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ねこやま

徒然備忘録

重力ピエロ / 伊坂幸太郎

2010-12-16 08:00:32 | 伊坂幸太郎
抜粋

半分しか血のつながりがない「私」と、弟の「春」。
春は、私の母親がレイプされたときに身ごもった子である。
ある日、出生前診断などの遺伝子技術を扱う私の勤め先が、
何者かに放火される。
町のあちこちに描かれた落書き消しを専門に請け負っている春は、
現場近くに、
スプレーによるグラフィティーアートが残されていることに気づく。
連続放火事件と謎の落書き、
レイプという憎むべき犯罪を肯定しなければ、
自分が存在しない、という矛盾を抱えた春の危うさは、
やがて交錯し…。



































曰く、“伊坂流「罪と罰」ともいえる本書は・・・”

罪と罰を読んだことがありません。
やっぱり名作とよばれる読み物は読んどくべきかなって、常々思う。
ミステリーの王道や有名な古い映画。オールディーズ。
本の中にはよくそういうものたちが登場したりする。
そんな時、共感できないのは寂しいものだ。

伊坂作品にはよくいろんなものが登場する。
そんな小さな部分部分に感心してしまう。
今回は井伏鱒二の山椒魚がでたことがやけにうれしかった。


内容はというと、なんだか延々と暗くて重いものが横たわっていて、
それを見過ごしてまたいで先に進めるはずもなくて、
ずっと考えてなきゃいけなくて、疲れた。
それでもさすが伊坂幸太郎。
春という人物の書き方で随分印象が変わってくるものだなーと思った。
普通は暗くなりがちだと思われる展開なのに、
なぜかあっけらかんとして、だけど鋭く繊細。

物語のラストは読む人によっていろいろ思うところはあるだろうけど、
すごく難しい問題すぎて私には答えが出せない。




目には目を、歯には歯を

やられたらやり返すって解釈してた。

だけど違う。

目を潰されたら相手の目を潰すだけにしなさい。

歯を折られたら歯を折るだけにしなさい。

過剰報復の禁止。

ハンムラビ法典をわたしは勘違いしていたらしい。






日本の法律はハンムラビ法典とは違う。

この世に情状酌量がある限り、いや、なかったとしても、

理不尽だと思うような判決はいっぱい下されるに違いない。

自分だっても、

加害者にも被害者にもなることができる毎日を生きている。

できればそんな状況に陥らずに最後の時を迎えられたらいいと、

切に思った。


2007.08.17


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