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東京急行電鉄 8000系電車

2009-03-01 21:54:02 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
輸送力の増強と将来の新玉川線開通を念頭に登場した東急で初めての20m級
4ドア車である。
昭和44年~50年代後半にかけて大量に増備され、広義の8000系グループである
8500系、8090系、8590系を合わせた数は677両に上る。

形式は以下の種類がある。

クハ8000形(先頭車。奇数車が渋谷側、偶数車が桜木町側)
デハ8100形(デハ8200とユニットを組む中間電動車。パンタ・制御装置付き)
デハ8200形(デハ8100とユニットを組む中間電動車。パンタ無し・補助機器付き)
サハ8300形(中間付随車。東横線用であったが、デハ8200に改造され消滅)
デハ8400形初代(軽量車体試作の中間電動車。後に機器構成が同じデハ8200に改造・
編入され消滅)
デハ8400形2代目(どの電動車ともユニットを組まない中間電動車。後に大半がデハ
8100に改造される)

車体はオールステンレス製で正面は切妻・貫通型である。
正面形状は極めてシンプルで、中央部に貫通扉、その上に方向幕、
ヘッドライトを左右窓下に配し、同窓上には通過標識灯が設置されている。
アクセントとして正面窓とライトの間にリブが配されている。
塗装はされておらず、ステンレスの地色であるシルバー一色であったが、
昭和63年より正面リブの下に赤帯を配している。
製造時期により、側面の方向表示幕の大きさや、車体形状などに差がある。

車内はロングシートで初期車では着席率を増やすためドア間を8人掛けとし、
ドアの脇ギリギリまで座席を設けていたが、ドア周りが狭く、乗降に難があり、
不評であった。
このため、途中から、7人掛けに変更し、ドア付近の空間を広げている。
側面窓は一段下降式である。
冷房は当初、搭載していなかったが、昭和46年製造の8019編成より冷房付となり、
それ以前の車両も順次冷房化されていった。
冷房化への取り組み自体はもう少し早く進められたが、いわゆる冷房準備車で、
冷房装置用のカバーだけ取り付けた「偽クーラー」車両も存在した。

運転台はT字型ワンハンドルマスコンを日本の電車として、初めて採用した。
この運転台はT字型のハンドルを手前に引いて加速、押してブレーキと
操作するもので、本形式以降に採用されたワンハンドルマスコンは
全てこの方式がとられている(海外輸出車両以外)。

主制御装置は界磁チョッパ制御を世界で初めての採用となった。
ブレーキは応答性に優れる電気指令式電磁直通空気ブレーキである。

台車はクハ8000形がパイオニア式という軸バネのない空気バネ台車、
中間車各形式が軸箱支持をぺデスタル式としたダイレクトマウント式
空気バネ台車である。
後にクハ8000形も後者に変更している。

平成4年~9年の間に、東横線所属車を対象にして車体更新を実施している。
主な内容としては、内装・座席の張替え、行き先表示のLED化(一部編成では
省略、若しくは字幕に戻されたものもある)、妻窓の固定化、2・7号車への
車椅子スペースの設置、7人席へのスタンションポール設置、
正面貫通扉周りを縦に黒、その両脇を赤帯でL字に縁取りし、それを側面にも
巻いた「歌舞伎」塗装化などである。
大井町線でも晩期に簡易更新を実施し、内装の張替えと4号車への車椅子スペースを
設置したものが存在する。

運用された区間は東横線と大井町線である。新玉川線(現在の田園都市線の渋谷~
二子玉川間)開業時には弟分の8500系の中間車として連結されたものがあったほか、
大井町線所属車は多客時にこどもの国線にて運行されたこともある。

東急では7000系以降に登場したステンレスカーは廃車にせず、更新、若しくは
地方私鉄などへ売却する方針であったが、鉄道車両を取り巻く環境の変化から、
本形式は平成15年ごろより廃車が開始されている。

東横線では平成17年に「伊豆のなつ」号として、オーシャンブルーに淡いシルバーの
伊豆急行塗装に変更した編成が運行されたほか、同年には赤帯を除去し、
行き先表示を字幕に戻して、ほぼ登場時の姿に復元した編成も運行された。
これらの編成は平成18年~19年にかけて引退していき、平成20年1月末に
さよなら運転をもって、東横線での運行を終了した。
大井町線所属のものも5000系の増備により転属してきた8500系や8590系により
置き換えられ、平成20年を2月を最後に営業運転から撤退している。

引退後、一部の車両が伊豆急行に譲渡されて同社の8000系電車として運行されているほか、
インドネシア鉄道会社にも輸出されて、ジャカルタ周辺で運行されている。


東横線所属の編成。手前が「歌舞伎」編成。桜木町駅廃止を目前に控えた頃の撮影。


帯無しに戻された8039編成。


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