水の丘交通公園

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広島電鉄 800形電車

2010-08-05 23:50:35 | 電車図鑑・路面電車
老朽化の進んだ750形電車(元大阪市電)、600形電車(元西鉄北九州線)、
570形電車(元神戸市電)の置き換えと車両冷房化の促進のため、「軽快電車」の設計を
採り入れた車両として登場したものである。
昭和58年~平成9年までの間に14両が製造された。
製造メーカーはアルナ工機(→アルナ車両)である。
単行運転用のボギー車(1つの車体を2つの可動軸を持つ2軸以上の台車で支える
車両のこと)なので編成は組まない。

車体は700形に準じた普通鋼鉄製であるが、上記の通り、ひじょうに長い期間に亘って
増備されたため、正面や窓周りを中心にバリエーションを有する。
特に先頭部分の形状は並行して製造されていた連接車「ぐりーんらいなー」シリーズの
影響を受けている。
塗装はクリームに腰部と窓上にグリーンの帯を巻いたものである。
行き先表示は正面と側面にあり、双方とも字幕式である。

車内はロングシートで700形と同じく暖色系のものを採用している。
ドア配置は前中式で前ドアは片引き戸、中ドアは両引き戸で、いずれもステップ付である。
側面窓は戸袋部分を除いて下段固定・上段下降の2段窓で、製造時期によって、
ガラスや窓枠の塗装処理の方法が異なる。

主制御装置は電機子チョッパ制御方式でブレーキは回生ブレーキ併用電気指令
ブレーキである。
電機子チョッパ制御は3500形「軽快電車」以来の採用である。
台車は軸箱をシェプロンゴム支持としたコイルバネ台車で枕ばねにオイルダンパーを
設置して振動を抑制している。
駆動方式は平行カルダン方式である。
モーターは従来型の車両よりも出力の高い60kwのものを2基装備しており、
加速性・高速性に優れ、スペック上は宮島線直通車並のパワーを有している。
運転台は2軸式ワンハンドルマスコンである。
ワンマン運転対応だが、混雑時には車掌が乗務で切るように車掌台が中ドア付近に
設置されている。

配置された車庫は千田車庫と江波車庫で、宮島線と白島線以外の広島市内線で
主力車両として運用されており、終日どこかしらで姿を目にすることが出来る。
最後に製造年次ごとの車体の違いを紹介する。


■昭和58年製造:801・802号車が該当。
 700形や3700形の影響を受けたスタイルが特徴。違いは700形のライトが横並びなのに
 対し、本形式は縦並びになっているところ(下写真)が異なる。

○広島港(宇品)駅に並ぶ700形703号車と800形801号車。
 ライトの違いがお分かりいただけるだろうか?


■昭和62年製造分:803・804号車が該当。
 ライトが横並びになり、正面窓周りがブラック処理されるなど
 前面デザインが変更された。3800形連接車初期車のデザインと通じる。


○804号車。筆者訪問時は2両とも広告電車になっていたため、
 標準色は撮影できず。


■平成2年製造分:805~808号が該当。
 ヘッドライトが角型ユニット式に変更された他、側面窓の桟もブラック処理された。
 3800形の後期製造分と近いデザインとなっている。
 806号車は広島原爆の日(8/6)に809号車(8/9=長崎原爆の日)や650形被爆電車と共に
 平和教育のための貸切電車に使用されることがある。


■平成4年製造分:809~812号が該当。
 基本的に平成2年分のものを踏襲するが、前面窓方向幕付近の縦と横の桟がなくなり、
 完全な1枚窓となったほか、バックミラーの取り付け位置が正面から向かって右側の
 小窓の上になった。


○810号車。なぜかこの車両だけ側面の緑の帯が太く、扉の窓の下部に
 食い込んでいる。
 通常の塗り分けはタイトル写真参照。本形式は主力車両とあって広告電車が多い。


■平成9年製造分:813・814号車が該当。
 ライトケースが前面とツライチになった3900形のデザインの影響を受けて、
 運転台の機器配置も若干変更された。
 なお、日本の鉄道車両として電機子チョッパ制御を採用した最後の車両の一つ
 (他は同年製造な都営新宿線10-000形第27・28編成&京都市営地下鉄烏丸線
10系第18~20編成が存在する。
 路面電車としては本形式が確実に最後)である。
 本形式以降、広島電鉄では単行運転用のボギー車の導入は行われず、
 全低床形連接車の「グリーンムーバー」シリーズの新造と、
 それに伴う連接車の市内線転属で輸送力の増強を図っている。


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