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歳を重ねると楽しいとか賢くなるとか・・・・みんな戯言なんだよ。

感じるままに、赴くままに、流れて雲のごとし

どしてなんだろう・・・こんな人物が絶滅してしまったんだ

2016-08-21 | その他

すこぶる体調が悪い。

にも関わらず、活字渇望症になってしまったかのように本を買ってしまう。

暇つぶしに本屋へたちより、いつもより丁寧に書棚をなめるように本を探す。

特に探している本があるわけではなかったんだ。

城山三郎著

「粗にして野だが卑ではない」

石田禮助の生涯

 

第5代国鉄総裁78歳から7年間にわたって

当時の内閣総理大臣「池田はやと」懇願されて勤め上げた人物。

率直でお茶目で恐れを知らぬ財界人。

いいことを並べ立てればこんな言葉の羅列になってしまう。

 

大赤字を引き受けて旧国鉄を職員の意識改善を見事にやってしまったじいさん。

すべては老齢の所為にしたくはないけれど愛と勇気の人物。

さしずめ国鉄のアンパンマンと言ったところだ。

それは「愛と勇気」の人だからだ。

 

ビジネスで国際社会を堂々とした言動と行動で生き抜き三井物産の常務まで上り詰めたが

率直な物言いで退職し60歳を過ぎてからは公的人間を目指した。

定年過ぎてからの生き方としてはよく聞く生き方のパターンだ。

 

しかし、誰もやりたがらぬ仕事をこの歳で引き受けたところが

この爺様の凄いところなんだろう。

就任のあいさつはひとこと「嘘はつかない」

それがすべてなのだ。

 

その「粗」が底流にある人間はつらいけれど結局は気持ちよく死ねるのだ。

見事な生き様は素敵な死にざまのことを言うのだろう。

パブリック・マンを実践するには、ほんの少しの犠牲的精神が発揮できるかなんだ。

 

いまの政治家にこれほど痛快に国会で答弁する人がいるのだろうか。

金や地位や薄っぺらいプライドを守ろうとすればするほど

嘘が必要になってしまう。

 

そんなことはみんな分かっているんだ。

分かってはいるがそれができない。

それが人間だからだろう。

わが身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もある。

けれど、捨ててばかりいると・・・いつかモチベーションがなくなる。

被害者意識に囲われ人を恨むことばかり考えてしまう。

 

切って捨てる奴は捨てればいいのだ。

本当に大切な、本気になって力を貸してくれる奴を信じて行動すればいいだけなのだ。

すべてにOKサインを獲得しようなどと思うから率直さを失うのだ。

 

見極めるのすは難しい。

それは「感」でしかないからだ。

株の売買ではないのだからだ。

 

しかしこの爺様は合理的思考と感という二律を見事にコントロールしながら生き抜いたのだ。

その原動力となったのは、ただ「嘘をつかない」それだけなんだ。

 

基本的に伝記ものは好きではない。

良いことを盛りすぎるからだ。

そんな気分を撤回してしまった。

城山三郎という作家の人間的魅力に惹かれたことを加味したとしても

いまの僕を爽やかにしてくれたことは隠しようがない。