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ねこやま

徒然備忘録

闇の守り人 / 上橋菜穂子

2011-01-05 07:50:42 | 上橋菜穂子
抜粋

女用心棒のバルサは久しぶりに生まれ故郷のカンバル王国にもどる。
幼い日、カンバル王に父を殺されたバルサは
父の親友ジグロに助けられ、生まれ故郷をあとにしたのだった。
しかし、ジグロはそのため汚名を着ることになった。
バルサはジグロの汚名を命がけで晴らそうとする。

野間児童文学賞、産経児童文化賞受賞の『精霊の守り人』の姉妹編。





























満点!

いや~、よかった。
精霊の守り人より点数が高いのはなぜか。
アレはアレでおもしろかったけど。
やっぱりバルサという人物が魅力的。
バルサ個人の話だったっていうのがひとつと、
バルサの育ての親ジグロの一族の陰謀が読んでて楽しかった。
陰謀とか大好き。
うわ~、嘘だらけだこの人!きったねぇ~。
というのがすごく好きです。
やっぱり物語の中に“悪者”という位置はあったほうが
話が盛り上がるってなもんで。
他には感動の再会、かな。


カンバル国は冬になると厳しい雪に閉ざされるので、
ほとんどの家の男たちは出稼ぎに出る。
それ以前に元々カンバルの土地は貧しくあまり食物が育たない。
育つのはイモばかりで、いつも農民は生きているのがやっとだ。
あとは少しのヤギなどの酪農で生活を立てている。
そんな中、代々伝えられてきた儀式がある。
山の神からルイシャという宝石を賜るのだ。
人々はルイシャをもらう代わりに作物を捧げる。
そして、カンバル王はその宝石を他国に売りそのお金で作物を買い、
余ったものを自国の民に配るのだった。
その儀式が、もう15年も滞っている最中にバルサは戻ったのだった。

幼い頃ジグロに連れられて通った洞窟を、
今一度通り抜け国に入ることを決めたバルサ。
そこでヒョウル(闇の守り人)に遭遇し、幼い兄妹を助ける。

そこから物語りは始まるのだが。。。
バルサの幼少期の葛藤をぶつける相手・・・それがまさかあの人とは!
泣きながら読んだ戦闘シーン。
心の底でずっとそうじゃないかって思っていたことを、
ズバリ言われて、わかってたけどやっぱり悲しくて悲しくて、
わたしだって、といわずにいられなかったバルサ。
それがもう切なくてせつなくて泣けてきた。

ジグロの汚名を晴らしにきたわけだけど、
国民に王家の陰謀やその詳細を知らせることなく、ただ、
知っておいて欲しい人にそっと、彼がどんな想いで生きていたか、
ということを伝え、他の大多数に教えられていた歪んだ歴史を
正すことなく、混乱を招くようなことはせず風のように去るバルサ。
かっこよすぎる。

やっぱりおもしろかった。


あー、続きが早く読みたい。


2007.10.05


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