見知りの方たちの顔も見えてちょっと緊張しましたが、おかげさまで好評のうちに終えることができたようです。
機会あれば、このような中国史家としての見解の発信を続けていきたいと思います。