雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

メジロが二羽

2018-02-20 20:22:26 | 日々これ好日
        『 メジロが二羽 』

     すっかり葉を落とした庭木に 二つ割のミカン
     メジロが二羽 その実をついばんでいる
     夫婦か親子か 分からないが
     一羽が別の実に移ると もう一羽も後を追う
     通りがかった よそ様の庭を 長い時間見ていた
     微笑ましく うらやましい

                  ☆☆☆ 
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同じ音ではありますが

2018-02-20 08:21:18 | 麗しの枕草子物語
          麗しの枕草子物語 
               同じ音ではありますが


大路に近い家におりますと、さまざまな音が聞こえてきます。
牛車に乗った男性が、有明の月の美しい光の下で、簾を上げて、
「遊子なお残りの月にゆく・・」
などと、朗々と吟唱しながら通り過ぎて行くのが、実にすばらしい。
馬に乗った人が、同じように吟じながら行くのも、これもなかなか風流なものです。

家の中で手仕事などしていますと、表を馬具のすれ合う音も厳めしく通り過ぎて行くのが聞こえてきました。
「どれほどすばらしい御方がお通りなのだろう」
と、やりかけの仕事を放り出して表に出てみますと、何とまあ、みすぼらしい服装の、何とも卑しげな輩が粗末な馬に乗っていたのですよ。全く腹立たしい限りです。


(第百八十四段・大路近なるところ・・、より)
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