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富山地方鉄道 デ3530形電車

2010-11-15 22:08:02 | 電車図鑑・路面電車
富山地方鉄道が市内線向けに導入した車両である。
昭和26年に3551号~3555号の5両が製造された。
製造メーカーは日本車輛である。

車体は外板を鋼鉄、内装を木造とした半鋼製車体で戦後製の路面電車としては
極めて珍しい四輪単車である。
正面は非貫通・3枚窓でヘッドライトは正面中央窓下に1個設置された
オーソドックスなスタイルとなった。
行き先表示は正面が字幕式、側面は運行経路を書いた札(サボ)である。

車内はロングシートで側面窓は2段窓であった。
ドアは車体両端・片側2箇所にあり、どちらも片引き戸である。

主制御装置は抵抗制御で直接制御方式を採用している。
ブレーキは発電ブレーキとハンドブレーキで、空気ブレーキは搭載していない。
駆動方式は吊り掛け駆動方式である。
集電装置は「Yゲル」、もしくは「ハエタタキ」と呼ばれる、集電部分をY字にして
集電部分を拡大し、架線への追随性を向上させたトロリーポールとビューゲルの
合いの子である「ボウコレクター」を採用した。
運転台は直接制御用の大型コントローラーと円形のハンドブレーキが配されただけの
シンプルな構成である。

登場後、ほぼ同型のデ3510形などと共に市内線全線で運用されたが、デ7000形の
登場や路線の廃止縮小で昭和41年に3531号と3532号が、昭和46年に3535号が
それぞれ廃車された。
営業運転も大型ボギー車のデ5010形(市内線用ではなく鉄道・軌道線両用車)や
デ7000形に置き換えられ、残った3533号と3534号は除雪用になった。
昭和53年に側面窓の1枚固定化、ヘッドライトの2灯化、方向幕撤去、集電装置の
Zパンタ化、座席撤去と機材箱設置などの大改造を行った。
なお、富山地方鉄道市内線の除雪は、路面の除雪を除雪自動車で行った後、
レールの車輪のフランジが通過する部分に雪がつまらないようにすることと
融雪剤の散布であり、函館や札幌のような除雪はしない。

その後、3534号が平成11年に除籍され、3533号車が最後の1両になった。
3533号車は平成12年に空気ブレーキを設置する改造を受け、書類上、車種を
電車から電気機関車に変更された。
3534号は廃車後も南富山車庫に放置されていたが、平成19年に解体処分された。
残った3533号車も車籍上は機関車になっていたとはいえ、貴重な現役4輪単車として
注目されていたが平成20年に廃車され、保存されることなく解体された。


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