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老舗旅館の長男、中学校二年生の逸夫は、自分が“普通”で退屈なことを嘆いていた。
同級生の敦子は両親が離婚、級友からいじめを受け、誰より“普通”を欲していた。
文化祭をきっかけに、二人は言葉を交わすようになる。
「タイムカプセルの手紙、いっしょに取り替えない??敦子の頼みが、
逸夫の世界を急に色付け始める。だが、少女には秘めた決意があった。
逸夫の家族が抱える、湖に沈んだ秘密とは . . . 本文を読む
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目覚めて見る夢は、眠りながら見る夢より百倍罪深い
禁断の恋に悩む兄妹
他人の男ばかりを好きになる末っ子
居場所を探す団塊世代の長兄
そして父は戦争の傷痕を抱いて―
愛とは、家族とは何か
戦前生まれの厳格な父、家政婦から後妻に入った母。
先妻の子も実は後妻の連れ子も、兄妹分け隔てなく育てられた。
そんな一家に突然残酷な破綻が訪れて―。
家族とは、そして、人生とは なに . . . 本文を読む
「モーツァルトの子守唄」を出版した楽譜屋が、水浸しの焼死体で発見された。
場所は、ベートヴェンがオーケストラを特訓中の劇場である。
モーツァルトの死の翌日自殺したフリースが作った曲を、
18年後のいま、天才音楽家の名前で出版したからか。
楽譜に、モーツァルトの毒殺説の謎をとく暗号がかくされている!
ベートーヴェン、弟子のツェルニー、シュー . . . 本文を読む
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1970年の夏
海辺の町に帰省したは
友人のとビールを飲み
介抱した女の子と親しくなって
退屈な時を送る
二人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに
の夏はものうく、ほろ苦く過ぎ去っていく
青春の一片を乾いた快活なタッチで捉えた出色のデビュー作
群像新人賞受賞
感想。
ふ~ん、って感じだった。
でも . . . 本文を読む
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色に魅せられた染織家・多岐川飛鳥
野生動物のいのちを撮るカメラマン・藤代一馬。
二人が出会ったのは、ベルリンの壁崩壊の夜。
運命的な恋の予感はそのまま、アフリカの再会へと結びつく。
サバンナの大地で燃え上がる愛、官能の炎。
しかし、思いがけない事実が発覚して――――。
運命のラストまで胸を揺さぶる恋愛小説。
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骨董市で買った古い釣り用リール。
それと共に入手した柳行李(やなぎごうり)に昔のフィルムが入っていた。
好奇心に駆られたコピーライターの日下哲は、フィルムの再現を試みる。
過去の映像が現代に蘇ったその時、日下の周りでは不穏な動きが…。
1個のリールが結ぶ過去と現代。日本人が封じてきた忌まわしい出来事は
今もなお、人々の心の奥底に澱(おり)のように潜んでいた。
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これはフリンなんかじゃない、恋だ。
バンドとバイトに明け暮れる大学生の「僕」。
美人でクールな講師のマリコ先生に恋したけれど、
学生と教師、しかもマリコ先生には夫がいる。
不器用でひたむきな青春の恋の行方。
大学生の涯は友達の双子(男と女)ともう一人の男の子とバンドを組んでいる。
両親は離婚して、一人暮らし。
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七通の手紙が彼女のもとに届いた。
差出人はすべて不明。
手紙は決まって、縦書きの便せんに水性のボールペンで書かれ、
最後のページがきれいに一部切り取られていた。
やがて、八通目の手紙が託された。
そして、それが最後の手紙だった。
80年代前半・長野。
90年代後半・東京、そしてアメリカ西部。
ふたつの時代が出会い、そして、今、静かに響きあう。
『天国の本屋』シリーズ . . . 本文を読む
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人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。
ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。
やがて同居人は増え、5人と1匹に。
「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼らを離さない。
各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは?
息もつかせぬ驚愕の逆転劇、そして感動の結末。
「このミス」常連、各文学賞総なめの文学界の若きトップランナー、
最初の直木賞ノミネート作 . . . 本文を読む
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「ぼくが君を守る。だから手を離さないで」
頭に角の生えた生贄の少年。
鋼鉄の檻で眠る囚われの少女。
2人が運命を変えることを、「霧の城」は許さない。
霧の城が呼んでいる。
時は満ちた、生贄を捧げよと。
何十年かに1人生まれる、小さな角の生えた子。
頭の角は、生贄であることの、まがうことなき「しるし」。
13歳のある日、角は一夜にして伸び、水牛のように姿を現す。
それこ . . . 本文を読む
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どこかに金貨が埋められている。
桜の木の下だという。
働き盛りの男三人と彼らより一回り年下の女性が手を結んだ。
その金貨が語る膨大な物語とは。
父に勧められて。
うーん。
これは年齢層が高いぞう。
わたしぐらいの年の人が読んでも感慨に耽るにはまだ早い気がする。
みつけたら、あんたにあげるよ
冒頭は、三千枚の金貨を埋めたという男 . . . 本文を読む
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夏休みを迎える終業式の日。
先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。
きい、きい。妙な音が聞こえる。
S君は首を吊って死んでいた。
だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。
一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。
「僕は殺されたんだ」と訴えながら。
僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。
あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。 . . . 本文を読む
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人間は、死んだらどうなるの?
―いなくなるのよ
―いなくなって、どうなるの?
―いなくなって、それだけなの―。
その会話から三年後、鳳介の母はこの世を去った。
父の洋一郎と二人だけの暮らしが始まって数日後、
幼馴染みの亜紀の母親が自殺を遂げる。
夫の職場である医科大学の研究棟の屋上から飛び降りたのだ。
そして亜紀が交通事故に遭い、洋一郎までもが…。
父とのささやかな幸 . . . 本文を読む
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杉本悦子は、女性問題で彼女を悩ませ続けた夫が急逝すると、
舅弥吉の別荘兼農園に身を寄せ、まもなく彼と肉体関係に陥った。
彼女は夜ごと弥吉の骸骨のような手の愛撫を受けながら、
一方では、園丁三郎の若々しい肉体と素朴な心に惹かれていく。
だが、三郎には女中の美代という恋人がいることを知った時、
悦子は・・・・・
神なき人間の逆説的な幸福の探求を主題にした野心作。
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