水の丘交通公園

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広島電鉄 150形電車 「被爆電車」 (許可を得て撮影)

2009-08-06 20:00:00 | 保存車・博物館
はじめに。
この写真は平成20年7月某日に江波車庫入口付近にて、たまたま植木の手入れを
していた江波車庫の職員さん(どうやら偉いさんだったようですが)の計らいで
撮らせて頂いたものです。
改めまして、御礼申し上げます。ありがとうございました。・・・管理人 水の丘

さて、本文に入らせていただく。

本形式はE形電車として登場したものである。
大正14年に10両が製造された。

半鋼製車体を持つ4輪単車で、オリジナルの姿は当時の鋼製4輪単車の典型とも
いえるスタイルで、正面は3枚窓で中央窓下にヘッドライト、
側面窓は一段窓でドアは前後に2枚引き戸が設置されていた。
集電装置はトロリーポールである。

昭和20年8月6日の原爆投下では10両中9両が被災した。
被災状況は以下の通りである。

151号・・・中破  昭和22年2月復旧
152号・・・全焼  昭和23年3月復旧
153号・・・全焼  昭和23年4月復旧
154号・・・小破  昭和20年12月復旧
155号・・・小破  昭和20年9月復旧
156号・・・中破  昭和21年3月復旧
157号・・・無被災 昭和20年8月復旧・・・被爆後、最初に広島を走った電車のうちの1両
158号・・・大破  昭和21年1月復旧
159号・・・大破  昭和21年1月復旧
160号・・・小破  昭和20年12月復旧

昭和27年に7両が車体を新造して更新改造を行った。
車体は半鋼製で車内は木製。座席はロングシートである。
塗装はブルーグレーとダークグリーンのツートンで、当時の広電の標準色になった。
ヘッドライトは屋根上になり、正面は大きくカーブを描いた3枚窓である。
ドアは片引き戸で窓も大きく張り上げ屋根と相俟って、軽快なスタイルとなった。
集電装置はビューゲルになった。
152号、153号、160号は更新を受けず、昭和40年までに廃車となった。

その後、他都市からのボギー車の転入などで残りの車両も昭和46年までに
全車が廃車となっている。
引退後、156号車が江波車庫に157号車が広島市内の交通公園に保存された。
157号車は後に台車及び機器を復元電車の101号車に提供して解体されている。

この復元を行った少し後、広島電鉄が主催した電車内で被爆した乗客や女性乗務員の
集う会で戦時中に活躍した半鋼製単車が話題となった。
これを受ける形で広島電鉄では江波車庫に保管され、これらの中で唯一の現存車で
あった156号車を「被爆電車」として奇跡的に復籍した。
この際、集電装置をZパンタ化とドアの自動化が行われた。

復籍してしばらくは江波線で運用されたが、内装が現在の防火基準に適合せず
運行のたびに監督官庁への届出と許可が必要である為、現在は運用されていない。
しかし、塗装や清掃などは定期的に行われ、かなり良好な状態で保管されている。

現存する2軸単車の電車のほとんどは明治期などの姿に復元されて、木道車体、
オープンデッキとなっている。その中で大正末期~戦後にかけての半鋼製、
ドア付き車体を有したもので自走可能なものとしては本形式が唯一の存在となった。
また、昭和20年代の原形を留め、大きな改造も、ほとんど受けず、
お客を乗せられる2軸単車は全国的にも貴重といえる存在となっている。



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