みやっちBlog

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長野県知事選:候補統一なら勝てるという幻想

2006年06月27日 17時44分24秒 | 政治・社会
県民の声を曲解する政治プロ

知事の提案する施策や人事にことごとく反対する議会と、議会の提案を拒否する知事という構図の中で、最終的日時の独断を許してきた県議会というのが、田中康夫知事誕生後の長野県政だとの認識が、県民の中では一般的なのではないだろうか。
田中知事が行おうとしてきた、また行ってきた施策には納得できるものも多く、県政を身近に感じるようになってきたものの、自らの生活を省みればけして良くなってはおらず、知事対県議会、知事対市町村という対立の中で、もう少し協調性をもってスムーズな県政を願っている。そうした想いが、田中知事の支持率低下に現れていたのではとの理解をしていたのだが、県議をはじめとする反田中の政治プロは、それを知事への不信任と捕らえ知事さえ代われば県政は正常化し、それこそが県民の願いだと解釈したようだ。

しかし、県民は知事のみならず県議会にも「ノー」を突きつけている事実に気がついているのだろうか。

もちろん、一部の県議を除き圧倒的多数が反田中という現在の県議会を構成する県議を選んだのも県民ではある。そうした、県民の投票行動の矛盾が現在の県政の停滞を招いたということを、自らが認識する必要はあるだろう。
先の県議選で、知事不信任を提出した従来の県議と親田中の候補しか選択肢がない中で、知事と一体となるであろう親田中の候補を選ぶことは、再び癒着構造の復活となるのではとの不安もあっただろうし、地方選挙の常である人との繋がりを気にした面もあったのだろう。いずれにしろ、県民が田中知事の2期目も知事と県議会の対立する構図を選択したわけだ。

しかし、あまりの県政停滞ぶりに県民の不満と不安、不信感が頂点に達していると認識している政治プロはどれだけいるのだろう。


県民は県議グループが透けて見える統一候補を望んでいるのか?

田中知事のこれまでの県政を望むのか、それとも反田中で突き進んできた県議会が主導する県政を望むのかを問うのであれば、県議たちは裏に隠れずきちんと表に出て自分たちが推す知事候補を立てるべきではないだろうか。その上で、田中知事でも県議たちが推す候補でも納得できないというグループが、独自に統一候補を立てようと連携して動くのなら理解できるが、今回は先の知事選での敗戦により県議たちは表に出ることを避け、市民団体などを隠れ蓑に統一候補擁立へと動いていた。
ところが、マスコミ報道により県議たちの存在が透けて見えたことや、「勝てる候補」へのこだわりから自民・民主相乗りへの模索が、統一候補擁立の動きへの不信感に繋がったのではないだろうか。

そもそも、地方では仲良くやっているのに国政では対立だという政党への不信感は大きく、地方選挙においては地元の利益と人間関係により投票行動が決定され、政党ではなく人で選ぶ現状では、県議会の構成が変わる可能性は少ない。ところが、知事選挙では地元の利益や人間関係が投票行動へ与える影響は小さい。だからこそ、田中知事が誕生したわけで、現在の県民の声を真摯に受け止めていれば、県議や業界団体に促されて政党間協議を行い、自民と民主が相乗りで統一候補を立てるという動きにはならないはずなのだが。

真に県民の想いを理解しているのであれば、それぞれの政党や市民団体が長野県の未来の姿とそこへいたるための道筋を公約や政策という形で指し示した上で、それを実行できる人物を提示すべきだったのではないだろうか。そうした中で、政策協定を結び候補の相乗りをしていくというのであれば理解できるのだが、はじめから統一候補ありき政策は二の次では、ただの野合でしかなく県民が嫌う談合政治そのものとしか映らない。


選択肢は示されるのか

政治家たるもの県民のために自ら身を投げ出して期待に応えるべきだと思うのだが、これまで自ら手を挙げたのは現職以外では若林氏と峯氏のみ。いずれも、政治家としては未知数であり経験不足は否めない。
両者以外で、これまで名前の挙がった方々はいずれも消極的で、広く支持が得られなければ立候補はできないと述べてきた。しかし、チョット待ってもらいたい。
支持というものは、手をあげて初めて集まってくるものなのではないのだろうか。
にもかかわらず、支持が集まらないから手をあげないというのはあまりに無責任だと感じるのは筆者の身勝手だろうか。

心意気に惚れるということがある。
W杯で中田英の評価が高いのは、そのプレーの質ではなく孤軍奮闘ピッチを走り回りチームを鼓舞する姿があったから。政治の世界でも同じなのではないだろうか。
たしかに、現在の県政を立て直すことは簡単ではないし、40%を超える支持率を誇る現職知事を相手に選挙戦を戦うリスクは大きい。それでも、現職への支持は県議グループの推す候補しかでてこないのではという状況下で「だったら現職の方がマシ」という、あくまで消極的なものである現状を考えれば、現職でも県議たちの推す候補でもない第3の軸をきちんと示せば、県民の理解と支持は得られるはず。
まだ遅くはないと思うのだが、今から第3の軸を示すことができるのは真の市民グループか民主党や社民党といった県議会での少数派だけ。

タイムリミットは7月20日の告示日当日。
統一候補を立てれば勝てるというのは幻想でしかない。我こそはと手をあげる候補者が現れてはじめて知事選は動き出す。期待できそうもないが、希望は失わないでその日を迎えたいと思う。





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