政府与党である自民党、公明党が最重要の選挙であると位置づけていた、沖縄県知事選は全野党が推した糸数氏を破り自公が推した仲井間氏が3万7千票強の差をつけて当選し、野党は国政での対決姿勢を緩めざるを得ない状況に追い込まれている。
国会審議、野党出席し1週間ぶり再開(朝日新聞 2006.11.22付)
==== 引用 ====
教育基本法改正案の衆院採決をめぐり審議がストップしていた臨時国会は22日、参院教育基本法特別委員会での同改正案の趣旨説明と質疑に野党4党が出席し、1週間ぶりに与野党そろっての審議が再開した。与党は22日、最優先とする同改正案や防衛庁の省昇格法案などの成立に全力をあげる方針を確認したが、会期末まで平日で17日分しかないなか、小幅の会期延長も視野に入れた厳しい国会運営を強いられることに変わりはない。
参院特別委は22日、委員長に自民党の中曽根弘文元文相を選び、政府案のほか、参院民主党が提出した教育委員会の廃止法案などを含む対案の趣旨説明を行った。
安倍首相は、政府案について「新しい時代に合った理念、原則を定めた」とし、公共の精神、道徳心を盛り込んだ点を挙げて「戦後60年を経た大きな変化の中で、新しい時代にふさわしいものに変えていく時がやってきた」と、改めて成立に強い意欲を示した。
臨時国会開会後、いじめによる自殺や必修科目の履修漏れ、教育タウンミーティングでの「やらせ質問」などの教育関連の問題が噴出。野党はそれらについての全容解明や関係者の処分などを求めており、「国と郷土を愛する態度」「不当な支配」など条文の解釈とともに、参院での論戦の焦点となる。
与野党の国会担当責任者は21日、十分な審議を行い、採決を強行しないことを確認している。だが他の法案の審議や現会期の最終週に首相が外遊する事情もあり、与党にとって協調路線のままでの会期内成立は容易ではない情勢だ。
自民、公明両党幹部は22日朝、東京都内のホテルで会談し、同改正案に加え、防衛庁の省昇格法案や、談合に関与した国や自治体職員に新たな罰則を設けた官製談合防止法改正案などの今国会成立をめざす方針を改めて確認した。
============
政府与党は、衆院での圧倒的多数を背景に強気の国会運営を続けているが、なかなか進まない政府が考える地方分権・道州制などに対してモノを言う知事の存在に手を焼いていた。
そんな中、なぜかモノを言う知事が相次いで辞任、各地の知事選挙で次々と政府与党の意向に沿う知事が誕生している。
「もの言う知事」相次ぎ退場 地方の時代に影?(朝日新聞 2006.11.21付)
==== 引用 ====
汚職事件で逮捕された佐藤栄佐久・前福島県知事や木村良樹・和歌山県知事、多選を戒めとして引退表明した増田寛也・岩手県知事、長野県知事選で落選した田中康夫氏……。地方の立場から国の政策に注文をつけてきた知事たちの退場が相次いでいる。強烈な個性と発言、先進的な政策で注目された「もの言う」知事たち。「地方にできることは地方に」を掲げた小泉内閣の終焉(しゅうえん)とほぼ時を同じくして、その時代は節目を迎えた。
◇
「共感していただける、本当に数少ない知事の一人でした。これで、残党は(自分)1人という気がする」。増田寛也・岩手県知事が、4選となる来春の知事選への不出馬を表明した翌日の10月31日。片山善博・鳥取県知事は定例会見で惜しんだ。増田知事は逆に引退表明後、片山知事に電話でこう励ました。「頼むから、これからもワーワー言い続けてくれ」
約2週間後の今月13日、核燃料サイクル政策と道州制に一貫して異議を唱えた佐藤栄佐久・前福島県知事が収賄罪で東京地検に起訴された。「ワーワー言い続けた」知事だっただけに、地元ではいまだに「国と対立してきたから逮捕された」との思いを抱く有権者が少なくない。
国との協調を基本に都道府県政を運営する旧来型と違い、国や議会と時に激しく対立しながら施策実現を目指すタイプが注目され始めたのは、約8年前にさかのぼる。
98年4月、増田氏や橋本大二郎氏(高知)、浅野史郎氏(宮城)、北川正恭氏(三重)を核とする知事らが東京に集まり、政策研究や情報交換のためのグループ(現・地域自立戦略会議)を発足させた。4人は共に40~50代、自民党推薦の前職の後継候補を破った知事だった。後に99年初当選の片山知事や、現在は競売入札妨害容疑で逮捕されている木村良樹・和歌山県知事(00年当選)らも加わった。
国と地方の対等をうたう「地方分権一括法」の施行(00年)を追い風に、地方分権の立場から、国の政策も公の場でやり玉に挙げた。01年に小泉内閣が誕生、03年に三位一体改革をはじめとする地方改革に乗り出すと、知事たちの「もの言い」に拍車がかかった。
それだけに今年7月、梶原拓・前岐阜県知事が在職中に県庁裏金問題に関与していたことが発覚し、複雑な思いの地方政治家は多い。三位一体改革論議の過熱した03年から、「闘う知事会」を掲げて国と交渉し続けたのは05年2月まで全国知事会長だった梶原前知事。「改革の旗手でもあり、非常にショックだった」(古川康・佐賀県知事)
■
政治の表舞台からの退場は、事件絡みとは限らない。03~05年、北川知事は2期、浅野知事は3期で引退した。増田知事を含め、行財政改革や情報公開で一定の成果を上げたとされる3人が、引退理由の一つに挙げたのは、自分に対する「多選制限」だった。
特定のグループには所属せず、独自の政策を前面に独特の「もの言い」で注目を浴びる知事も目立った。
その象徴で、外形標準課税をはじめ大都市ならではの政策を打ち出してきた石原慎太郎・東京都知事は、来春の知事選への立候補を事実上表明している。だが、脱ダム宣言など公共事業に依存する行政からの脱皮を図った田中康夫氏は、今年8月の知事選で落選した。
長野、宮城など対立型の知事の後に就任したのは、国や議会に対し比較的穏健な調整型が多い。相次ぐ不祥事で知事そのものへの信用が急落する中、増田知事は「また静かな時代になるかもしれないが、有権者は物足りなくなれば必ず別の役者を押し立てようとする。それが地方自治の力強さだ」と話す。
============
政府与党に従順な知事が続々誕生していることをどう捉えるのかのか。
各都道府県に住む有権者が選んだのだからといえば聞こえはいいが、長野県知事選にしても沖縄県知事選にしても自公は組織を動かし厳しい締め付けを行うなど国会議員の補選以上に力を入れて必勝を期していた姿を見ると、本当に有権者の意思が反映された選挙結果なのかと疑いたくなってくる。
もちろん、地域経済の疲弊にとにかく目先の生活を優先させたいという思いが強いのは両県共通。脱ダム・財政再建や反基地よりも経済再生を願いが強かったことはわかるが、地域経済の疲弊は県政の責任よりも小泉-竹中改革による新自由主義化で一部の大企業や金融機関、IT企業、人材派遣業界の会社と経営者、機関投資家だけが儲けて、大多数の従業員など労働者や一次産業従事者の収入が激減する格差社会の常態化が問題。現安倍政権も、再チャレンジを謳うものの小泉路線の継承を宣言していてさらに格差を拡大するといっているようなもの。さらに、どこと闘うつもりなのか「闘う政治家」を標榜する安倍首相は閣内の核武装論議を黙認。
郵政民営化法案に反対して離党した、いわゆる造反議員の復党まで参院選対策のために推し進める安倍政権と歩調を合わせるという自公が推す知事候補に、いったい有権者は何を期待して投票しているのだろうか。
国とのパイプが太くなれば公共事業が増えて県内の景気がよくなるというのは幻想でしかない。確かに沖縄は米軍基地問題で手厚い経済支援を受けてはいるが、これまでも経済支援を受けているにもかかわらず県内の景気は決してよくなってはいない。結局、経済支援によりつぎ込まれた税金のほとんどは本土の大企業に還流しているだけで、県内に滞留しないことはこの10年間でわかっているにもかかわらず、自公が推す候補に対して期待をすることの矛盾を有権者は理解していたのだろうか。
いかに経済的に自立してゆくのかがこれからの地方の課題だが、その解決策をどれだけ具体的に示して行けるのか。福祉や医療といった社会保障の維持とともにそのあたりが、野党が推す候補の宿題となりそうだ。
↓いろんな意見を知るのに役立ってます
国会審議、野党出席し1週間ぶり再開(朝日新聞 2006.11.22付)
==== 引用 ====
教育基本法改正案の衆院採決をめぐり審議がストップしていた臨時国会は22日、参院教育基本法特別委員会での同改正案の趣旨説明と質疑に野党4党が出席し、1週間ぶりに与野党そろっての審議が再開した。与党は22日、最優先とする同改正案や防衛庁の省昇格法案などの成立に全力をあげる方針を確認したが、会期末まで平日で17日分しかないなか、小幅の会期延長も視野に入れた厳しい国会運営を強いられることに変わりはない。
参院特別委は22日、委員長に自民党の中曽根弘文元文相を選び、政府案のほか、参院民主党が提出した教育委員会の廃止法案などを含む対案の趣旨説明を行った。
安倍首相は、政府案について「新しい時代に合った理念、原則を定めた」とし、公共の精神、道徳心を盛り込んだ点を挙げて「戦後60年を経た大きな変化の中で、新しい時代にふさわしいものに変えていく時がやってきた」と、改めて成立に強い意欲を示した。
臨時国会開会後、いじめによる自殺や必修科目の履修漏れ、教育タウンミーティングでの「やらせ質問」などの教育関連の問題が噴出。野党はそれらについての全容解明や関係者の処分などを求めており、「国と郷土を愛する態度」「不当な支配」など条文の解釈とともに、参院での論戦の焦点となる。
与野党の国会担当責任者は21日、十分な審議を行い、採決を強行しないことを確認している。だが他の法案の審議や現会期の最終週に首相が外遊する事情もあり、与党にとって協調路線のままでの会期内成立は容易ではない情勢だ。
自民、公明両党幹部は22日朝、東京都内のホテルで会談し、同改正案に加え、防衛庁の省昇格法案や、談合に関与した国や自治体職員に新たな罰則を設けた官製談合防止法改正案などの今国会成立をめざす方針を改めて確認した。
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政府与党は、衆院での圧倒的多数を背景に強気の国会運営を続けているが、なかなか進まない政府が考える地方分権・道州制などに対してモノを言う知事の存在に手を焼いていた。
そんな中、なぜかモノを言う知事が相次いで辞任、各地の知事選挙で次々と政府与党の意向に沿う知事が誕生している。
「もの言う知事」相次ぎ退場 地方の時代に影?(朝日新聞 2006.11.21付)
==== 引用 ====
汚職事件で逮捕された佐藤栄佐久・前福島県知事や木村良樹・和歌山県知事、多選を戒めとして引退表明した増田寛也・岩手県知事、長野県知事選で落選した田中康夫氏……。地方の立場から国の政策に注文をつけてきた知事たちの退場が相次いでいる。強烈な個性と発言、先進的な政策で注目された「もの言う」知事たち。「地方にできることは地方に」を掲げた小泉内閣の終焉(しゅうえん)とほぼ時を同じくして、その時代は節目を迎えた。
◇
「共感していただける、本当に数少ない知事の一人でした。これで、残党は(自分)1人という気がする」。増田寛也・岩手県知事が、4選となる来春の知事選への不出馬を表明した翌日の10月31日。片山善博・鳥取県知事は定例会見で惜しんだ。増田知事は逆に引退表明後、片山知事に電話でこう励ました。「頼むから、これからもワーワー言い続けてくれ」
約2週間後の今月13日、核燃料サイクル政策と道州制に一貫して異議を唱えた佐藤栄佐久・前福島県知事が収賄罪で東京地検に起訴された。「ワーワー言い続けた」知事だっただけに、地元ではいまだに「国と対立してきたから逮捕された」との思いを抱く有権者が少なくない。
国との協調を基本に都道府県政を運営する旧来型と違い、国や議会と時に激しく対立しながら施策実現を目指すタイプが注目され始めたのは、約8年前にさかのぼる。
98年4月、増田氏や橋本大二郎氏(高知)、浅野史郎氏(宮城)、北川正恭氏(三重)を核とする知事らが東京に集まり、政策研究や情報交換のためのグループ(現・地域自立戦略会議)を発足させた。4人は共に40~50代、自民党推薦の前職の後継候補を破った知事だった。後に99年初当選の片山知事や、現在は競売入札妨害容疑で逮捕されている木村良樹・和歌山県知事(00年当選)らも加わった。
国と地方の対等をうたう「地方分権一括法」の施行(00年)を追い風に、地方分権の立場から、国の政策も公の場でやり玉に挙げた。01年に小泉内閣が誕生、03年に三位一体改革をはじめとする地方改革に乗り出すと、知事たちの「もの言い」に拍車がかかった。
それだけに今年7月、梶原拓・前岐阜県知事が在職中に県庁裏金問題に関与していたことが発覚し、複雑な思いの地方政治家は多い。三位一体改革論議の過熱した03年から、「闘う知事会」を掲げて国と交渉し続けたのは05年2月まで全国知事会長だった梶原前知事。「改革の旗手でもあり、非常にショックだった」(古川康・佐賀県知事)
■
政治の表舞台からの退場は、事件絡みとは限らない。03~05年、北川知事は2期、浅野知事は3期で引退した。増田知事を含め、行財政改革や情報公開で一定の成果を上げたとされる3人が、引退理由の一つに挙げたのは、自分に対する「多選制限」だった。
特定のグループには所属せず、独自の政策を前面に独特の「もの言い」で注目を浴びる知事も目立った。
その象徴で、外形標準課税をはじめ大都市ならではの政策を打ち出してきた石原慎太郎・東京都知事は、来春の知事選への立候補を事実上表明している。だが、脱ダム宣言など公共事業に依存する行政からの脱皮を図った田中康夫氏は、今年8月の知事選で落選した。
長野、宮城など対立型の知事の後に就任したのは、国や議会に対し比較的穏健な調整型が多い。相次ぐ不祥事で知事そのものへの信用が急落する中、増田知事は「また静かな時代になるかもしれないが、有権者は物足りなくなれば必ず別の役者を押し立てようとする。それが地方自治の力強さだ」と話す。
============
政府与党に従順な知事が続々誕生していることをどう捉えるのかのか。
各都道府県に住む有権者が選んだのだからといえば聞こえはいいが、長野県知事選にしても沖縄県知事選にしても自公は組織を動かし厳しい締め付けを行うなど国会議員の補選以上に力を入れて必勝を期していた姿を見ると、本当に有権者の意思が反映された選挙結果なのかと疑いたくなってくる。
もちろん、地域経済の疲弊にとにかく目先の生活を優先させたいという思いが強いのは両県共通。脱ダム・財政再建や反基地よりも経済再生を願いが強かったことはわかるが、地域経済の疲弊は県政の責任よりも小泉-竹中改革による新自由主義化で一部の大企業や金融機関、IT企業、人材派遣業界の会社と経営者、機関投資家だけが儲けて、大多数の従業員など労働者や一次産業従事者の収入が激減する格差社会の常態化が問題。現安倍政権も、再チャレンジを謳うものの小泉路線の継承を宣言していてさらに格差を拡大するといっているようなもの。さらに、どこと闘うつもりなのか「闘う政治家」を標榜する安倍首相は閣内の核武装論議を黙認。
郵政民営化法案に反対して離党した、いわゆる造反議員の復党まで参院選対策のために推し進める安倍政権と歩調を合わせるという自公が推す知事候補に、いったい有権者は何を期待して投票しているのだろうか。
国とのパイプが太くなれば公共事業が増えて県内の景気がよくなるというのは幻想でしかない。確かに沖縄は米軍基地問題で手厚い経済支援を受けてはいるが、これまでも経済支援を受けているにもかかわらず県内の景気は決してよくなってはいない。結局、経済支援によりつぎ込まれた税金のほとんどは本土の大企業に還流しているだけで、県内に滞留しないことはこの10年間でわかっているにもかかわらず、自公が推す候補に対して期待をすることの矛盾を有権者は理解していたのだろうか。
いかに経済的に自立してゆくのかがこれからの地方の課題だが、その解決策をどれだけ具体的に示して行けるのか。福祉や医療といった社会保障の維持とともにそのあたりが、野党が推す候補の宿題となりそうだ。
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