雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

検討を祈る

2018-07-02 18:45:27 | 日々これ好日
        『 健闘を祈る 』

     サッカーワールドカップ 
     あと8時間ほどで ベルギー戦が始まる
     テレビでは 日本に有利というデーターを
     あれやこれやと 集めている
     それも結構だが 決勝トーナメントに進出したチームだけが経験できる
     誇りと輝きを 存分に示してほしい
     健闘を祈る

                          ☆☆☆
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後朝の別れも様々

2018-07-02 08:20:53 | 麗しの枕草子物語
          麗しの枕草子物語 
               後朝の別れも様々


ある所の、何とかの君と申し上げておきましょう。

その君のもとに、貴き御方というほどではありませんが、伊達男ともっぱら評判の殿方が通って参りました。評判だけでなく、なかなか洗練された男性だということですから、訪ねられた何とかの君も、見目麗しいとの噂に上るような女性だったのでしょうね。

さて、九月の頃のことですが、一夜を過ごした翌朝のこと、有明の月明かりが一面の朝霧に滲んでいるのを眺めながら、男性は、甘い言葉を並べたて後朝(キヌギヌ)の別れを惜しみます。何とかの君は「ああ、もう、お帰りになってしまう」と、夢見心地で見送っている様子も、何とも艶めかしい光景でございます。

男性は、思いを断ち切るかのようにして出て行きますが、またすぐ戻って、立蔀の陰に身を隠して、今一度女の心をつかんでしまうような言葉をかけようと、覗っていますと、
何とかの君は、「有明の月のありつつも・・・」などと小さく口ずさみながら、月明かりに浮かび上がらせた姿は、緑の黒髪と思っていた髪の毛は、頭からすっかりずれてしまい、その色もてかてかと光っていて・・・、
男性は、今の今までの情緒は吹き飛んでしまい、少しばかり身震いをしてから、肩をすぼめるようにして帰って行ったそうです。

後朝の別れも様々でございますわねぇ。
もっとも、これは人から聞いた話なんですよ。


(第百七十二段・宮仕え人の・・、より)
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