水の丘交通公園

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広島電鉄 3000形電車

2008-09-22 23:59:19 | 電車図鑑・路面電車
昭和51年から、西鉄福岡市内線の1101形、1201形、1301形連接車を譲り受けて
改造したものである。
3体連接8本が登場した。

これらの車両は昭和29年から福岡市内線に導入された2体連接車で、
製造年と機器類の違いなどで形式が分けられていた。
概要は、同型の熊本市交通局5000形電車の記事でも
紹介しているので参照にされたい。
広島へは福岡市内線の路線廃止に伴い、譲り渡されたものである。

最初に登場したときは、旧1301形の内、1305ABと1306ABが西鉄時代の番号のまま、
若干の改造の上で登場した。
この時点では2体連接のままで、ヘッドライトの移設、パンタグラフ増設、
塗装変更(クリームとマルーンのツートン→ピンクにエンジの帯の広電宮島線直通色)、
連結側出入口の引き戸化、進行方向左側後方ドア横の窓のスライド窓化などの
改造を行っている。

その後、1100形、1200形が搬入され、昭和54年より本格的な改造が開始された。
改造内容は1300形のものに加えて、一部車両の運転台撤去によって3体連接化、
車体裾部分の曲面のストレート化、運転台横以外の全てのドアの引き戸化、
方向幕の大型化及び自動化、車掌窓設置、ブレーキの電磁弁化による
ブレーキの応答性向上、カルダン駆動車(旧1101形)の吊り掛け駆動化などである。
昭和55年からは冷房化改造も実施されている。
1300形として登場した2本も昭和56年までに改造されて、3000形に編入されている。
1101形をベースに改造した3005号と3006号の中間車(C号車)は、他の編成よりも
窓が大きい。
3006号は前後に1201形ベースの先頭車が付くので、この違いが顕著になっている。

登場以来、荒手車庫に属し、宮島線直通列車の主力車として運用されたが、
後継の「ぐりーんらいなー」シリーズの登場により、余剰気味となり、
平成4年に3001ACB編成が廃車されている。
その後、残った編成はラッシュ用になっていたが、他の宮島線の新車と比べて、
高速域での加速が弱かったのと、ブレーキが空気ブレーキ(※)しかなく、
車輪やブレーキシューのメンテナンスに手間がかかったことから、
輸送力増強と老朽車置き換えのため、市内線担当の千田車庫へ転属した。

市内線への転属は平成10年からで、この際に冷房装置の改修と電源装置の交換を
行っている。
塗装の変更は行っておらず、宮島線直通色のままであるが、一部が広告電車になっている。
また、クリスマスシーズンには、電飾をつけてイルミネーショントレインに
使われることもある。
現在は、主に1号線(宇品線)で運行されているほか、ラッシュ時には市内線の
他の路線で運行される。


車内。シート中央の黒線は着席定員をそれとなく示したもの。


3006号。2両目の車両の窓が大きいのがわかる。



広告電車2種類。

(※)空気ブレーキ
電車などのブレーキの中でも一番基礎になるブレーキ。高圧の空気を台車の
ブレーキシリンダーに送って、ブレーキシューを動かして車輪を
直接締め付けるもの。
車輪を直にブレーキで締め付けるため、高速域からこれをつかうと、
車輪やブレーキシューが一気に削れてしまうのが難点。
本形式の場合、宮島線の高速運転+市内を含めて多くの停車駅+運転区間が長いという条件が
重なったため、メンテに手間がかかってしまったのである。


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