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東京急行電鉄 8090系・8590系電車

2009-05-22 20:55:53 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
昭和53年に試作された8000系デハ8400形(後にデハ8250形に改称)をベースに
コンピューター解析によって、必要な車体強度や剛性を保ちつつ、
軽量化を図った、日本で最初の軽量ステンレスカーである。

昭和55年~平成元年にかけて80両(8両編成×10本)が製造された。今回はみなと
未来線開業向け及び8090系の大井町線転用のために昭和63年~平成元年に
製造され、8590系(先頭車のみ片側5両×2=10両)も含めて紹介する。
最盛期(平成元年~平成9年3月まで)には、大井町線に8090系5連×10本、東横線に
8590系8連5本の90両が在籍していた。
なお、昭和59年~60年に製造されたグループは番号がいっぱいになってしまった
のでクハ8099の次はクハ8080からスタートしている。

車体はステンレス製で、先述のとおり、軽量ステンレス車体を用いている。
車体はひずみを防止するため、断面を卵形として、代わりにリブを通している。
帯色は赤で、東急のステンレスカーとして初めて側面窓下にも2本入れられた。
正面は非貫通で三つ折れとなっており、窓上には左から順に種別表示、行き先表示、
列車番号表示が並ぶ。これらは字幕式で、側面にも種別・行き先表示幕を設置している。
正面窓は当初、連続窓風であったが、破損時の交換の容易化をはかるため、
個別固定に改められている。
ヘッドライトとテールライトは角型のユニットで窓下左右に設置されているが、
最初の5本が帯下なのに対し、昭和59年~60年に増備された分と8590系は帯上に
変更され、同じ形式ながら趣を異にしている。

車内は8000系に準じたロングシートで当初は赤色のモケットであったが、
後にオレンジとブラウンの2色に変更されている。
ドアは両引き戸で片側4箇所である。

8590系では地下鉄線直通基準に従い、正面を貫通型とした。車内では9000系の
設計を取り入れて、7人席の間に仕切りを設置するなどの変更が見られる。

主制御装置は8000系と同じく界磁チョッパ制御であるが、制御段数を増やして
乗り心地の向上を図っている(モーターに段階的に電流を流すため、この段階が
多ければ多いほど、滑らかに加速できる。その分、機構は複雑になる)。
台車はダイレクトマウント式空気バネ台車で車輪に波打車輪を採用して
走行音の低減を図っている。
ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキで運転台は東急標準のT字形
ワンハンドル式である。

昭和55年に量産先行車として第1編成が7両編成で製造された後、昭和57年に製造された
第2編成より、8連で増備され、昭和58年に第1編成も中間車を挟んで8連化されている。
昭和63年より8590系の東横線投入に伴い、編成の組み換えを行い、上記のとおり、
8590系が東横線に8連×5本、8090系が大井町線に5連×10本の配置となる。

8090系は大井町線転属後、大きな動きが無かったが、平成15年ごろよりパンタグラフの
シングルアーム化を実施した。また平成18年より設定された大井町線と田園都市線に
直通する急行列車の新設に伴い、誤乗車防止の為、帯をレッド→オレンジの
グラデーションに変更し、正面と側面ドア横に「大井町線」の線名シールを貼り
付けている(後述の8590系の大井町線所属車も同じ)。
また、大井町線所属の8090系の全編成で平成19~20年までに行き先表示を字幕から
フルカラーLEDに交換している。
また、4号車に車椅子スペースを設置している。

8590系は、ほぼ東横線の急行で専属的に使用されたが、平成9年のダイヤ改正で
運用が減り、5本中2本(8594・95)を10連1本(8594)に組み替えて、田園都市線に
転属した。この際、中間車を提供した8595編成が休車となった。
更に平成13年に8593編成が田園都市線に転属し、中間車を休車中の8595編成に
譲って、8595編成が営業復帰して、8593編成が代わって休車になった。
これらは、平成15年に元の8両編成3本に組みなおされ、東横線に復帰し、
翌年には本形式にとって悲願ともいえる、みなと未来線への直通を実現している。

しかし、それも長くは続かず、平成17年~18年にかけて5連3本と10連2本に組み替えて、
5連を大井町線、10連を田園都市線に転属させた。この組み換えで余った中間車
5両は平成19年~20年にかけてこの8090系列グループで初めて廃車となっている。
大井町線所属車は、8090系と同様の改修を受けているが、田園都市線所属のものは
保安装置などをのぞけば特に大きな改造は行っていない。
なお、田園都市線では半蔵門線押上までの運用で東武伊勢崎線への直通運用は
東武鉄道対応の保安装置の設置を行っておらず、就いていない。
このため、2000系や8500系の一部などと共に「マルK」シールを貫通扉に貼って
区別されている。

なお、電車とバスの博物館には本形式の実物大車体模型を用いたシミュレーターが
設置されている。
車番は8090とされているが、初期車に範を採ったため、本物の8090とはライトの位置が
異なる。
また実物は運転台機器の交換が行われているが、こちらは登場時そのままの
形態を残している。


東横線に在籍していた頃の8590系。正面が貫通型になっている。


初期導入車の現在の姿。低い位置にあるヘッドライトが特徴。


ヘッドライトの位置が変更になった後期形。
車番の下二桁の90番台を使い果たしたため、80番代になっている。
なお、8090系の旧形態は上のタイトル写真参照。


大井町線に転じた8590系。


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